マニキュア2 〜ビースト・ウォーズ〜

25.麻美の危機


 ”フム……ジャ見ていなさい……”

 鷹火車保険医がそう言うと、獣娘達は二人を囲むようにして跪いた。 麻美はホッと安堵の息を吐き、鷹火車保険医を睨み

付けた。

 「あのねぇ、先生!」

 ”気が変ワッタ?”

 「いえ……」

 文句をつけようとしたが、迫力、色気、年齢、どれをとっても相手が上だ。 それに、いまだに体の自由が戻らない。 忌々しいが

青い爪の魔女の痴態を見物させられる羽目になりそうだ。
 
 ”サァ……”

 鷹火車保険医が、少年を三度招いた。 いやらしい手つきで、乳房の形を粘土細工の様に自在に変えている。

 「うあ……」

 目の前の光景に、少年はうめき声を漏らした。 豊かな白い曲線の上には、複雑な青い紋様が走っている。 それが、蛇の

様に形を変え、乳房の上で妖しく踊っているように見える……  いや、見えるだけだろうか? 青い蛇は、うねってとぐろを巻き

乳首を締めあげる、すると。

 ”アハァ”

 鷹火車保険医が、生臭い声を上げてよがるのである。

 「うう…」

 青い蛇の絡み付く乳房から目が離せない。 蛇が、自分の頭の中でとぐろを巻いているような気さえする。

 フワリ……

 いつの間にか、彼の手が鷹火車保険医の乳房を掴んでいた。 途方もなく柔らかい白い女の肌が、少年の若い肌に吸い付く。

 「……はぁ……」

 彼がため息を漏らすのと、手が乳房を弄り始めるのが同時だった。 細い指が、意外な力強さで鷹火車保険医の胸に食い込む。

 ”キヒィ!”

 獣じみた声で、鷹火車保険医がのけ反り、彼の手首を掴んだ。

 「ああっ……ああっ……」

 手が勝手に鷹火車保険医の胸を弄り、そのしっとりと柔らかい感覚を伝えてくる。 そして同時に、冷たい蛇が絡み付いてくる

ような異様な感覚も…… 彼は自分の手の甲に視線を送り、眼を見開く。

 「手、手に……」

 彼の手に、其の下の乳房と同じ青い筋が現れていた。 それは、蛇のようにうねりながら、手の甲から手首に、そして腕にと

広がっていく。

 ”ヒィィッ!”

 鷹火車保険医が一声なくと、彼女の乳首から透明な液体が噴出した。 やや粘り気のあるそれが、乳房にめり込んだ彼の手を

濡らす。

 「先生、これ……ひっ!?」

 彼の手に現れた青い線が黒変し、次の瞬間激しく脈打ちだした。

 「な……なに……」

 頭がボーっとして、意識が朦朧とする。 次の瞬間、体かフワリとした温もりで満たされ、そしてその温もりが手から吸い出され

始めた、甘美な快感と共に。

 「ああ……」

 ”イヒッ……感ジル……お前ノ精気を……モット……モット!!”

 鷹火車保険医は、少年の頭を掴み、ぐいとばかりに引き寄せた。 白い肌に青い紋様が踊る谷間に、少年の顔が埋められる。

 「ふにぃ!……ひゃぁっ……」

 変な声を上げながら、少年がパタパタと小さく暴れた。 しかしその幼さの残る顔に、青い筋が走り始めると抵抗はやんだ。

 「ふわぁ……」

 ”ホラ舐めてゴラン、吸ッテ……”

 再び乳首から吹き出す透明な滴。 それが少年の顔を汚し、唇を濡らした。

 「あ……ああっ!……」

 少年は、狂ったように彼女の乳首を求め、そして吸った。 脳が溶けそうに甘い滴が、口腔に溢れる。

 「あっ……あーっ……」

 少年の顔に踊る筋が青から黒に変わると、あの妙な温もりで頭がいっぱいになった。 そして、それが吸い出されていく。

 「いい……いいよぉ……」

 ”イイダロ……ホーラ、タマシイが抜けるミタイダロ”

 「うん……イイヨォ……フミィ……アハー……」

 少年は甘い声を上げながら、鷹火車保険医の胸に頭を埋め、透明な滴を舐め続ける。 その表情は恍惚一色となり、至福の

境地を味わっていることが明らかだった。

 「フナッ……」

 少年は一声上げると、意識を失った。 控えていた獣娘が彼を優しく抱き上げると、自分たちの体で愛撫して始めた。

 ”フッフッフッ……サテ……”

 鷹火車保険医は、麻美に視線を向けた。

 「!」

 蛇の様に縦に裂けていた瞳に妖しい光がともり、微かに開いた唇から、赤い舌がチロチロと出たり入ったりしている。 麻美に

何をするのか判らないが、よからぬことであるのは間違いなかった。

 「……」

 握った掌に汗を感じつつ、麻美は渾身の力で足を動かそうとする。

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