:舌


自分の舌の長さにびっくりしている。
動かそうとするがうまくいかない。
よっよっと動かすうちに、やり方が分かってくる。
レロッ
自分の耳をなめてみる。

”困った…”
これでは妖怪である。
よっとのけぞってみる、スルッと舌が口の中におさまる。
”便利ねー”
自分の体に感心している。
なぜこうなったのか、不思議と疑問が湧かない。

”コンドハ、コレデ…”
次の獲物を物色し始める。


公園からほど近い暗い路地を、一人の大学生が歩いていた。
”今日のバイトはきつかった”
そんなことを考えながら、とぼとぼ歩いている。
突然、目の前に女が現れた。
「?」
女の瞳が輝く、口を開く間もなく魅了される。
”…お前は私を買った…”
男の意識に偽の記憶を植え付ける。
”ぼくは…あなたを買った…”
”さあ…始めましょう…”
「あ、はい、初めてなんで、よろしくお願いします」
どぎまぎしながら、頭をさげる。
含み笑いをしながら、恵美は男の物を剥き出しにする。
「い、いきなり…!」
ネラリ、と恵美の舌が男の物を捕らえる。
ベタッと亀頭の下側に張り付き、裏筋を舌の先端が刺激していく。
亀頭に沿ってくるりと一週し、鈴口をちょんちょん刺激する。
「ひ、あ、すごい!」
あむっと、亀頭を飲み込み、キュッキュッと吸う。
唇で亀頭の周囲をあむあむ刺激しながら、舌は裏筋を刺激しながら伸び、睾丸に巻きつき、ころころ転がしている。
「うひゃ!…はは!」
男は直立して手を恵美の肩に乗せているが、それ以上なにもできない。
股間に感じる様々な亀頭と睾丸に別々の快感を感じ、すごくいいのだが、高まることができない。
亀頭が良くなると、睾丸の刺激が強まり。睾丸で感じようとすると、裏筋が…
翻弄されるうちに、体全体が快感で満たされる、物を考えることもできなくなる。
「あ、あ、出る!」
「!」
恵美は、吹き出る精をのどを鳴らして飲み干していく。
「はあーよかった…」
「じゃ今度は、69で…その次は入れて上げる…次があれば…」
「ま、まだ2度や3度くらい…」
挑発にのる男を地面に横たわらせ、腰をゆっくり振りながら男の顔をまたぐ。
体を倒して男の竿を再び口に含む。
男が何かをする暇は無かった。
恵美の女性自身が顔に近づく、どうすればよいか分からない。
女陰から生臭い、それでいて甘い香りが顔に吹きかけられると、男のはたまらなくなり舌を伸ばす。
「!」
舌が女陰にふれると、恵美の中に引き込まれ、生まれて始めてのディープキッスを女陰と交わす。
”あああ、これが***なのか…ああもう死んでもいい…”
夢中で舌を使い、顔を恵美の女陰に押しつける。
恵美の女陰の肉が、男の舌と絡み合う。
その間も、恵美の舌は男の竿に巻きつき、亀頭をしゃぶり、睾丸を吸い、菊座をつつく。
舌から、竿から、快感が襲い体中を満たす。
互いの口と性器が激しくせめぎあい、あっさり果てる。

ドクン、ドクン、ドクン、ドック…
恵美の口と子宮に男の命が吸い取られていく。
「あああ…何ていいんだ…もう死んでも…力が…あ・」
ゴクリ、最後の一滴が恵美に飲まれる共に、男の命も果てた…

立ち上がる恵美。
尾てい骨の辺りがつんつんしてきた。
「?」
ズルリのなにかが伸びる感触がある。
手をやると、ひも状のものが手にあたる。
自分の体の一部に違いないそれを前にもってきて見つめる。
尻尾であった。

恵美には尻尾が生えた、もはや人ではなかった。
だが、それを物陰で見ているものがいた。


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