10:サキュバス


男の腰に腕を回し、股間に顔をうずめる。
ファスナーを歯で軽く噛み、チチチッと明けていく。
はじけんばかりの男の物がとびだし、恵美の顔を軽く叩く。
期待に濡れる眼で、それを見つめ、ほお擦りする恵美。
口を開くと、長い舌がデロリと出てくる。
男の方も期待に胸と股間を膨らます。
話で聞いたことしかないサキュバスが、自分の股間に顔をうずめ、自分の物をなめようとしている。
自分はサキュバスにくわれようとしている。
恵美は、舌を出して男の袋をなめ始める。
袋はたちまち縮み上がり、しわの寄った塊となる。
「うふ」その様子をみて、ふっと甘い息を袋に吐きかける。
男の背筋をヌラリ、ヌラリ、フワッ、ゾクッと快感が列を成して駆け上がり、脳天を刺激する。

思わず、突き入れ、達そうとするのを恵美が静止する。
「マダ…ダメヨ…」
声が…聞いた事のないほど妖しい響きを帯びている、一度聞けば男どころか、女でも虜になる魔性の響き。
「時間ハイクラデモアル…オイデ愛シイ人私ノ全ヲ味ワッテ…」
男は恵美の虜となった。

恵美は男を横たわらせ、その顔にまたがる。
横たわった男の目の前に、恵美の女陰がさらけ出される。
横たわる男は、顔に近づくそれをみて”以外に普通だな…”と思う。
顔の直前で女陰はパフッと大きく開き中身をさらけ出す。
甘酸っぱい肉の香りがする妖しい食虫花は、涎のようにトロリ、ドロリと液体をたらしながら男の顔を捕らえる。
「むわっ、うぷ…」
何とか息はできるが、女陰の放つ妖しい匂いを盛大に吸い込みことになる。
恵美の女陰はビラビラ動き、男の顔をなめ回す。
飲み込まれるような錯覚がある。
舌を伸ばすと、周りの肉の花が舌を捕らえ、奥へ誘う。逆に口の中に花弁が進入し、なめ回す。
人ではあり得ない動き。
快感が舌先からくる、信じられない、男は自分も魔物になったのかと錯覚する。
「アハン、ハアッ、アイシテル…アナタ…」
恵美は喘ぎ腰をくねらす。
体を倒し、女性上位の69の体制に入る。

痛いほどに高ぶる男自身を、舌でやさしく捕らえる。
もう出さなければ快感を得られないはずのそれに対して、感じ方の足りない部分を舌先で探し、包み込む。

男「うわっ」今まで恵美を攻めていたつもりなのに一瞬で攻守が逆転した。
睾丸と、竿、アナルが同時に舐められている。
ひと舐めされるごとにザラリとした感触が残り、それが快感に変わる。
魂に染み込むような深い、深い快感。
いつしか、自分のものが消えうせ、魂を直接舐められているかのような錯覚に捕らえられる。
いや、恵美は男の魂を舐め取っていた。少しずつ、少しずつ、男の魂が恵美の口に消えていく。
「オイシイノ、アナタノ魂、コンナニオイシイナンテ…チョウダイ…モットチョウダイ…」
「恵美、恵美…もっとなめて、全部あげる…魂をあげる…」
うわ言のように繰り返す。何を言っているのか、2人とも理解していない…
我慢できなくなって、男は盛大に精をだす。
ドクドクドクドクドクドクドクドクドクドク……
一滴もこぼさずのみ干す恵美。男の体が一気にやせ細る。
それでも、男は愛しい恵美を力の限り喜ばせる。
自分がいく瞬間、全力で舌を恵美に突き入れ、かき回し、クリトリスをはむっとくわえ、甘噛みし舐めつつく。
”アハーン、イイ、イクゥーン!”
男の物から口を離さず、心で絶叫する恵美。
2人はくたりと崩れ、重なったまま満足して余韻に浸る。

「スゴイワ、アナタ、ワタシヲココマデイカセルナンテ…」
「恵美…」
恵美の瞳は手加減なしで男の瞳を捕らえる。
もう男の魂は恵美の物だ、あとは自分の中に取り込むだけ。
「サア頂戴…愛モ、精モ、魂モ…全部頂戴…」
「恵美…全部あげる…愛も、精も、魂も…命の全てを…」
「ウレシイ…」

これまで、他の男には、キスどころか、正面から抱きつく事も許さなかった。
サキュバスとして、最初にキスを、抱かれるのはこの人しかいないと、無意識で決めていたから。
なぜか、尻尾と翼をしまう恵美。眼の光も消して人間の姿を取る。
「サア…来テ…ココニ…入レテ…」
足を開き男を誘う。
男はゆっくり恵美の中に入っていき、入りきったところで動きを止める。
恵美は男を柔らかく抱きしめる。
2人の唇が軽くふれあい、ディープキッスに移行する。
恵美は舌を人間のもののままとし、男を受け止める。
ぺろぺろ、クチャクチャと激しくもとめる2人。
恵美の胸が2人の間でつぶれ変形する。
恵美の乳首は男の乳首と合わさり、離れようとしない。
腕が、足が、互いをまさぐるが腰は密着したまま動かない。

「まず…ここ…」恵美の女陰がヌラヌラ動き出し、男の物をさらに深く飲み込む。
睾丸まで飲み込み、膣の中でコロコロ転がし始めた。
「瞳…」恵美の目が金色に輝きだす。
「舌…」恵美の舌が伸びる、男の口の中を自在に動き回り翻弄する。
「尻尾…」恵美の尻尾が伸びる…一気に伸びて男の首筋を一周…舐めまわすよう動き、ビクビク震える。
「羽…」羽が伸び2人を包む、内側は、ビロードのような短い毛でびっしりと覆われていた。
この羽が、男をサワサワなでさする。
そして男はサキュバスの深い愛情と欲望に囚われた。
全身をくまなく愛され。快楽に溺れていない部分はない。
男は、もはや恵美の上で痙攣するのみであった。快感によって、男の全ては恵美の支配化に落ちた。
恵美はが腰をふり、男を撫でるたび、魂と精気が混ざって溶け、男の股間に集められていく。
そしてついに…男の全てが恵美の中にほとばしる。
恵美は歓喜の声でそれを受け止めた。
男「恵美ーー!」
恵美「イクーー!」

彼は、ベッドに横たわったまま、人として味わえぬ快楽の内に息耐えた。
新米とはいえサキュバスとなった恵美の全力の愛情で、精どころか魂まで奪い去られた。
男のからだはミイラと化している、ゴソッと崩れ、塵となって消えた。
全てが恵美に奪い去られた。

「モウ苦シミハ感ジナイノ、悲シミモ、罪ノ意識モ…ウフッ…ウフフフッ」
ベッドの脇にある鏡を見て言った。
「サヨナラ”恵美”…私ハ、さきゅばす・えみ…」
そのとき、恵美の頭に痛みが走る。
良心の呵責?
いや、頭が変形する。
耳の上、髪の中から生えたそれは、角だった。


【<<】【>>】


【鏡:目次】

【小説の部屋:トップ】