マニキュア2 〜ビースト・ウォーズ〜

18.乳牛女 対 柔道部


 エミが去ったを見届けると、白黒柄のコートの女性はエミと反対の方に向かう。

 ボヨン ボヨン ボヨン ボヨン ……

 コートを押し上げている胸が大きく上下して、歩きにくそうだ。 おまけに足元が見えてないらしく、躓いて危なっかしい。 とうとう

ヒールが脱げてしまった。

 「んもぉ〜」

 女は忌々しげな声を上げて足を止め、屈みこんでヒールを履きなおす。 と、その耳に何か威勢のいい声が聞こえてきた。

 たぁー…… とぉー……

 女は顔を上げるて、キョロキョロと辺りを見回す。 そして、声のするほうに向かって歩きだした。


 「てぃやぁ!」

 声がしていたのは、マジステール高校の『柔剣道館』と呼ばれる建物だった。 柔道部と剣道部が日替わり交代で使用しており、

今日は柔道部が乱取りを行っていた。

 「主将、とっくに日が暮れていますよ」

 「まだまだ! 大学部との練習試合も近い。 もっとみっちり稽古するんだ!」

 「はりきりすぎると、こないだみたいに主力が全員、怪我で棄権になりかねませんよ」

 「稽古が足りないから、怪我をするんだ。 体をしっかり作っておかないとな」

 主将はやたらに張り切っているが、他の部員は『そろそろ帰りたいな』感が顔に出ていた。 その頃、かの女は『柔剣道館』の

裏手にやってきて、窓から中を覗いていた。

 「若い男いっぱい……」

 女は目を輝かせて中の様子を伺っていたが、意を決して立ち上がり『柔剣道館』の正面に回ると中で練習中の部員達に声をかけた。

 「たのもぉ〜、あたしとあそびましょう」

 唐突に出現した女に、道場が静まり返る。

 「な、何だあれは?」

 「頭がアレなんじゃないか?」

 「うん、なんか普通じゃないぞ……見ろよ、あの胸。 すげー乳牛女だ」

 ぼそぼそと呟く部員達に向かって、女が胸を張って見せるた。

 バン、バン

 コートのボタンが二つはじけ飛び、コートの前が細長く開き、それを見た部員達が思わず唾を飲み込んだ。

 「えー主将。 このお姉さんが、どういう方か判りませんが、我々と親睦を深めたがっているように思われますが……」

 「……深めたいのか?」

 「それは、まぁ、えへへ……」

 「えへへじゃない!」 主将が怒鳴る。

 「それは俺だって……じゃない。 そこの人、我々は練習中なんです。 邪魔しないでいただけませんか?」

 『主将……』 

 部員達は、乳牛女を追い払おうとする主将を止めようとするが、主将の怒りに火を注ぐだけだった。

 「練習?……わかった、練習する」

 乳牛女は無邪気な口調で言うと、コート姿のまま道場に入ってきた。

 「おい君、勝手に入っては困る。 第一君は、道着も着ていないじゃないか」

 「主将、そーいう問題ですか?」

 「ドーギ? その白いゾーキン見たいな服? それを着れば練習していいいの?」

 「ゾーキンとは失礼な、あー君どこへ……」

 主将が止めるまもなく、乳牛女はどこかへ行ってしまった。

 「あーあ」

 「もったいない」

 「何を言っている。 さぁ、邪魔者はいなくなった。 練習再…」

 「着てきたよ!」

 唐突に『乳牛女』が帰ってきて、振り向いた主将と部員一同が目を剥いた。 どこにあったのか、彼女は男子用のLサイズの道着を

無理やり着てきていた。 下はともかく、胸元は巨大な乳は納まり切れず辛うじて乳首が隠れており、乳輪がはみ出ている。

 「な、な、なんという格好を!」

 『主将、口で言っても判りませんよ。 ここはやっぱり体に教えないと』

 「おまえら〜何を考えているか、判るぞ」

 うんざりした様な主将と裏腹に、部員達は嬉々として『乳牛女』を迎え入れ、『練習』を再開する。


 「では、おねがいします!」

 「しまーす!」

 最初の部員が『乳牛女』に挨拶すると、下心、いや○ケベ心丸出しで『乳牛女』と組み合う……いや、組み合おうとした。

 「どーした!」

 「手、手が届きません!!」

 恐るべき『乳牛女』の巨乳。 あまりの大きさに、部員の手が回りきらないのだ。 

 「遠慮せずに、押し込めぇぇぇ!」

 「はい!」

 部員は体をぶつけるようにして、『乳牛女』に組み付いた。 しかしこれが裏目に出る。 弾みで、巨乳が道着からあふれ出した……

彼にはそう見えた。

 「わぷっ」

 白い乳房の谷間に、頭がからひじの辺りまでがめり込み、自由を奪われる。 身動きできなくなった部員を、濃厚な乳の匂いが

包み込む。

 「うわっ……」

 全身の力が抜け、ひざが崩れる。 彼はそのまま道場の畳に押し倒され、巨乳に押さえ込まれる。

 「押さえ込み開始、時間を図れ」

 「主将、これなんて技です」

 「そうだな……『崩れ乳ニ方固め』だろうか」

 他の者達はのんきな事を言っているが、技をかけられている方はそれど頃度はなかった。

 (なんだ! これは……)

 体を押し包む乳房は、異様に柔らかく体に吸い付いて自由を奪い、甘ったるい乳の匂いが思考力を奪っていく。

 (いい匂い……頭がボーッとしてきた)

 (ほーら……ふわふわして、だんだん気持ちよくなってきたでしょう……)

 (ああ……ほんと……なんだか気持ちよく……あー……)

 ピクピクッと部員の体か震え、乳の下で逝ってしまう。 ただ、下が漏れた気配はなく、精神的にいってしまったようだ。

 「一本!」 

 「あ、落ちた」

 「む、恐るべし『崩れ乳ニ方固め』。 次は誰だ?」

 「俺だ」

 「僕だ!」

 「いや自分が」

 柔道部と『乳牛女』の戦いは続く。 

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