マニキュア2 〜ビースト・ウォーズ〜

23.対面


 保健室までやってきた麻美は、扉の隙間から中を覗き込み、あまりの光景に息をのんだ。 全身に青い紋様を刻んだ鷹火車

保険医が、男子生徒らしき少年を侍らせている。

 (先生の体……色は違うけど『呪紋』!?……先生が魔女なの!?)

 麻美は自分の手に目を落とし、そっと拳を握る。 手の甲に赤い紋様がうっすらと浮かび上がる。 その紋様をしばし眺め、

視線を鷹火車保険医に戻した。

 (私のは赤、先生のは青、色は違うけど紋様パターンが似ている……エミさんに言わせるなら『共通性が認められる』かしら

……あっ)

 戸を支えている麻美の手に力がこもった。 乳首を吸わせている鷹火車保険医の手が、男の子の背を弄っており、その下に

複雑なパターンが描かれているのだ。

 (『呪紋』を刻んでいる!……間違いない、先生はあのミレーヌのマニキュア使っている!)


 麻美が魔女となったのは、『呪紋』を刻むことのできるアイテム『マニキュア』を手にした為だった。 マニキュアには想像を絶する

力があった。 男性の精力を魔力に変え、使用者自身や他人に注ぎ込み、その肉体を変貌させてしまう。 当初、麻美は

マニキュアの力で、胸を大きくし、テストでいい点を取るために頭を良くするといったいじましい使い方をしていた。

 しかし、結果を深く考えないままマニキュアの力を使う内に、次第に抑制が利かなくなり、ついには他人から見境なく精を奪い

始めた。 彼女のボーイフレンド止めてくれなければ、今の鷹火車保険医の様になっていただろう。


 (でも……どこからマニキュアを? まさか、ミレーヌさんが先生に……待って、私のマニキュアはどこかに消えてしまったんだった。

 ひょっとしてそれを先生が?)


 麻美が自問自答しているうちにも、鷹火車保険医の手は別の生き物のように蠢いて、男の子の体を弄っている。

 「先生……なんだか……体が溶けちゃいそう……」

 男の目がドロンと曇ってきた。 『呪紋』を刻まれた体は、性感が高まり欲望が抑えきれなくなる。 それでなくても散々、鷹火車

保険医に弄ばれて、彼のモノは痛いほどにそそり立っていた。

 「フフッ……イイノヨ……モットヨクなりなさい」

 鷹火車保険医は固くなった彼自身を愛しげに撫で、そのまま自分の秘所に導く。 赤銅色に光るモノが、熟しすぎた果実の様な

女の花びらに触れる。

 「ひゃっ!」

 滑る肉の花にそれが触れた瞬間、彼のモノが溶け始め、いや違う、蕩けるような甘い快感にソレが支配されてしまったのだ。

 「あぁ……あぁぁ」

 彼のモノがヒクヒクと蠢き、望外の快楽に酔いしれている。 そして彼の体の方は、そのモノに支配されてしまっていた。

 「ウフフ……気持チヨクテたまらないんでショ……ほら」

 突如、鷹火車保険医の花びらの奥から、熱くねっとりした液体が吹き出し、咥えたままの彼のモノをそれで濡らした。 ねっとりと

した温もりに包まれ、彼自身がビクビクと震え始ている。

 「コレデイイ……さぁ……オイデ」

 そう言って、鷹火車保険医が腰をゆする。 そのはずみで彼のモノが、ズブッと肉の花に呑み込まれる。

 「ひうっ!」

 「フフ……カワイイワヨ……サァ……オイデ……私のナカニ」

 鷹火車保険医が腰をゆするたびに、彼のモノガ、ジワリ、ジワリと中に沈みこんでいく。 彼は、モノが女の温もりに包み込まれ

て行くにつれ、体全体が包まれていくかのような錯覚を覚えた。

 「あ、暖かいです……ああ……蕩け……」

 「サァ……溶けておしまいなさい……」

 内容こそ命令調だったが、声の調子はむしろ優しげであった。 その声が耳に入ると、彼の体は逆らうことができない深い

快感に犯された。

 ビクリ! ドクリ……ドクリ……

 「あ……あ……あぁぁぁ……」

 体の中が溶け、濃いスープになって流れ出していく様な、異様な感覚が彼を襲う、抗えない魔性の快感を伴って。

 「溶けちゃう……気持ちいい……あん……蕩けちゃう」

 うっとりとため息を漏らす男の子。 しかし、その表情にはすでに疲労の影が忍び寄っていた。

 「ンフ……若い子は活きがいいけど、持久力が課題よねぇ……カウ!」

 鷹火車保険医は、他の男の子と抱き合って、というより男の子を抱っこしてあやしていた『牛女』を呼んだ。 『牛女』は、抱い

ていた男の子をやさしく『馬女』に預けると、筋骨たくましい体で、のしのしと歩いてきて、鷹火車保険医の前にひざまづく。

 「この子に乳をあげて」

 『牛女』は無言でうなずくと、鷹火車保険医に精を捧げている男の子の頤に手をかけて上を向かせ、自分の胸で包み込んだ。

 「ふわぁ」

 真っ白くふわふわしたモノが、男の子の視界を遮り、その唇に柔らかなピンクの芽が触れた。

 チュ

 微かに口づけすると、ピンクの芽は彼の唇に滑り込み、生暖かい乳を注ぎ込む。

 ん、んー……コクリ……

 男の子喉がコクコクと鳴って、『牛女』の乳を飲み下し、生気を失いつつあった体が、僅かに張りを取り戻した。

 コクッ……コクッ……

 ドクリ……ドクリ……

 男の子は、鷹火車保険医に精を注ぎつつ、『牛女』から生気を注がれていた。 

 んくっ……んくっ……

 保健室の中が静かになる。

 はぁはぁはぁ……

 だれかが、荒い喘ぎ声を漏らしているのが聞こえるほどに。

 「誰っ! 覗いているのは! ラビッ!」

 ウサギ娘がすっ飛んで行き、扉を勢いよく開ける。 弾みで、扉に手をかけていた麻美が、部屋の中に転がりこんできた。

 「覗き? いけない子ね、お仕置きを……え?」

 鷹火車保険医は、耳を澄ませている様な姿勢で動きを止めた。 何かを聞いているようだ。

 「なんだ、貴方が一人目だったの」

 「え?一人目?」

 焦っていた麻美は、無理やり心を沈め、声を出した。

 「どういう意味ですか、先生」

 「これよ、貴方も使ったんでしょう?}

 そう言って、鷹火車保険医が小さなビンを振って見せた。 それは、麻美を魔女にした『マニキュア』の小瓶だった。

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