4:女


−マンションの地下駐車場−
中年の警備員が、夜食のカップヌードルをすすっている。
”…わびしい”
カッカッカッ
ヒールの音が響いてきた。
見るとマンションの住人の一人がエレベータの方から歩いてくる。
高い車に乗ってブランドのバッグを持ち歩いている女だ。
その割に、色気がないなどと失礼な感想を持っていたが、今夜は雰囲気が違う。
”…男にでも会いに行くのか”
己が身の上を思い、世の中の不公平を呪いながらも、仕事にかかる。

「こんばんわ…遅くまでご苦労様」
「こんばんわ…お車、出しますか?」
「いえ…別のものを出して欲しいの」
「は?…はは、金をだせ! ですか」
恵美が妖艶に微笑む。
スッとコートを開く…その下は、何も着ていない。
「! な、何を」
「欲しいの…あなたが」
恵美が手を伸ばす
警備員の頭に手をかけ、自分の方に引き寄せる。
眼前に女の顔があった、瞳の中に自分の驚く顔があった。
”夢だ、これは夢だ…”
あまりの事に硬直している。
が、恵美は委細かまわず、ズボンのチャックに手をかける、男の物を引き出す。
手でさするが反応が鈍い、いらだち、もっと強くさすろうかと思う。
”体が疼く…早く入れたい…せめてあそこに…”
衝動に従い、男の物をやさしくつかむ。
そして自分の物に接触させる。

警備員「!?」 恵美「!」
双方の体に衝撃が走る。
警備員の物は、恵美の物に触れると、あっという間にそそり立ち、昇り詰める…が、出ない、
いや出せない。
恵美の方は、体の疼きが一層強くなっていた。もう、我慢できない。
警備員は、快感で硬直している。
恵美は、警備員をトンと、突き倒す。
以外に強い力で押され、警備員はペタンとコンクリートの床にへたり込む。

呆けた顔の警備員、ズボンのチャックが開き、そこから一物がのぞいているのが滑稽である。

恵美は微笑んだまま、男をまたぐ。
男の物に手を添えようとして、その必要が無いことに気がつく。
その一物は、男の思いと無関係に隆々とそそり立ち、恵美に呑まれるのを期待するかのように
ピクリ、ピクリと脈打っていた。
もうそれは恵美の物だった。

”かわいい…今、入れてあげる、あたしの中に…”
恵美が腰を落とす。
警備員「!」
絶頂状態の一物のたがが外れた、一気に精が吹き出る。
恵美の物はそれを強烈に吸い上げる、別の生き物のように。
下腹部にたまった熱いものが、痺れるような快感となり全身に広がる。
”すごい…生って、こんなに良かったの…もっと欲しい…”

警備員「あああああああ…あ。… はぁ、あ、あんた一体、何のつもりで…」
「…続けましょ。ふふっ」
恵美は再び男の上で腰を動かし始めた。
「! お、おぃ、あ、ああああああ…」
警備員の声が意味をなさなくなる、顔が呆けた物となる。
恵美は性急なピストン運動に移る。
「はっ、はっ、はっ、はっ、はっ……」
警備員の体が強烈な快感で硬直している。
”きて、あはっ、ゼンブ出シテ…”
「…そう、出して、全部…」
警備員の体えびぞる、声を出そうとして口をあけるが声が出ない。
全身が硬直しきって恵美をブリッジで支える。
”来た、キターーーーー”
警備員が再び精を出す、が、今度は止まらない。堰を切ったように、止め処も無く精が出る。
恵美の女陰は男の物を加えて離さない。
”イイーーー、アハーーー”
恵美の子宮が熱い直撃を受け止める。
再び、痺れるような快感が全身に広がる。

警備員がぐったりして床に伸びる。 そして…呼吸が止まった。

恵美は床に手をついて呼吸を整えている。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、……」
ようやく落ち着き、警備員が動いていないのに気づく。
ギクッとして、首筋に手を当て、脈がない事を確認する。

「死んでる……」
もっと驚くべきなのだが、快感の余韻で頭が働かない。
その時、下腹部にたまった暖かい感覚が、体の中を昇ってきた。
「!」何が起ったのか、思わず立ち上がる。
暖かい物は構わず、頭にまで達する。
頭の中にツンとした感覚があり、すぐ消える。
急に視界がぼやける。
恵美は眼鏡を外し、目を擦る。 視界は戻った。
「え?」手を見る。眼鏡はそこだった。
当たりを見まわし、車のサイドミラーを覗きこむ。
金色の眼…金色に輝く瞳の女が映っていた。

そして、恵美は魔性の瞳を手に入れた。


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