マニキュア

18.勝利、そして…


『麻美』を背後から、『学』が羽交い絞めにする。
ムニュゥルルル…
”な!…泥ぉ!?…”
泥で覆われているのか、泥で出来ているのか…触られた感触は泥…それもヘドロの感触…ヌルヌルした感触が気色悪い…
”放しなさい!…放して!…ひゃぁ…やめてぇ!…”
『ミミ』が、『麻美』の女陰に顔を埋め…舌で舐める…これも泥に覆われているのか…ヌルヌルと大事なところを這い回る…
”うぅぅ…やめてぇぇ…”
『麻美』は足を蹴り上げる…すねが、『ミミ』の股間に命中するが…
グジュルル…
”ひっ…気色悪…あれ?…”
何かがつぶれたような感触があったのに、『ミミ』は動じない…のろのろと『麻美』を舐め続ける…

”何よ…こいつら…や…やめて…”
『隆』が加わり…『麻美』を愛撫する…三人はあくまでゆっくり優しく『麻美』を責める…
最初は嫌悪感しかなかった…しかし、的確に粘膜を擦られていると、体(?)が反応し始めた…
”こんな…違う…感じてる…はず…が…”
…一度感じ始めると、感じる部分が広がっていく…それは、麻美の魂に魔が侵食して来る事を意味していた…
”あぁぁ…”
ズブッ…
『麻美』の足が膝の辺りまで潜る…

”あぁ…このままじゃ…くっ!…”
『隆』めがけて足を蹴り出し、つま先が顎にHitした。
今度は効いたらしい、『隆』は仰向けに倒れ、形が崩れて沼に沈んでしまった…芯まで泥でできた人形のようなものらしい。

”やった…頭が弱点なの?…この、いつまで舐めてるのよ!”
パシッ…ズルッ…
『ミミ』の左頬を右手で平手打ちする。
しかし、頬を滑ってしまい、『ミミ』は平然と『麻美』を舐めつづける…
”このっ…『隆』が弱かっただけなの?…このっ…”
パシッ…
張った右手をそのまま逆手で返した。
ドバッ…
今度は効いた、『ミミ』があっさり倒れ、沼に沈む…
”あれ?…どうして…『爪』ぇ!?…”
『麻美』は、爪が赤いのに気がついた。
”どうして?…『爪』の力は体にあって…ここはあたしの夢だし…第一『爪』の魔力は…”
そう、『爪』の魔力は『麻美』の足元に広がる『沼』にあるはずだ…
グニュ…
”また!…”
背後から『学』が、胸をもみ始めた…
”考えるのは後、これで戦える!…”
ザリッ…
胸を掴んでいる『学』の両手を引っ掻く…『学』が手を離し…ヨロヨロと下がる…
『麻美』は振り返るつつ、つま先で股間を一撃!
哀れ、『学』は股間を押さえ、もんどりうって『沼』に消えた…

”ふぅー…これで…勝ったのかな…え…”
ズボ…ズボリ…沼のあちこちが盛り上がり…『隆』…『ミミ』…『学』…一人ではない…次々と形をとり…のろのろと向ってくる…
”うげぇ…ゾンビ…”さすがにげっそりするが、対処がわかったせいか余裕がある。
姿勢を低くして指を曲げ、泥人形達に対峙する。

……何体かを相手にしてみると、『爪』さえ命中すれば一瞬で崩れ落ちる事がわかった。
拍子抜けして、殆ど機械的に近寄ってくる『ミミ』を右手で引っ掻く…たちまち崩れ落ちる『ミミ』。
”どういうこと…こんなものであたしを取り込めると思ってたの?…”

近寄ってきた『隆』に蹴りを入れようとして、ふと悪戯心が湧く…
”こうしたら…どうかな?…”
『隆』を引きつけ、陰嚢を狙って手を伸ばし…爪を立てる…グニャァァァ…
『隆』の表情が驚愕、愉悦、そして絶叫と形を変え…ゆっくり崩れ落ち…沼に消える…
”うふっ…”『麻美』の顔に、オモチャを見つけた猫のような表情が浮かぶ…
”感じる所はいっしゃなのね…いいわ…相手をしてあげる…”
『麻美』は、沼から出てくる泥人形の『学』達を見据え…『爪』を構える…
泥人形達は、数で圧倒するつもりなのか、ゾロゾロと『麻美』に近寄っていく…

……どのくらい時間が経過したのだろうか。
『麻美』と、数え切れないほどの泥人形との『戦い』が続いた…
鈍いが無数に現れる泥人形…それに対して、『麻美』は一人でよく戦った…
『麻美』の『爪』は、『隆』の男根を嬲り、『学』の陰嚢を揉みしだき、『ミミ』の女陰を責め上げた…
そして…

”ふふ…どうしたの…『隆』…”
『麻美』は、泥人形の一人を四つんばいにさせ、それに腰掛けている。
『麻美』の前には『隆』が仰向けで喘いでいる…
『麻美』は、つま先で『隆』の男根の付け根に触れる。
ビクゥ…『隆』が大きく震える…
そのままつま先で、男根をツーッと撫でると、『隆』は男根から黒い泥を噴出し、泥に戻る。
”あらあら…”『麻美』はつまらなさそうに言う…
その、背後から『ミミ』が忍び寄るが…
”ふん…”
『麻美』はそちらを見ようともせずに手を伸ばす…『ミミ』が動きを止める…その女のシンボルに…ピタリと人差し指があてがわれている…
”猫のくせに…生意気よ…”
そう言って手を一振り…『ミミ』は歓喜の表情で仰け反って倒れる。

もはや、ここで『麻美』に勝てるものはいなかった…
『麻美』は手の甲で口元を隠し、わざとらしくあくびをする…
”飽きたわ…そろそろ、目を覚ましますか…”
『麻美』は立ち上がり、腰に手を当て辺りを見回す。

”どうするの!…まだ戦う?…”
ズホズボズボ…黒い塊が湧き上がる…
”やる気?…あら…”
何十人もの『隆』『学』『ミミ』全てが、『麻美』に向って平伏していた…
”ふん…あたしの勝ちね…たいしたことないじゃない…”
辺りが暗くなる…淫夢が終わる…そして、麻美が目覚める…

……ベッドに横たわる麻美、その体は健康な肌の色に戻り、赤い呪紋も拭ったように消えている。
パチッ…麻美が目を開ける…両手を上げて大きく伸びをする…
「んー…『マニキュア』、どのくらいたったの?…」
(ほんの…数秒…)
「ほー…都合よく出来てるわね…」身も蓋も無い言葉を口にする…
「あたしが勝ったわよ…」
(そのようですね…)
「ご不満?…まぁいいわ…『隆』を人間に戻すわ。 手順を教えて」
(…戻しますか…)
「当たり前よ…弟が猫だなんて、恥ずかしいったらありゃしない…とっとと人に戻すわ」
麻美はそういいながら、脱ぎ捨てていた下着を拾い上げ、身に付け始める。
(…失敗?…)『マニキュア』の呟きには失望の色があった。
「何か言った?…」
(…いえ…では…まず、魂を…)

……………………………………

「うーん…あれ?…」
隆は、床の上で気がついた。
「いつ寝ちゃったんだろう…変な夢だった…」
隆は思い出す…ミミが女になって…自分は猫になって…ミミに呑まれて…麻美に声を掛けられて…
そこまで考えて、自分が裸なのに気がついた…
「ありゃ…風邪をひいちゃうよ…わわっ!?…」
ベッドに人が座っていた…怖い顔でじっと自分を睨んでいる
「姉ちゃん?…脅かさないでよ…」
安堵しかけ…フルチンに気がつき慌てて股間を隠す隆。 

どう対処すべきか考え、主導権を握るべく怒ってみせる事にする。
口を尖らせ、麻美をなじろうとしたが、麻美が先に文句を言う。
「隆…あなた…あたしの部屋に黙って入ったわね…」 声に怒りの気配がある。

ギクッ…「な、何の事…第一、姉ちゃんだって、俺の部屋に今いるじゃない…」
「あたしのマニキュアがどうしてここにあるの?…」
ギクッギクッ…「…あ…それは…ミミが…そうミミが咥えてきて…」
「で、ミミが自分の爪にマニキュアを塗ったと言うの?…」
「う…いや…その…ミミもたまには化粧ぐらい…あれ?…姉ちゃんがそれ何で知ってるの?…じゃこれはまだ夢?…」
「寝ぼけた事言ってるんじゃない!」

「うわ!…」ドサッ…
隆は、いきなり怒鳴られた事に驚き、後ろにひっくり返ってしまった。
「ね、姉ちゃん…夜なんだしもっと静かに…」
「本当のことをおっしゃい!…これをどうするつもりだったの!」
「……」
麻美の怒りがどんどん高まっていく。
(うー…こんなに怒んなくても…こりゃ、マニキュア塗ってオナるつもりだったなんて言ったら何されるか…あーあ…ぶち切れてる…目から火を噴いてる…え…)

隆が驚く…麻美の目が微かに赤く光っている…その光がどんどん強く…
「ね、姉ちゃん…目、目が…」
「目がどうしたって…それに姉ちゃんじゃないでしょ!…」
「えー…じゃあどう呼べば…」

麻美が言葉を切る…その表情から怒りが消え…薄笑いを浮かべる…ひどく冷たい笑みを…
「そうね…お姉さまとお呼びなさい…うふふふふ…」
麻美の両眼が真紅の光で輝く…
麻美の胸元から首筋にかけて、真紅の縞模様が赤い蛇のように皮膚の上を走る…服から覗いている部分全てに、複雑な赤い呪紋が刻まれた。

「姉ちゃん!…姉ちゃんまで…化けた…うわぁぁぁ…」
隆は四つんばいで、亀のようにあたふた逃げ出そうとする。
麻美は、その隆の尻の辺りを、つま先でトンと突いた。
ビクビクビクビク!…
「ひぎぃぃぃ…」隆の口から情けない声が漏れる、尻が痙攣するほどの強い衝撃を感じた。
足の力が抜ける…姿勢を保てない…
ごろんと横に倒れ、情けない格好で麻美の前に転がる。
縮こまった男の証が、何とも言い難い…が、隆にはそれを気にしている余裕は無かった…

「ね、ね、姉ちゃん…」ジロッ…麻美がねめつける。
「お姉様…」
「なあに、隆ちゃん…」…猫なで声が、妙に恐ろしい…
「その…目は…」
「別に…たいした事じゃないわ…それより…」
「…」 ゴクッ… 思わず唾を飲み込む隆…
「正直におっしゃい…『マニキュア』をどうするつもりだったの…」
「あ、あの…爪を赤くして…」
「うんうん」
「抜いたら…気分が出るかなって…」
「…………ばか」
(俺だって…そう思っているよ…)隆は、心の中で呟く。

「えーと…その…正直に言ったから…怒らないで…」
「怒らないわよ…」
「ふぅ…」 安堵する隆…が、少々早すぎた。

麻美は続ける…「ただ…可愛がるだけ…うふ、うふふふふ…」
そう言って、麻美は右足で、隆の睾丸に軽く触れる…

ビクビクッ…「うぐぅ?…」
ツンツン…ビクッ…ビクッ…「いぁっ?…何を…うあぅ!…」
ツツツー…麻美は足の指を、男根の裏筋に沿って滑らす。
ジジジジ…『爪』の後を追って…尿道の中を昇っていくものがある…
「ね、姉ちゃん…」
ギロ…麻美が睨む…隆が首を縮める…
「お、お姉さま…ぼ、僕達は、兄弟でありますですから…うぁぁぁ…や、やめて…ひぎ…く、くださりませ…ひにゃあああ…」
「なによ、そのでたらめな言葉遣い…もう少し勉強しなさいっていつも言われてるでしょう」
「そういう…いにゃぁぁぁぁ…」言い返そうとすると、麻美が足先でイチモツを嬲る…
ミミの時と同じ…いや、比較にならない快感が男根を…睾丸を襲う…隆はまともに口が利けない程の快感に悶え狂う…
「な、なに…これ…うぁぁぁぁぁ…」

麻美はベッドの端に腰掛け、足の『爪』一つで隆を悶えさせる…
隆は、ミミに吸い尽くされてこれ以上何もでない状態だった…そこを『爪』で嬲られるのは苦痛に近かった…しかし、逃げることもできない。
できるのは喘ぎ声を上げる事だけ…「ひぃぃ…やめて…ごめんなさい…ゆるしてぇぇぇ…」
「可愛い声で鳴くじゃないの…隆ちゃん…」
麻美は笑う…冷たく…いや、心の底から楽しそうに…

そして『マニキュア』が呟く…
(…第四段階の効果を確認…性格改造に成功…)

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