マニキュア

5.公園


タッタッタッタッ…夜道に軽やかな足音が響く…
小池学は小走りに『盛り場』公園に向っていた…

その頭の中は、混乱の極みにある…
(先輩が…『きて…小池君…』…『麻美先輩…』…まさか…でもさっきの電話は…他にこんな時間に呼ぶ理由が…ああっ、もう何が何だか…)
思考と妄想がごっちゃになって、学の顔はゆるんだり、考え込んだり、にやけたりと忙しい。 通行人がいたら、『何か』と誤解されたかもしれない。
(急がないと…何にしても『盛り場』に深夜待ち合わせなんて…どうかしてるよ…)

麻美は、一足先に『盛り場』の入り口に来ていた。
学の心配した通り、さっそく妙な連中が声をかけてくる。
「よぉ、一人かい?」「へっへっ…いけないねぇ…こんな時間にお嬢ちゃんが一人じゃ…一つお兄さんたちが守って…?」
麻美は冷たく笑い…一人の額に手を伸ばす…

「はぁっはぁっ…せ、先輩!…?…」
学が着いた時、麻美は、如何にもといった風体の二人に挟まれていた…様に見えたが、近寄ってみるとその二人は麻美の用心棒よろしく立っているだけ・・・
「小池君、早かったわね…貴方達、もういいわ。 どうもありがとう」 いいながら麻美は二人の額を指で軽く触る…
(マニキュア?…) 学は麻美の爪が赤いのに気がついた。
「どういたしまして…」「おやすみなさいませ…」
二人の若者は、ぼーっとした表情で去っていく…

「あいつらは?…」 今の麻美の仕草が奇妙に思えたが、それより連中が何者かが気になった。
「一人じゃ危ないからって、待ち合わせ相手が来るまで一緒にいてくれたの…親切な人たちよ…」
「はぁ…(そういう奴らには見えなかったけど…)」 首を傾げる学。
「来てくれたんだ…」 麻美が歩み寄ってくる。
「『来てくれたんだ』じゃありませんよ。 帰りましょう」

麻美はうつむき、消え入るような声で「やっぱり…いやなの…」
「いえ、こういう事は…その…機を見て…」
「両親は旅行中で明日はお休み…次は何年後かしら…」
そう言われると、学も考え込む…(高校生の間はもうこんな機会はないかも…)
「ね…お話だけでもしない?…」 麻美が誘う…
あこがれの先輩と夜の公園で語らう…学は誘惑に負けた。
麻美は、学の手を取り、『盛り場』公園に入って行く。 学は麻美に導かれるまま後をついて行く…

二人は街灯の下のベンチに並んで腰掛けた。
「ロマンチック…」遠くからかすかに喘ぎ声が…「とは言えないわね…」
「ええ…」 顔を赤らめる学。 話が途切れる…
学は右半身に麻美の体温を感じていた。 とても安らいだ気分になれるが、この先を考えると鼓動が早くなる。
そっと学の左手に、麻美が手を重ねる。 学は手を軽く握り返す。 細い指…
「小池君…」 麻美が呼ぶ。 学がそちらを見る…予想通り、目を軽く閉じ何かを待っている…
躊躇するが、ついてきた以上やることはやるべきだという義務感のようなものがあった…
自分も目を閉じ…唇を合わせる…柔らかい…麻美の唇が世界の全てになる…

麻美の手が学の手をそっと引く…カリ…かすかに爪で引っかかれた、甘い痺れが残る…
フニャ…手の中に柔らかい感触…しっとりとした肌、ツンとたった乳首…モミ…指が動く…
「…あん…」麻美が可愛い声を出す…(もっと聞きたい…)…モミモミ…「ああん…」…
学のズボンがきつくなってきた。 そこに麻美が手を添える…サワサワ…ゾクゾク…触られていると思うだけで興奮してくる…
チチチチチ…麻美の手がズボンのチャックを開け、スルリと滑り込む。
サワサワサワ…ムニュムニュムニュ…(気持ちいい…)麻美は学の急所を摩り上げ、手のひらを強く押し当て玉を転がす…
「もっと…よくしてあげる…」 サワサワサワサワ…
「はぁ…はぁ…」 学は深い息をして、麻美の手の感触に酔う…やさしく、柔らかく撫でられ、麻美の想い通りに形を変える袋…そして自分も…

時々爪が引っかく…醜い皺の塊を、美しい爪が嬲っている…そんな光景が頭に浮かぶ…
チリチリチリ…爪が陰嚢を引っかく…細かく指が蠢くのがわかる…
(女の子にされるのがこんなにいいなんて…うぁ?…)
爪の引っかいた所が急に熱くなる、痺れるような快感が皮膚を襲い、睾丸に染み込んでくる…ジンジンジン…睾丸が痺れる…たまらない…
「うぅぅ…あぁぁぁ…はぁ…」
「気持ちいいでしょ…」
快感が睾丸の中心に集まり、塊になる…ジンジンした感じが止まらない…
(これ…うぅぅ…いいよぉ…)
意識が囚われていく…

「ね…」サワサワサワ…
「はい?…」 モミ…モミ…
「お話だけでいいの?…」チチチ…グニャァリ…
「…」 学の手が止まる
「やめようか…」 グニニュゥゥゥゥゥ…グニャグニャ
「やめないで…」 モミモミ…
「なぁに…はっきり言って…」 チチチチ…サワサワサワ…
「やめないで…でも…」 再び手が止まる。
「?」
「場所変えましょう…」 そう言って学は近くの茂みに石を投げた。 「いて!」
麻美がため息をつく。 「そうしましょうか…」
辺りの茂みでガサガサ音がする…「ちぇ…いいところで」「もったいぶりやがって」「あーあ、つまんない」

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