マニキュア

23.対決 彼と魔女


カチャ…学はそっと扉を開ける。
部屋の電気は消され、常夜灯のオレンジの光がモノトーンの陰影を作り出している。
ベッドの上で麻美が臨戦態勢…つまり裸で、こっちを睨んでいる…電話に出たときより不機嫌になっているようだ…

「遅かったわね…こっちに来て」
学はできるだけ平静を装うが…ドッドッドッ…心臓の鼓動が早鐘のよう…いや、ハードロックのドラムのようだ…
足が前に出ない…(落ち着け…落ち着け…悟られたら終わりだ…)

「どうしたの?」
麻美は不審そうに言い、立ち上がって学に近寄る。
息がかかるほどの距離に…彼女が生まれたままの姿で…落ち着くのは無理なようだ。

麻美は軽く目を閉じ、学に口付けしようとして…目を開いた…赤い輝きが学の顔を照らす…
「…匂う…女の匂い…それも人じゃない…どういう事?…」声に怒りがにじみ出る…
(まずい、エミさんだ…)
「『ミレーヌ』ね…そんな女とは思わなかった!…」麻美が早合点する…いやキャスティングを間違えただけで、おおむね正しい。

学は言い訳を考えようとするが、その暇はなかった。
麻美が軽く手を振り、『爪』が光る…学の全身に、赤い文様が走った。
「あっ?…」身動きできない…「そんな…まだ掻かれていないのに?…」
狼狽する学。
「…甘いわ…爪痕が残っている限り、体は自由にできるのよ…全く、初デートから数時間で浮気だなんて…男って…」
忌々しげな口調で麻美が言う。
(あれが…初デート…)落胆する学…が問題はそこではない。

「少し、お仕置きしようかしら…」
そう言って、学をねめつけ、学の股間に手をやる…魔力の気配を探るが、何も無い。
「キスだけね…まあ、今回は許してあげる…」

麻美は、学の肩に手を回し、ベッドに誘う…
学は、搾り出すように声を出す…「先輩、待って…」
「…何?」麻美が動きを止めた
「逃げたりしませんから…金縛りをといて下さい…じゃないと服も脱げませんから…」
麻美は不審そうな顔になる…
「逃げない?…あたしが何をするつもりかわかってるというの?…」
「多分…でも逃げません…好きです、麻美さん」
麻美の顔から表情が消えた、赤くなったのかも知れないが、常夜灯の明かりではわからない…
(い、いきなり何よ…恥ずかしい…どうしよう…)
麻美は動揺する…学が逃げ出さないようにすることだけ考えて、告白されるとは思っていなかったのだ…

学は息を吐く。 上手くいくかもしれない…
麻美の爪の光が消えた…学の体が軽くなる…
学は、ほっとして、シャツに手をかけ、「すみません…向こうを向いててください…」
麻美は素直に向こうを向く…後ろで手を組み…つま先で絨毯に字を書いてる…
その間に、学は服を脱ぎ、たたんで床に置き…ゴクッ…エミに渡された『何か』を左手に持つ…
麻美に向き直ると、左手を後ろ手に隠し、右手で額をかきながら、「どうも…準備OKです…」
麻美が振り返る…オレンジの光に照らされた学と向き合う…

麻美の姿に息を呑む学…完璧なプロポーション…(『爪』の力…)
ふと思う(このまま…麻美さんのものになってもいいかも…)

そっと学に抱きつく麻美、学は右手一本で麻美を抱き、口付けを交わす…不自然だが、のぼせ上がっているのか、麻美は気がつかない…
麻美はそのまま、ベッドに倒れこもうとするが…
「あの…」
「?」
「バックで…」
麻美はあきれる…
「何…まさかアナル趣味…」
「ち、違います…その…興奮した先輩に…『爪』で掻かれると…なんだか怖くて…」
麻美は、学に不満げな視線を投げつけ…肩をすくめると、学にお尻を向けて、壁に手をつく。
(よし…)
学は、麻美の細い腰に手をかけ…左手をそっと前に…

その時、麻美の『爪』が光り、学の左手の辺りに痺れが走った。
「あっ」 手に持ったものが床に落ちる…

ボトリ…ウィーン…ウニウニウニウニ…
床に落ちたそれは…ピンクのバイブだった…

(しまった…)
麻美が、こちらを睨み…バイブを見つめ…笑い出す…
「何かたくらんでいると思ったら…くすくす…何?これで先にいかせれば何とかなるとでも思ってたの?…くっ…あはははははは…」
愉快そうにひとしきり笑った後、笑いを引っ込め、冷たい目で学を睨む。
「『ミレーヌ』の入れ知恵…にしてはお粗末…それに彼女が、あなたに肩入れするとは思えない…誰か他の人?…まあいいわ…ゆっくり聞き出してあげる…すぐに私以外見えなくなるから…」
麻美は、そのままの姿勢で、右手を股下からくぐらせ…女陰に宛がい…指で広げる…
『爪』が光り…背中から、尻にかけての赤い文様が光り始めた…

「う…あ…」学の目が、麻美の尻に釘付けになる…
体の自由が奪われているわけではないのに、思うように動けない。
いや、自由にならないのは、頭の中…目が離せない…赤い縞が、背中で、尻で踊る…踊る…背中の縞が、さざ波となって尻へ流れ、谷間を流れ落ち…『魔宮』の入り口に誘う。
「見て…ここ…」

麻美の腰にかけた手に力が入る…手を添えるまでも無く、男根は固く張り詰め、麻美の女陰を指し示す…
チュ…ヌルッ…「あぁぁ…」
亀頭が柔肉の接吻を受けた…それだけで頭が白くなる…中に進みたいという強烈な欲望が体を満たす…
「うふふ…小池君…あなたを虜にする為に、念入りに準備したの…さあいらっしゃい…私の奴隷になるのよ…」

学は抵抗しようというのか、亀頭の先端で、柔肉をなぞるように動かし、鈴口で肉の真珠を軽くつつく…が
ツルッ…濡れたクリトリスの上で、亀頭がすべり、女陰に突っ込んでしまう…

「うふ…無駄な抵抗…可愛いわ…」
ピチャ…ピチャッ…浅く入った亀頭を…二枚の柔肉が舐めている…学は欲望が抑えられなくなった…
ズチャァァァァァ…卑猥な音を立てて、学が腰を突き入れる…
「うぅぅぅぅ…」カリが、ヌメヌメした無数の肉襞をかき分けつつ、『魔宮』の門扉を押し広げた…
「あはぁぁぁぁ…さぁ…おいで…魂だけになって…魔と快楽と愛の泥沼に…」
麻美の胎内に収まり、子宮口にはまり込んだ学の亀頭、それにドロドロとした黒い魔泥が絡みつく…
「あぁぁぁ…せ、麻美…麻美ぃ…」亀頭が溶ける…溶けて流れていく感触…
「いいわぁ…きてぇ…学…あたしの中にきて…」

【<<】【>>】


【マニキュア:目次】

【小説の部屋:トップ】