ともしび

25.炭火焼


「うっ?」 浴場に戻った枯草は体が重くなったような違和感を覚えた。 

「枯草さん…」 油山も同様の違和感を覚えていた 「僕ら裸でうろついたから風邪でもひいたんでしょうか」

「まさか」そう返した枯草の声に不安が滲む。

さっきよりも辺りが明るい。 『炎の女』の輝きが強くなっているのだろう。

(なんか変になりそうだ)


ズブリ… 石炭は再び浴槽に足を踏み入れ、『炎の女』を見つめたまま歩を進める。

『薫』は石炭に続いて湯船に入ると、足もとから沈むようにして『白い湯』に戻った

石炭は数歩進み、大ロウソクの手前で立ち止まった。

”さぁ…望みを…”

ぶつぶつと口を動かし、石炭が何かを呟くと、にぃっと『炎の女』が笑った


石炭の両脇に白い人形が…一度『湯』に戻った『薫』が湯からせり上がってきたのだ…二人になって。

ビチャ…

濡れた体で石炭を両脇から挟み込む『薫』達。

立ち尽くす石炭の顎を、左の『薫』がくいっと持ち上げてこちらを向かせ、軟体動物のような動きで唇を重ねてきた。

むぅ…

ヌメヌメと蠢く舌が石炭の唇を這い回り、中に滑り込んでくる。 溶け合うように絡み合う舌。

固くそそり立っているものが、ピクッピクッと動いて喜びを表現する。

すると、右の『薫』が滑る手を石炭の下腹に滑らせてきた。 そのままヌルリとした『湯』で、白い円を描く。

ヒクッ… 男根が跳ね上がり、『薫』の手を叩いた。

『薫』は手を返して男根をそっと握り、亀頭を手の中で弄ぶ。

ぐっ… 左の『薫』に唇を奪われたままの石炭の喉が鳴った。

くっ…くくっ… 右の『薫』は舌なめずりをして、腰をおとす。

石炭自信に顔を寄せ、舌で陰嚢を転がす。

うっく… 石炭の腰が震え、手が宙を這う。

『薫』の舌は、ナメクジのように袋の間に粘る跡を残し、玉の上戻る。 その粘る感触は、直に中を舐められているよう

だ。

彼女はそっと唇を寄せ、濡れた口の端で陰嚢をもて遊びながら、次第に男根を深く…深く…しゃぶり続ける。

石炭は足の間で蠢く淫らな舌が、じわじわと彼の奥へ、奥へと進んでくるような錯覚を覚えた。 そして最後は彼の魂を

しゃぶりつくす為に。

足が震え、立っていられない。 

その背後の『湯』から、別の何か浮き上がって来た。…

『薫』達は石炭への愛撫をやめ、『それ』に彼を横たえた。

(あ?) フワリとした柔らかい感触が、石炭の背中一面に広がる。

微妙なカーブを描く柔らかな何かに横たえられたらしい。

(ああ…) その感触を堪能する石炭に『薫』の一人が覆いかぶさってきた。


「い、石炭さん」情けない声を出す油山。「あれは…」 

「きよ…巨人…」と枯草が声を詰らせた。


枯草の指摘どおり、石炭は身長5m程度の巨大な白い女体の胸から腹に寝かされていた。

頭が乳の谷間におさめられ、尻が丁度へそのくぼみにはまっている。

その女自身は大の字になって、石炭を乗せたま動かない。

『薫』の一人が石炭に馬乗りなる、

あ…う… 

無数の柔襞が、固まりきった亀頭に纏いつき、滑りと温もりで解きほぐそうとする。

滑る肉がざわめく度に、甘い痺れが背筋を伝い、力が抜けていくようだ。

ビチャ…ビチャ… 時折足や手に暖かく濡れた感触。

目だけでそちらを見れば、もう一人の『薫』が『湯』をすくい、彼の足や手にかけてはゆっくりと摩っている。

(ふぅ…うう…) その愛撫は、彼の体に甘い悦楽の痺れを刷り込み、体が重くなって、下の女体沈んでいくような

錯覚を覚える。

(いや…本当に沈んでいく…) 石炭はぼんやりと考えた。

彼の体を流れる『白い湯』は下の女の体に触れると、水滴が水に戻るように女の一部となる。

彼に跨っている『薫』の秘所からは、白いドロリとした愛液が流れて彼の腰を濡らし、それもまた下の女体の一部になる。

そうやって彼の体は、次第に白い女の腹に包み込まれていく。 しかし…

(安らぐ…)

女の体の穏やかな暖かさは心地よさは、彼から思考力を奪っていた。

石炭の体は殆ど女の腹と一体化し、顔が女胸の谷間に除き、性器が臍の上辺りに…

その石炭の顔に『薫』の一人が顔を寄せ、貪るような口付けを求めてきた。

そして性器に跨ったもう一人が腰を激しく振り、灼熱の快感を伝えてくる。

(はぐ…うう…捕まった…いい…なんて…気持ちいい…) 石炭の頭の中で狂気の喜びが爆発する。

”…捕まえた…ああ…感じる…燃えさせて…もっと私達を燃えさせて…”

『炎の女』は女体に埋め込まれて、狂ったように二人の『薫』に責められる石炭を眺めながら自分を慰める。

そして熱い視線を枯草へと向けた。

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