ミルク

24.懺悔


ガラガラガラ…出来のよくない車輪が、石だらけの地面で弾む。 
荷馬車は人を乗せるように出来ていない。 まして、並足より早ければ…
尻が荷台で弾み、ひどく痛む。 マリブはそれが自分に対する罰であるかのように感じていた。
荷台にしがみ付いたまま、暗い顔で口を噛み締める。
(どうして…逃げてしまったんだ。)
気がつけばドグの背中を追っていた。 
(みんなも逃げて来ると思ったのに…)
(ドグを止めようとしたのに…)
心の中で己を責める声に言い訳し続ける。

「ドウドウ…つ、着いたぜ」
はっとしてマリブが顔を上げた。 気がつけば村の入り口まで来ていた。
ドグが馬を駆け足で、途中からは早足で走らせてきたおかげで、行きの数分の一の時間で帰り着いたのだ。
日はかなり傾いているが、空の色が変わるにはまだ時間がある。
馬車は村に入って、教会の前で止まった。 マリブは馬車から地面に転げ落ちた。
「おい、大丈夫かよ…やわな傭兵だな。 へへっ!」命拾いできたのでドグは機嫌がいい。
「すみません。荷馬車が揺れたもので…」マリブは立ち上がろうとしたが、よろけてへたり込んだ。
「まあ…そうだな。あんた、そこで休んでてくれ。村長を呼んでくる」
そう言うとドグは馬を降り、村長の家に向かった。

マリブは教会の扉に手をかけた。 微かな軋み音を立て、木で出来た粗末な作りの扉が開く。
「…」
誰もいない。 正面の明かり窓は開け放たれ、ホーリシンボルと説教壇を影絵のように照らし出していた。
マリブはホーリーシンボルに向かい合って並べられている長いすの一つに腰を降ろす。
椅子は硬かったが、冷たい感触が尻の熱さ丁度いい。
先ほどのまでの馬車の騒々しさが嘘のようだ。 しかし、今のマリブには教会の静かさがかえって堪える。
(………………!)
仲間達が…ルウ少年がどうなったのか…頭を抱え込んで苦悩するマリブだった。 

「どうしました?」正面から声がした。
はっとしてマリブは顔を上げた。いつの間に来たのだろう、シスターが一人立っていた。
マリブはシスターの顔を見上げた…逆光の上にフードの陰になった顔がよく見えない。
マリブはシスターに対して頭を垂れ、救いを求める。
「僕は…僕は…仲間達を置き去りにして…逃げ出してしまったんです!」マリブは罪悪感に押しつぶされそうになり、嗚咽を漏らす。
シスターはマリブを慰めるように、彼の両肩に手を置いた。
「私に全てを話しなさい…創造主は子供らを許します」
「うえっ…うえっ…」マリブはシスターに懺悔しようとするが、声にならない。
今度はシスターがひざまずき、マリブに祈りを捧げる。
再び慰めるようにマリブの膝にそっと手を添え…そろそろと太ももに手を這わせ…
「ひっく…?…シスター?…」マリブはその手の動きを不審に思った…こんな祝福の仕方があったろうか…
「どうしました?続けて宜しいのですよ」
「いえ…その手…手…手が!…」
マリブはようやく気がついた。シスターの手…それが白い事に。
「ひっ!」
反射的に立ち上がろうとする。 が、しかし…
ズシッ…立ち上がる直前に、両肩に重いものが乗せられた。 柔らかな感触のそれからは甘い『ミルク』の香りが漂う…
「あ…あ…」マリブはどうしても背後を振り返ることができない。
そして、心のどこかで安堵していた…もうみんなに罪悪感を覚えなくて済む…と…

ドグは村の中を流れる川沿いに歩いていた。
まだ男達は農地や森に仕事に行っているはず…「と、森には入ってないんだったな」
頭を掻きつつ小川にかけられた橋を渡る。 小川の中で子供達がはしゃいでいる声が耳に…
「?」突然ドグは猛烈な不安感に襲われた。
足を止めて考える。 何か違う…これは…匂いだ!
「ミルクの匂い…ちっ!だれかミルク缶でもひっくり返したか?」
ドグは辺りに漂うミルクの匂いに気がついた。 珍しくもない…家畜小屋か台所なら。 だがここは道の真中だ。
ドグは凄い形相で辺りを見回す。
(そんなはずは無い…そんなはずは。 俺は村に帰って来たんだ。 もう大丈夫…!)
ドグが凍りついた。
子供達が小川で遊んでいる…白い川で…ミルク色の、ミルクの香りの漂う川で…ミルク色の女の子達が…
「た…あ…あ…」
ドグは腰を抜かしてへたり込んだ。
気がつけば、岸辺のでは働きに出る前の子供らが女の子達と…交わっている…
「ミリ…ミリ…いいよぉ」「あんでぃ…モット…みるくヲチョウダイ…熱イ『みるく』ヲ」
「お姉ちゃんだめ…汚い…やん…」「じょん…貴方ハ小サイカラ…ウフフ…女ノ子ニ…」
「ア、意地悪どぐダ!」『白い女の子』達の一人がドグに気がついた。
「げ!」ひねりも意味も無い声を上げ、ドグはその場から逃げ出した。
直ぐ先にある村長宅の扉を蹴って開けるなり中に飛び込む。
間髪を居れずに扉を閉め背中で扉を塞ぐ。
騒々しい気配に家人が気がついたらしい、足音がする。
ドグは背後に意識を向けながら叫ぶ。
「た、大変だ。村長を…」「オ父様ニ御用デスカ?」
「!」ドグが再び凍りつく。 見たくない…しかし…
ゆっくりと首を巡らす…それは村長の娘だった…今朝村を出るときまでは。
「あ…ひ…」そこに立っていたのは、ミルク色の女…村娘の服を着てはいるが、前をはだけて豊かな胸を惜しげもなくさらけ出した『白い女』が立っていた。
「御免ナサイ…オ父様ハ、みしでぃノオ相手中ナノ…フフ…ウフフフ…」
村長の娘は含み笑いをすると、一歩前に出る。
ユサ…白い果実が重々しく揺れる…ドグを誘うように…
「ひっ…助けてくれえ!」ドクは扉を引き開けて、転がるように表に飛び出した。 なぜかそこには誰もいない。
ドグは凄い勢いで走って行った。 それを村長の娘が見送った。
「アラアラ…アンナニ慌テナクテモ良イノニ…フ…フフ…」

何処をどう走ったのか、ドグ自身にもわからないまま彼は教会にかけ戻ってきた。
扉に体当たりをかけるようにして中に飛び込む。
「おい!傭兵!出た!出たぞ!退治しろぉ!」
一息に叫んでから、息を切らして膝に手をついて体を支える。
ゼーハー…ゼーハー…数回呼吸してから、やっとマリブが応えないのに気がついた。
「おい…お…」
ドグは自分の見ているものが何か理解できなかった。

マリブは長いすに腰掛けていた。 その彼の男根を、シスターの服を着た…多分年少のシスターリズだろう…『白い少女』が胸で挟んで摩り上げている。
胸の谷間から顔を覗かせる筈の亀の頭は、リズの口の中に見え隠れして、熱心な白い舌の奉仕に震えている…
ジュー…ジュー…リズの舌が鈴口を走り、カリをなぞるたびに、亀頭は激しく震えて白い『ミルク』を放つ。
リズの舌と唇はそれを捕え、一滴もこぼさずに飲み込んでいる。
だが、マリブがその器用な口と舌の動きに感心する事は無いだろう。 なぜなら…
ムニュ…ムニュ…マリブの頭から胸にかけては白い不気味な塊と化していたからだ…
ドクの口から搾り出すような呟きが漏れる。
「…シスタージェラ…」
大柄なシスタージェラ。 彼女が背後からマリブを捕えていたのだった…その胸で。
巨大に膨れ上がった白い乳房は、マリブの上半身を包み込み、中身を咀嚼するようにゆっくり動いている。
そして、下半身はシスターリズが…マリブは二人のシスターの乳で揉み解され…そして蕩かされていく…
(ああ…)マリブの口からため息が漏れる…既に彼は二人の虜…身も心は人外の快楽に溺れ、それに貪られていた。

ジェラの乳に背後から襲われた後、彼は一応抵抗したが、ジェラの胸の谷間は柔らかく膨れ上がって彼を挟み込み、身動きできなくしてしまった。。
そして身動きできない彼に、リズが口移しでミルクを飲ませてきた。
最初は、何の変哲の無いミルクに思えた。
しかし、まず次第に肌がピリピリしてきた。
そして、股間が言うことをきかなくなった…固く張り詰めてむずむずする。
マリブが腰をもぞもぞと動かし始めると、リズは股間を弄り、皮ズボンから男根を解放し、柔らかな谷間に収めた。
(はぁ…)
マリブのシンボルの型が取れそうなほど柔らかなそれに擦り上げられると、腰から下が溶けてしまいそうだった。
リズの唇が亀頭を捕えると、堪えきれない快感がマリブを襲いドロリとしたものを吐き出した。
すると、マリブの心から抗いが消えうせた。
マリブが抵抗しなくなると、二人はより優しく…より深い愛撫をマリブに加えていった。
体を包み込む甘く深い愛撫、股間を揉みしだく熱く情熱的な愛撫、そして亀頭を這いずるザラリとした感触…
比喩でなしにマリブの体が、心が、魂の奥までが蕩けていく。
”…さあ…貴方の体を『女神の娘』達の糧に…その知識を『女神の娘』達の知恵に…その代償として…”
マリブの魂が震えた。 神の…あるいは魔性の快楽が彼の魂を捕えた…人の身では得られない快楽が…
(あう…溶ける…蕩ける…ミルク…僕は…ミ…ル…ク…)
マリブはとろとろと内側から溶けて…ミルクになって…そして、二人のシスターはマリブのミルクを飲み込んで行く。
その有様を目にし…ドグはついに…失神した…

日が落ちてかなりたった頃、二人のシスターは足元で目を回しているドグを見下ろして考え込んでいた。
「ドウスルノ…コレ…」「サア…」

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