マニキュア

24.そして、奴隷に…


「うく…ぅぅぅ…うおっ!…」学は獣のように吼え、腰を引いた…
「ふふ…頑張るじゃ…ひぃ?!…」
ズーン…
学は叩きつけるように腰を突きいれる、そしてまた引く…
ズン!バン!ズン!バン!ズン!バン!…

「あはぁ…す、凄いわ…もっと…もっと突いて…あれ…うぁ…変ね…やん…中に入ったら…ひぃ…身動き…あぁ…出来なくなるはず…やん…」
学は全力で、腰をふる…
麻美はあせりだした…(あん…いい…じゃなくて…小池君の魂を抜き取らないと…やん…呪縛できない…)
学の魂を捕らえようと…子宮に念を込める…
ドロドロとした黒い快楽が、学のイチモツに絡みつき、魔性の快感を焼き付ける…
「うぐぁぁ…おぅぅぅぅ…」学がヒクヒク震える…しかし、ピストンを止めない。

(効いてるはずなのに…なぜ?…なぜ快楽に溺れないの?…)
ズズーーン…「ひぃぃぃ」「うぉぉぉ」
(いえ…快楽の虜になっている…でも腰を止めない…)
パーン…「あぁん…」「ぬぉぉ」
(あん…凄いの…カリが物足りないけど…肉棒がアソコを滑らかに出入りするのが…あれ?…ゴム?…コンドーム!)

「コンドーム?…ああ…サックのことですね…」
「そう…本来は避妊具。 「明るい家族計画」とも言うけど」お茶をすすりながらエミが答える。
二人は、水晶球を通して、麻美と学の対決(?)を観戦していた。
「私は人間の姿で「夜の女」をやってるから。 バイブと家族計画は必需品なの」
「それにしても…ゴム膜程度で…呪縛が効かないはずはないのですが…」
「効いてるみたいよ…でも…」

学は吼える…その頭からは理性が吹き飛んでいた…
至上の快楽を求め腰が動く…『魔宮』に魂を吐き出したい…魔の快楽の沼に浸りたい…が、亀頭に、男根に何かがまとわりつく…これが邪魔をする…
学はいらだつ…邪魔者を突き破ろうと、全力で突く突く突く!…思考力がなくなっているので、一度抜いてゴムを外すという考えが出てこないのだ。
そして、その動きは…魔性の愛欲の沼を亀頭に絡みつかせ、麻美の子宮に、膣に、広げる結果となる…

「いや…だめ…あん…動いちゃ…あはん…そんな…だめだって…」
必死に耐えて…学を呪縛しようとしていた…が、ついに自分から腰を振り始めた…
「いい…もっと…もっと突いてぇ…学…学…学ぅ!…」
「うぅ…うぉ…うぉ…うぉ…!…麻美…麻美…麻美ぃ!」
二人は同時にいく…
「あぁぁぁぁぁぁぁぁ…」「うぅぅぅぅぅぅぅぅ…あ…」
ズルズルと重なり合って崩れ落ちる二人…

「はぁ、はぁ、はぁ、も、もう駄目…何も…でない…」正気に戻ったものの、ついに学は精根尽き果てた…だが…麻美は…
ヌルル…学の下で、麻美が体をひねった…学の男性自身が解放される…
麻美を下に組み敷く格好になった…麻美が学の目を見据える…その目が…赤い光を宿す…全身に赤い縞が走っている…

(駄目…だった…先輩…いや麻美…これで僕は…君の…)
「学…」
「はい…」
「私は…あなたの奴隷…」
「はい…え?…」
麻美の顔が…剥き出しの欲望に溢れる…激しく学を抱きしめる。
「もう…離れません…ご主人様…さあ…いっぱい愛して…」

「…何よ…どういう事?…」
「『呪縛』は強力ですが…失敗した時は呪者に全てが…彼を『愛の奴隷』にする呪縛が失敗して…自分が、彼の『愛の奴隷』に…」
「…ああ、なるほど…でも、これじゃ…」
エミは水晶球を横目で見る…

「せ、先輩!」
「いや、『ご主人様』… 麻美って呼んで!」
「あ、麻美さん…落ち着いて…と…うわぁ…舐めないでぇ!」
「『ご主人様』ぁ…今元気にして差し上げます…」

「…これじゃ結果は同じかしら?…」

麻美は、東の空が白みかかるまで学を求め続けた…
そして、疲れ果てた二人は夢も見ない眠りについた。
朝日の光で満たされた部屋の中、小さな黒い影が出て行った…

−−− 三日後 「妖品店」前 −−−

道行く人々の視線が痛い。
学は額をおさえる。
その右には、幸せそうな顔で麻美が腕を組んで…しがみついていると言う方が正しいか。

二人は、『妖品店』のそばまで来た。
ここから先は、学の行けない世界…
麻美は名残惜しそうに、手を放す。
「ここで待ってて…どこにも行っちゃ駄目よ…『ご主人様』…」
また、学が額を押さえるが、麻美は構わず『妖品店』の結界に姿を消す。

カラーン…
この音を聞いたのは、久しぶりな気がする。
「うわっ…凄い…」麻美はの感想は前と違う…その赤く光る目は、前に見えなかったものを映し出す…
「いらっしゃい…」店の奥から『ミレーヌ』が声をかける…

麻美は、カウンターを挟んで、『ミレーヌ』と向き合う。
「幾つか、聞きたい事があるんだけど」
「内容に…よりますが…」
「私は…どうなったの?…」そう言って、手のひらを伸ばしてみせる麻美…爪が赤く光る…
「おわかりかと…『魔女』に…」
「それはわかって…この先は?…」
『ミレーヌ』は店の入り口を示す。
「彼に…呪縛されています…その間は…今のままかと…」
「つまり…これ以上『そちら側』に踏み込みたくなければ…」
「呪縛され続けるのが良いかと…」

一つ息を吐き出し、続ける
「『マニキュア』は?…あなたが回収したの?…」
「?…なくなりましたか?…」
「目が覚めたら…部屋の中にはなかったの…」
「…」
「アレって…勝手にどっかに行けるの?…」
「そんなはずは…」
二人は黙り込む。

麻美はさらにいろいろ聞いたが、はぐらかされて答えてもらえない。
今の麻美には、『ミレーヌ』の実力がわかる…力ずくではかなわない…

「これ以上は話してもらえないの…」
「すみません…」
「ね…最後に一つ、顔、見せて」
『ミレーヌ』は、ちょっと驚いたように身動きした。
が、躊躇することも無くフードをまくる。

(意外に普通の人…日本人でないのは予想通りだけど…)
麻美の感想通り…美人だが、絶世の美女でも、妖気漂う女でもない、多少の憂いはあるが…
「ご満足ですか?…」
「え?…ええ…御免なさい…」
「いえ…それよりも…『ご主人様』の貞操が…」
「は?…あ!…こら!そこの女何してんのよ!」
バタバタバタ…凄い勢いで『妖品店』から駆け出していく麻美…

「エミさん…その節はどうも…」
「生きてるじゃない…じゃぁ、借りを返してもらおうかな♪…」
「え…」
「とりあえず、駆けつけ10発程♪…」
「ちょっと!そこの女!私の『ご主人様』に何すんのよ!」

『ミレーヌ』は表の騒動を楽しげに見ている…
ふと、カウンターの上に置かれた、メイク用の鏡に目をやる・
麻美が見た通りの顔が…左右逆に映っている…
「あの娘は幸せ者…このまま『やさしい魔女』で一生を終えるか…それとも次の『ミレーヌ』になるのか…どちらかしらね…アンジェリカ…」

…クックク、クククククク…
楽しげな笑いが響く…『妖品店・ミレーヌ』…そこは、呪われた品物が…呪われる人間を選ぶための場所…
そして…また一人…
「御免!…きみ、そこの壷はどのような品かね…」

<マニキュア:妖品店ミレーヌ 1 終>

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