ミルク

26.ルウの誘惑


はっ…はっ…ボブは息が上がるまで走った。
自分が戻ってしまった事に気づいてはいたが、今は戻ることはできない。
やがて足が止まった。 もう走れそうに無い。
ボブは森に踏み込み、潅木の陰に座り込む。

頭を垂れてじっとしていると、そのうち眠気がやってきた。 無理も無い、一日歩き詰めで最後は全力疾走だったのだから。
ボブはそのままウトウトしだした。

サ…サッ…
「!」草を踏む足音でボブは目を覚ました。
音を立てぬように立ち上がり、木の影に貼りつく。
いた、小柄な『白い娘』の一人が歩いてくる。 彼を探しているのだろう。
(ちっ…こうなったら一人ずつ不意打ちだ…)
彼女はボブに気づかずに、彼が隠れている木の脇を擦りぬけた。
ボブは彼女に背後から襲い掛かり、左手で口を塞ぐ。
「ンー!」
ジタバタもがく女の胸に短剣を突き立てようとして…腰の鞘が空になっていることに気がついた。
「なんてドジだ…」
仕方なく右手で女の細い首に手をかける。
(こいつだって元は人…これじゃ俺のほうが悪人だぜ…)
良心が盛大に悲鳴を上げるのを押し殺して、右手に力を込める…と左手が緩んで女の口から声が漏れた。
「ヤメテ…ぼぶ…」
「!?」ボブが手を放した。 女は喉を押さえて蹲る
自分を知っているのはココモかカシス…だが二人はこんなに小柄ではなかった。
ボブは女の顎を掴むと、顔を覗き込み女の顔をまじまじと見つめた…
「お前…ルウ!」ボブが後ずさり、それに合わせるかのようにルウが立ち上がる。

ルウとボブは、背丈の3倍ほどの距離を置いて向かい合う。
「ルウ…」ボブの声が震える…他の女ほどに大きくはないが、ルウの胸は男のそれではない。 何より…
「お前…××××は…」間抜けな事を聞くボブ…
「ぼぶ…フフ…知リタイ?…」ルウの声が微かに艶を帯びる。 そしてにじり寄ってくる。
ボブは顔を青ざめ、大きく後ずさった。
「く、来るな!」「ぼぶ?」「近寄るんじゃない!」
ルウが一歩近づくと、ボブは二歩離れる。
ルウは近づくのをやめてボブをじっと見た。
そして、少し足を開いた姿勢での正面に立つ。
「ぼぶ…イイモノ見セテアゲル…」
「ルウ…?」ボブがいぶかしむ。

ルウはすっと両手を伸ばした。 天に向けて。 そして両手を頭の後ろで組んだ。
「見テ…」そう言うと、ルウはゆっくり体をくねらせ始めた。
暗い森を背景に、白い少女の蠱惑的な踊り…微かに揺れる胸…ピンクの乳首…
「おい?…」「見テ…目ヲソラサナイデ…」
ルウは腰を振り、胸を揺らす。 少年だったルウがどうしてこんな踊りを知っているのか…
「見テ…僕ヲ見テ…」
言われるまでも無く、ルウから目が離せない…

乳首が震える、揺れる、大きく、細かく、左右に、上下に…
(…何をしている…何を…何を…)
ピンクの乳首があさってを向き、またボブを向く…そして白い手が乳首を隠し…指の間から覗く…
(…何を…何を…)
ボブの思考が空回りする…頭の中でルウの肢体が踊っている…
棒立ちになったボブ…その眼前でルウの胸が揺れる…揺れる…
そしてボブの息子も棒立ちになっている。
ルウは踊りながら、ボブの股間に手を伸ばす…
器用に手を伸ばして摩り、また引っ込めながらボブの息子を顕わにしていった。
ボブはポカンと口を開けてルウに見入り、その息子は涎をたらして直立していた。

ルウの指がボブの陰嚢に触れる…突付き…軽く触れ…筋を引っ掻く…
触られるたびに、陰嚢が身を捩り、縮み上がる。
下からの突き上げに、ボブの息子が根元から震える…
ヒク…ヒク…ヒクヒクヒク…
「うっ…うっ…」ボブが呻き声を漏らす。
ルウのタッチは羽が触れるよう…なのに確かな感触がある。
ヒヤリとした指先が…少年の心を擽って高みへと押し上げていく。
「ぼぶ…」ルウは呟くと、踊りを止めた。
そして、立ち尽くすボブの息子に指を絡めて行く。
「ひっ…」ひやりとしたルウの指は、ヘビの様に少年の性器に絡みつき、熟女の指の様に的確に性感を刺激する。
ボブの腰ががくがくと揺れ、張り詰めた怒張がビクビクと震え出す。 なのに亀頭は絶頂の証を噴出さない。
「ああ…でねぇ…どうして…」
「ぼぶ…我慢シテ…コノママイッテ…マダ男ジャナイ事ヲ示シテ…」ルウの声に懇願が混じる。
「なんだって…」ボブが喘ぎながら応えた。
「男ジャナケレバ…女シテアゲラレルノ…僕ミタイニ…ぼぶ…」
「何言って…!…あぅ…ああ…あ…」
ボブは性器に冷たい痺れを感じた。 芯を貫く心地よさが、次第に熱く粘ついて行く。
「いい…ああ…いきそう…」「ぼぶ?…駄目!…出シチャ!」
そう言いながらルウの指は妖しく動き、ボブを急速に快楽の渦に引き込んでいく。
ボブが出してしまう前にいかせようというのか。 しかし、それは無理な相談だった。 既にボブは『男』だった。

「いい…熱い…」
トロンとした目つきでボブはルウの指に酔った。
そしてルウの努力も空しくボブの息子が欲望のミルクを吐き出す。
ドクリ…ドクドクドクドクドクドク…
「はぁ…」うっとりと精を放つ快感を味わうボブ…彼は初体験を済ましていたが、そんなものとは比較にならないルウの指だった…
そして、ボブはルウに体を預けるようにしてその場にペタリと座り込んだ。

ルウはボブのミルクで汚れた自分の手をじっと見た。
ペロリと舌を出し、手を綺麗に舐めていく。
「ソウ…ぼぶハ男ナンダ…仕方ナイネ…」
ルウは身を屈めると放心状態のボブの手を取り、自分の胸に導く。
ヒヤリとした感触に、ボブの手が一瞬ピクリと動き、そしてルウの小ぶりな乳房に吸いつけられた。
ボブの手がゆっくりルウの胸を愛撫し出す。

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