マニキュア2 〜ビースト・ウォーズ〜

9.蛇女の抱擁


 クククッ……

 蛇女は楽しそうに笑うと、ずるっと後ずさり、大穴森少年の腰からベッドの上に移動する。

 (しめた!)

 大穴森少年は、体をねじってベッドから床に転がり、間髪をいれず手をついて跳ね起きながら、ドアを目指す。

 グチャッ

 背後で何か湿った音がし、彼は反射的に振り向いた。

 (!?)


 「入れないよぉ〜」

 大穴森家の塀の上で、忍者姿のミスティがもがいている。 塀の向こう側に、見えない壁でもあるかのようだ。

 「む〜」

 悪魔ミスティは、他人の家には、招かれない限り入ることができないという制約を持っていた。 公共の建物なら自由に出入り

できるのだが。

 「シャーナイナァ。 先ニイクヨ」

 使い魔のスーチャンは、主を残して大穴森家の庭に飛び降りた。 ちょこちょこと庭を横切ると、壁に身を寄せた。

 「デハ」

 小ぶりな忍者服萎み始め、そこから染み出した緑色の粘体が、地面に流れ出す。 粘体に姿を変えたスーチャンは、壁に

とりつくと、上に向かって昇り始めた。 その上には、大穴森少年の部屋がある。


 「ああ……」

 「さぁ、御覧なさい……よーく見るのよ」

 蛇女は、ベッドの上でトグロを巻き、秘所をさらけ出していた。 いや、秘所というには大きすぎるだろう。 なにしろ、人の頭が

入るほどの大きな紅い亀裂なのだ。

 「さぁ……」

 パックリと開いた赤い亀裂の中で、光る粘液にまみれた赤い肉が蠢いている。 じっと見ていると吸い込まれそうな気がする。

 「おいで……」

 大穴森少年は立ち上がり、よろけるように足を踏み出した。

 「あ、足が勝手に……」

 額に汗を浮かべ、おびえる表情の少年を、蛇女はねめつける。

 「怖がらなくてもいいのよ……楽しいことをするだけだから……」

 そう言う蛇女の口元からは、鋭い牙が見え隠れしている。

 「……」

 大穴森少年は首を横に振り、なんとか自由を取り戻そうとするが、足の動きが思うようにならない。 そして、ついに彼の体が

蛇女に触れあう所まで来た。

 「くふっ……」

 蛇女は、体を大穴森少年に摺り寄せ、秘所を彼の腰に擦り付けた。 肉の唇が、彼の腰を寝間の上から咥えこむ。

 「ひいっ」

 蛇女のそれは、人の体には冷たく感じられた。 ビチャビチャと音を立てて、それが少年の腰の辺りをはむ。

 「や……やめて……いぁっ」

 蛇女が彼を抱きしめ、同時に寝巻のズボンをずり下した。 若い男性自身がむき出しになる。 同時に蛇女の女の顎が、それを

咥え込む。 

 「ひぎっ……」

 ジュルジュルグチャグチャと淫らな音を立て、蛇女のそこが彼の股間にむしゃぶりついている。 男性器のすべてを中に収め、

冷たい愛液の中でかき回す。

 「ひぇっ……」

 滑る肉の愛撫に、彼の男根は固くしこっている。 一方、蛇女の愛撫という異常な状況ゆえか、熱く快よい高ぶりが感じられ

なかった。

 「や、やめて……こんなこと……ひっ!?」

 固く縮まった男の証、そこにドロリトした妙な感触を感じた。 外からでなく内側で、粘っこい何かが蠢くような感覚だ。

 「なもなんだよ、これ……うぐっ!?」

 ズクンと粘っこいものが膨れ、男のモノが内から膨れたような感じがした、さらにもう一度、もう一度……モノが膨れていくような

妙な感じだ。

 「クフフフ……どうだ?……」

 「な、なにを……あ……」

 さらにもう一度、膨れる感覚、そして冷たい痺れが男のモノを包み込む。 大穴森少年が戸惑っている間に、冷たい痺れが

男根を突き上げてきた。

 「うあっ……」

 背筋を走った感覚に、思わず動きを止めた少年に、蛇女がささやいた。

 「蛇女の冷たい秘所は心地よかろう?」

 「え?……あぁっ……」

 冷たい痺れは、男根から腰に広がりつつあった。 それは快感だった。 冷たく痺れ、重く甘い、ゆっくりとひろがる蛇の快感。

 「な……ぁぁ……」

 呻きながら、少年は蛇女の腰に自分から腰を摺り寄せていた。 蛇女の中で、少年の男性器が咥えこまれ、嬲られ、そして

魔性の快感を塗り込められていく。

 「ああ……へんだよ……へんになっちゃう」

 「ふふ……もうじき……いくぞ……そうすれば、お前は私のもの」

 蛇女の呟きが、彼の心を凍りつかせる。

 「なに……どういうこと」

 「私の中でいくたびに、お前は私に逆らえなくなる……私のモノになりたくなる……自ら私を求めるようになる……」

 「そ、そんなこと……うっ!!」

 蛇女の呟きに気を取られている間に、彼の腰は深々と蛇女と交わっていた。 冷たく甘い痺れが体を走り抜け、粘っこい絶頂が

彼の男根を支配する。

 「あっ……ああっ?……あああ……」

 ヒクヒクと男根が蠢き、粘っこいものを心地よく吐き出し始めた。 

 「ああ、いい子ね……」

 蛇女は、薄く目を閉じ、彼を感じているようだった。 二人は、絡み合うようにして、至福の時間に沈んでいった。


 「……ん」

 どのくらい時がたったのか、大穴森少年が目を開けた。 目の前に、鱗に覆われた乳の谷間がある。

 「……」

 意識せずに、かれはその谷間に顔を埋めて頬ずりをしていた。 蛇女が目を開け、彼を見る。

 「……よかったわよ、君」

 蛇女は、彼を軽く引き寄せて顔を近づける。 少年は一瞬戸惑い、目を閉じると彼女と軽く口づけを交わす。

 「私が怖い?」

 「ええ……いえ、少し怖くなくなったような………」

 応えながら、大穴森少年は蛇女に妙にひかれる物を感じていた。

 「うれしいわ」

 蛇女は微笑んだ。 いや、先ほどまでと同じ、蛇女の冷笑だ。 なのに、なぜか笑顔にひきつけられる。

 「さ、もう一度しましょ……もっとよくなるから……」

 蛇女が、トグロをほどき、尻尾を彼に巻きつけてくる。 大穴森少年は、その尻尾に身を預け、そっと目を閉じた。

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