記念切手

2.妖しい切手


男は自分の家に帰ってきた。書斎の机の上に、例の切手の束を置いて椅子に座る。
「良く考えたら怪し過ぎる話じゃないか、何だこの切手は」
落ち着いてみれば、使えない切手だということ…いやそもそも切手ですらない事は歴然としていた。
段々腹が立ってくる…が、買ってしまったものは仕方が無い。返品しようにも購入先が消えてしまった。
ぱらぱらめくって見ていると、好みのモデルのヌードやバストショットも結構ある…
男はルーペを取り出して、じっくり観察し始めた。肉感的なモデルがフル・ヌードで横座りのポーズで投げキッスをしている。
「うむ。なかなか良いじゃないか。この赤い唇から舌がちょっと覗いているところなんて」
ペロ…
「?…」ごしごし、男は目をこする。
「動いた?…そんなわけはないはず、はは…しかし、色っぽいというか、見ていると、何か…引き込まれるというか…」
男の顔が、切手シートの女の唇の辺りに近づき、唇がかすかに触れる。
チュ…ビクッ! ズザザッ
男は椅子ごと後ろにとび下がった。
「な、何だ…い、今の感触は?…本物の女の唇のような…」
”ねぇ…”
「?」どこからともなく、女の声が聞こえる。
”ねぇ、貼って…”
「ま、まさか…」
声は切手(?)からであった。
「ば…ばかな…」
”ねぇ、貼って…私を貼って…快楽の世界にあなたを配達してあげる…”
「な…あ…」何かに操られるように、右手がシャツの胸をはだけ、左手が切手シートを裏返しじりじりと自分の胸に、シートの糊面を近づけていく。
”さぁ”…ペタ…

シートが胸に貼られると、一瞬視界が白く染まった。
「あら、ステキなおじ様、たっぷりサービスしてあげる…」
気がつけば、男の膝の上に切手シートのモデルの女が生まれたままの姿で座っている。
少し太めだが、その分胸も大きい、スイカほどもある…
「い、いつの間に…むぎゅ」
女が、男の後頭部をむんずと掴み、巨大な胸の谷間に押し付ける。
「ちょちょっと…ぶわ…」
女は構わず、男の頭を柔らかく抱え込み、自分の女陰を男の股間に押し付けて、腰を揺する。
「あはぁん、うふーん…」色っぽい声で喘ぐ女、少々年増のようだ。
薄手のスラックスとパンツを間にはさんで、濡れた肉が男の一物を呼び求める…
”坊や、隠れてないで、でておいで…でてきたら、いい事してあげるから…”
男根が素直に反応し、スラックスを突き破らんばかりにテントを張る。
「うう、辛抱たまらん」男は女の腰を押し剥がし、チャックをあけパンツを下げる。
ブン…風きり音と共に、戦闘態勢の整った息子が飛び出してくる。

「まぁ、お元気な息子さん」
女はそう言って、再び腰を押し付けて来て、体を揺する。
ピタ…ユッサユッサ、ヌラヌラ、ビチャビチャ…
男の目は、柔らかく重たそうに上下する両の乳房にくぎ付けだ。
そして股間では、熟れた肉の花が、反り返った肉のオシベを押し包み、左右上下に舐め回す。
「おぉぉぉぉぉ…」久しぶりの女体に男の頭は沸騰していく。
夏の暑さで延びていた睾丸が、皺の塊に姿を変えていく。

「さぁ、一気にいかせてあげるわょ…」
女が腰を持ち上げ、亀頭の先端に狙いを定め、一気に腰を落としてくる。
ズニュウルルルルルルル…亀頭と竿が濡れた筒の中に収まる感触が頭の中で卑猥な音に変換される。
「ぬぅぅぅぅ…」「あはぁーーー…」
挿入の感触を楽しむように、一度動きを止める二人。

そして、女が腰を揺すり始める…ユサユサユサユサ…
「あぁぁぁぁ…」
「いいわぁ…届いてるわよ…貴方の物が、私の中にぃ…」女が鼻に掛かった声で呟く。
カリが子宮口に咥えられ、ヌチヌチ舐められる。
「くぁくぅ…」
「そぉれ、それそれ…」
女が腰の動きを上下に変えていく。
ヌッパッン、ヌッパッン、ヌッパッン…
腰が密着し、離れる音がいやらしく響く。
女の乳房も上下に動き、時々勢いあまって男の顔をピタピタと柔らかく叩く。
部屋の温度が下がっていくような錯覚…男は自分が熱くなっていくのがわかる…
熱さが快感であると認識すると、快感は腰から全身に広がり、また腰に、睾丸に集中していく…睾丸が痺れ、竿が熱く固くなる…
男性器が心地よい快感で満たされ、どうにもならなくなる…そして、熱いものがはじける…
ドクドクドクドクドクドク…
何年かぶりに女の中に放った…男は満足感に包まれる。

と、女の姿がスッと消えていく…後には精液で椅子と床を汚した自分がいるだけであった。
ハラリと胸に張られた切手シートが落ちる…写っていた女の姿が消えて真っ白になっていた…


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