ミルク

35.料理される者達


溺れかけていた騎士達は、それが何か見極める余裕も無くカルーアの触手(足)にしがみ付いていた。
「ゲホッ、ゲホッ」
激しく咳き込んでいると、誰かが鎧を外している。
てっきり仲間の誰かだろうと思っていると、「重イデショウ。溺レテシマウワ」と女の声。
ぎょっとして視線を向けると、白い『クリーム』のまみれの白い女が、楽しそうに鎧を脱がせているではないか。
「わっ!何をする」慌てて振り払うと、篭手が外れ、胸当てが落ちる。
急に動いたので手が滑り、再び『クリーム』の中へ。 
「ごわほぼっ!」
盛大にクリーム飛沫を上げて浮いて来た時には鎧下姿になっていた。
「うわっ!!…」手を上げて浮き沈みする騎士に、彼の腕よりやや細い白い触手が巻き付き、鎧下を脱がせて行く。
「ホラ、余計ナモノハ脱イデシマイマショウ…キャン!…」
殆ど裸にされながら、彼は触手の一つに噛みついた。
噛み付かれた白い女は、騎士を放して逃げ出した。
「くそ、逃がさん!!」
騎士…鎧を脱ぐと兵士と見分けがつかないが…は、身軽になったのを幸い、抜き手で『クリーム』の中を泳ぎ回って白い女達を追いまわす。
「イヤン」「コナイデェ…ウフフ…」
「待てぇ」
笑いながら逃げる女達。 それをクリームまみれで追いまわす男…
「捕まえた!如何してくれよう…うへへ…」
白い女を背後から捕まえ羽交い絞めにする。
がっしりした両手が、クリームと区別のつかないほど柔らかい女の胸に食い込む。
「ふへ、柔らかい…ひ…ひひ…」その表情がだらしなく緩む。 女は痛がる様子も見せず、胸を掴む男の手に自分の手を重ねる。
「ひひ?…はは…」
そっと、力を込め、緩め、また力を…
指が白い丘の弾力を覚え、滑らかな丘を這い、ザラリとした頂きで休む…クリームにまみれた指がヒクヒク蠢き、感触に溺れ…
「ひ…ひひ…」「ソウ…モット…ホラ…ハァ…」女の息が熱くなって来て、二人をネットリと包み込む。
クリームを掻き分け、別の白い女が男の背後から滑るように圧し掛かって来た…
熱く柔らかい感触が腰から、背中に滑って来た…乳首の感触が背中に二本の線を描く。
男は思わず仰け反った。 背筋をゾクゾクした感触が走り、クリームの中に浸かった腰が甘い痺れを覚える。
背後から抱きついた女が首筋を舐め、脇の下に手を差し入れてクリームを塗りつけるように撫でる。
「ひゃぁぁ…ああ…」男の口から愉悦のうめき声が漏れ、口元はからだらしなく涎が垂れる。 そして両手は別の生き物の様に、前に捕えた女の胸を弄り続ける…
ビチャ…ビチャ…褐色の逞しい男の体が、白く柔らかな二つの女体の間で不自然に蠢く。
「ああ…ああ…」「素敵ヨ…」「サァ…」
男の体がビクンと硬直した。 クリームの中でその男根が女達の秘所に捕えられたらしい。
「柔らかい…いいぞ…いい…」
呟きながら、男は女達の体に溺れていく。

「よるな!」女達のを振りほどき、一人の兵士がカルーアの足によじ登る。
「ツレナクシナイデ」「ソノ無粋ナ油ヲ擦リ落トシテアゲルカラ」
女達が手を伸ばしてくるのを、足で蹴って防いでいる。
(うう…自由が利かない。)
 最初にしこたまクリームを飲まされてしまっている為か、体が妙に疼き、手足の感覚が鈍い。
彼は滑って落ちないように、腹ばいになって柔らかな触手に捕まった。
と、カルーアが触手を捻る。
彼は触手の動きに合わせて、体の位置をずらしていったが…
ズチュゥゥゥ…「あひぃぃ」
反対側には、大小の乳房状の吸盤がずらりと並んでいた。 彼は、その上にべったりと抱きついてしまった。
ヌチヌチ、プチプチ…
「ひゃはは…く、くすぐったい…」
乳首が吸い付いてくる感触が堪らない…そして…
チュルル…ヌッチヌッチ…
「ぬ!?…ひ…」
亀頭に乳首か吸い付き…頭から呑み込み始めた。
「や…やめ…」
彼の性器に吸い付いたそれは、次第に膨らみながら根元まで…そして袋までが呑み込まれた。
そして、収縮しながら男性器を柔らかく揉みしだく。
「!」絶句する…暖かく柔らかな感触に余す事無く包まれた男根が、内から溶けて高まっていく…
「あ…ああ…ああああ…」
こみ上げて来るものを止める事ができない…彼は、熱いネットリとした物が吐き出される感触に酔いしれる。
「た…たまらん…溶けてしまいそうだ…」
”溶けるわよ…”
「え?」頭の中で声がした…
”私のミルクを口にした…貴方は直に溶けてしまう…熱い快楽のうちにミルクになるの…”優しげな女の声が恐ろしい内容を事も無げに言う。
彼には、なぜかそれが真実であると判った。
「い…いやだぁ!た…助けてくれ…死にたく…」
”何故嫌なの…人は何れ死ぬのよ…それも生きている間中苦しんだ挙句に…だから今…一生分…いいえそれ以上の快楽と引き換えに、体から解放してあげる…さぁ…”
声がそう言うと共に、『乳首』が彼を吸い込んでいく、乳首が広がって彼の腰をくわえ込んだ。
「たふ…ひゃぁ…ああ…」
熱く濡れた肉の感触…女の中を思わせるそれが腰回りを包み込んだ。 頭の中がその感触で一杯になり思考する余地が無くなる。
「ああ…ああ…」
気がついたときには、彼は大きく膨れ上がった乳房の、その巨大な乳首にズッポリと腰まではまり込んでいた。
そして腰回りで、ピンク色の皺の寄ったそれが蠢き、ジワジワとせりあがって彼を呑み込んで行く。
「はひゃぁぁ…たはぁぁ…」
乳房の中にある下半身がどうなっているのか…熱くぬめる舌に舐めなれているような…そして果てしなく柔らかいクリームに浸かっているような感触。
それは例えようの無い快楽…人同士の交わりの激しさ、熱さとは違う…どこまでも優しく彼を包み込み、全てを許してしまうような暖かさがあり、それでいて体の芯まで蕩かされるような深い快感が背筋を上って来る。
「と…蕩ける…」
”おいで…この子の体の中で蕩かしてあげる…”
「は…は…い…」
モゴモゴと蠢く乳房…そこからのぞく男の半身から力が抜ける…
傍目から見たらおぞましい限りの光景…しかし当人にとっての至福の時は、彼の体が『ミルク』となって消えうせるまで続くのだろうか。

「く、喰われていくぞ」「く…せめて一太刀」
カルーアの腰辺りにしがみ付いた二人の騎士が、仲間がカルーアの触手の乳房に呑み込まれて行くのを恐怖の面持ちで見送る。
彼らも殆ど裸に剥かれているうえ、体が疼いてきている。
ともすればカルーアの肌にしがみ付いているだけでおかしくなってきそうだ。
彼らが手にしているのは短剣…これをそこらに突き立てて見るが、さっぱり感じないようだ。
「駄目か…」「よし、俺はこいつを上って目か耳をやる」一人が悲壮な顔で言う。
「うむ、おれは臍かどこか弱そうなところをやる」
二人とも、もはや生きて返れる望みは無いと判っているのだろう。 捨て身の覚悟であった。

相手は、巨人…それも女であるから、正面からではオーバハングに阻まれる。
騎士は短剣を咥えると、背骨の凹凸に手をかけ、必死に登り始めた。
当然カルーアは気がついている。
背中に手を伸ばして彼を捕まえようとする。
彼は体を縮めたり、短剣でカルーアの指をつついたりしたが、結局捕まってしまった。
「コレコレ…悪戯シナイデ。 楽シイコトシマショウ」
カルーアは彼を捕まえて顔の正面に持ってきた。
これぞ絶好の機会と、カルーアの目に短剣を投げつけるたが、瞬きしただけで防がれてしまった。
「くそ!…くそぅ!」
暴れる彼を困ったように見ていたカルーアは、クリームをひとすくい手に取り、彼の体にタップリと塗りつけた。
そして彼を、胸の乳房の谷間に収める。
「頭ノ中ヲ柔ラカクシテアゲマショウ」
そして、両手で胸を挟み込むようにしてもみ始めた。
ダップン、ダップン…
中にが入れれば、2、3人は横なれそうな巨大な乳房が大きく揺れる。
中から聞こえる喚き声が熱い喘ぎに変わるのに対した時間は掛からなかった。

「貴様ら!何をしている!!」ルトールは岸辺で『上官の職務』…すなわちふがいない部下達を怒鳴りつける作業に専念していた。
その脇で、ガフとアマレットは騎士や兵士達がやられる様子を眺めていた。
二人は見た目は平静を装っていたが、実際はひどい罪悪感に囚われていた。
(助けてやりたいが…あそこに入れば俺達も同じ運命だ…ましてあの人数では…)
ガフは一旦視線を落とし、横目で無能な騎士団長をちらりと見た。
(逃げ道を探さないと…カルーア達から、そしてこいつからも…)

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