ワックス・フィギュア

17.行為


 ベッドの上で、『ワックス・フィギュア』赤い女体から逃れようと、研究員の白い女体がもがいている。 ちょっと見には煽情的な光景だが、定年間近の

研究員の体はたるみが目立ち、皮膚の針も失われ、くすみが目立つ。 『ワックス・フィギュア』の裸体がみずみずしいだけに、余計に『老い』が目立って

いた。

 「やめ……」

 研究員の声が掠れた。 息が上がっている。

 「おねがい……やめて……」

 懇願する研究員の顔に、『ワックス・フィギュア』の胸がのしかかり、内側から淡い光を放った。

 「あ……」

 研究員の眼が光にくぎ付けになり、表情から恐れが薄れていく。

 「ホシイカ……」

 「欲しい……」 研究員が呟く。

 「ノゾミヲ……カナエル……」

 『ワックス・フィギュア』の6本の腕が、2本に戻った。 その右手を、研究員の下腹へ這わせる。

 「あっ!」

 研究員の口から、驚きの声が漏れた。

 「そんな……うくっ……」

 張の無い太腿の付け根に、赤い手が滑り込み、しなやかに動く。 くねくねと蠢く赤い指が、とうに終わっている女体の神秘の、そのさび付いた門を、

静かに開いていく。

 「つっ……」

 研究員が眉をしかめた。

 「イタイカ……ココハ?……」

 『ワックス・フィギュア』は、彼女の反応を確かめ、微妙なタッチで『指』を動かしていく。

 「ん……あ……」

 研究員の声が徐々に艶をおび、足から力が抜けて行く。 『ワックス・フィギュア』の指が、女の歓びで濡れ始めた。

 「ココダナ……」

 『ワックス・フィギュア』が陰核を探り当て、撫で始めた。 優しく、入念に。

 「あ……あぁ……」

 研究員の足が広がり、秘所が露になる。 たるんで黒ずみ、使い古されたソコを、『ワックス・フィギュア』の指が丹念になぞり、緩めていった。 閉ざされ

ていた門が、求めるように口を開け閉めする。

 「お……おねがい……」

 「ナカニ、ホシイカ?」

 研究員が頷くと、『ワックス・フィギュア』は掌で彼女のソコヲ包み込むようにした。

 「イクゾ……」

 「あ?」

 研究員がビクンと身を震わせた。

 「は、入って……くる?」

 掌があてがわれているだけのはず……なのに、何かが入ってくる感触があった。

 「あぁ?」

 「イヤカ?」

 『ワックス・フィギュア』の無表情な顔が研究員を見据える。 研究員は躊躇った後、応える。

 「いや……じゃない……あ」

 ソコに、滑ったものが蠢く感触。 『ワックス・フィギュア』の手が、形を変えてソコに入ってくる。 しかし、異物とは思えなかった。

 「あ……あ?」

 『ワックス・フィギュア』の手は、形を変え、狭くさび付いた門に少しずつ入ってくる。 その動きは、滑らかで、繊細で、優しかった。

 「あん……」

 過去の男性経験では、男は性急に、自分本位に彼女を求めてきた。 そこに歓びはなく、ただ虚しさだけがあった。 それが、この異形の宇宙人(と彼女は

思っている)は、彼女を優しく扱い、高みへと押し上げていく。

 「ああっ……もっと……もっと奥に……」

 彼女の体が素直に反応していく。 枯れていた泉から情熱がゆるゆると流れ、赤く優しい粘体を奥へ、奥へと誘う。 そしてついに……

 ズ……ン

 女の奥底に、『ワックス・フィギュア』の指、いやモノが突き当たった。 鈍い衝撃と共に、彼女の体を快感が貫く。

 「あひぃ!」

 ズ……ン、ズ……ン

 「い、いいっ!」

 悶える研究員。 その耳に『ワックス・フィギュア』が囁く。

 「イクゾ」

 「き……きてっ!」

 ズン……ビユルッ

 『ワックス・フィギュア』のモノから、何かが吹き出した。 研究員の奥底に、粘る暖かいモノが注がれる。

 「ひぃッ……いいッ!」

 あられもない声をあげてよがり狂う研究員。 暖かいモノが奥底にへばり付き、蠢き、快感の渦へと彼女を引きずり込む。

 「気持ち……いいっ!」

 体の奥で、ヌメヌメと蠢く何か、それが快感と共に体に沁みとおって行く様な気がする。

 「ああ……入ってくるぅ……気持ちいいのが……」

 「ワカルカ……ソレガ、ノゾミドオリトナル……」

 そう呟くと『ワックス・フィギュア』は彼女から離れた。 その体は、元のサイズの半分にまで縮んでいた。

 「ノゾミハ、カナッタ……」

 『ワックス・フィギュア』はそう言うと、机の上に置かれた甕の蓋を開けた……

 
 「ああっ……ああっ……」

 研究員はベッドの上に横たわり、体を震わせていた。 その時、ドアが開かれて守衛と主任が飛び込んできた。

 「うわっ!! おい、大丈夫か」

 「ああ……ん」

 研究員は悶え狂っていて、主任の声は聞こえていないようだった。

 「医務室に運んでもらいましょう」 守衛が言った。

 「連絡してくれ。 しかし……若い女の研究員ならともかく、こんなxxxのxxxを見せられるとは……」

 主任は渋い顔で目を反らし、甕に近寄った。

 「この中に入ったのか? とても入るサイズには見えなかったが」

 守衛の連絡で看護師と応援の研究員がやって来て、年配の女性研究員を運び出す。

 「手当をして、精密検査しておくように」

 「何があったんですか? 外傷はないようですが」

 看護師が到着した時、女性研究員は失神状態になっていた。

 「宇宙人になにかされたらしい……ああ、奴はこの中だ」

 主任は甕を研究員に渡し、別な場所に保管する様に言った。

 「これなら、広い部屋は必要ないだろう。 動物用の透明なケージがあるはずだ。 そこに格納して、24時間態勢で監視しろ」

 「はい」

 「彼女にも一人つけておけ。 意識が戻ったら、話を聞こう」

 主任は部下に、甕と女性研究員を運び出し、監視するように命じた。
 
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