ともしび

22.石炭


紙谷は、化け物のような乳房に半分埋まり、『乳房女』の胸に顔を埋め、ヌルヌルした甘い乳ともクリームともつかぬものを舐めている。

「紙谷!」枯草の叫び声がむなしく響く。 

「どうしましょうか…」おどおどしながら油谷が言った。「助けた方が…良いんですよね」

石炭が、”当たり前だろうが!”と言わんばかりの顔で油谷を見た。

何か言おうと口を開きかけたが、トドかアザラシの鳴き声のような紙谷のあえぎ声に渋面を作って言葉を呑み込む。

「うむ…確かにやる気が殺がれるが」枯草が言い、大ロウソクに半身を埋めている『ガリ』を指差す「このままだと、あの誰かみたいに

ミイラになってしまうぞ!」


”あん…もっとぉ” 『炎の女』の感覚は、『巨大乳房』と『乳房女』に繋がっているのだろうか。 紙谷が『乳房女』を愛撫するたびに喘ぎ、

腰をゆする毎に胸を押さえてよがっている。

「化け物め」枯草が唸る。

「あの…」油谷がおずおずと声を出す「あの女、どうして僕らには何もしないんでしょうか」

「何?」枯草が、それがどうしたと言う顔をする「何かして欲しいのか、お前」

「いえ…ほら、最初は薪之森さん、それから紙谷さん…ひょっとして一度に何人も相手にできないとか…」

「む…かもしれんな」石炭が唸る。
「全員で一斉に飛び込めば、紙谷を助けられるかるか?…いや、」と枯草が首を振る。「単に一人ずつ『味わう』つもりかも…」

しばしの沈黙。 そこに、とことんやる気をそぐ紙谷の喘ぎ声。 こんどはオットセイのほえ声のようだ。

「全員で飛び込んで、もし間違っていたらそれまでだ」と石炭「俺が試してみる。もし捕まったら引きずり出してくれ」

他の二人が止める間もなく、石炭が浴槽に踏み込む。

ドロリとしたものが足首に纏い付き、泥沼に踏み込んだかのようだ。

石炭はそっと一歩踏み出す。

”あん…ちょっと待って…” 『炎の女』が石炭に言った。

「ぬおっ!?」石炭の前に巨大な泡…と思ったら、これも紙谷を捕まえているのと同じ、大きな乳房になった。 それが、石炭の行く手を

遮っている。

「くそ…」ずほずぼと足を抜き差し、『乳房』を回り込もうとする石炭。 しかし、『乳房』は白い湯面の上をずりずりとすべるように動いて、

石炭の前に回る。

(油谷の言うとおり、一度に相手できるのは一人なのかもしれん)石炭は心の中で呟き、乳房を押して見た。

「むっ!」確かに乳房に手が触れたと見えた…しかし、そこに何もないかのように、手が白い乳房にめり込んだ。

「…」手を突き入れていくと、次第に抵抗が強くなる。 柔らかな圧力がい石炭の手の力と釣り合う頃には、彼の手は肘までめり込んでいた。

手を引い行くと、難なく抜けて戻り、乳房には跡すら残らない。 ただ、石炭の腕に、しっとりと纏いつく女の肌の感触だけが残っていた。

「よし」石炭は弾みをつけて、『乳房』に飛びかかる。 乗り越えて向こうに行くつもりだった。

フニャアアアア… (うぁっ・・・!)

それは、予想よりもはるかに柔らかかった。 

石炭の体は、乳房に横からめり込み、そのまま倒れこんだ。 手足を動かし上に抜けようとするが、極上のクッションのような『乳房』は彼の

体を深々と咥え込み、絹よりも滑らかな『乳房』の表面は彼の肌にしっとりと吸い付いて離してくれない。

「うわ、うわ、うわわわ」バタフライの動きで『乳房』から逃れようとする石炭。 その努力の甲斐あってか、体が少しずつずれていく。

ブニュ… 「むっぷ?」 顔に変なものが当たった。

(桃色のナマコ?…乳首か!) 乳房上に乳首かあるのは当然だったが、普段見慣れているものとサイズが違いすぎて判らなかったのだ。

「邪魔をするな」 石炭は這うようにして乳首にのしかかり、乗り越えていこうとする。 

胸の下で、ナマコのような乳首が変形し、暴れるている。

”あん…そこをもっと…”

「うあっ?」

鳩尾のあたりに乳首が吸い付いてきた。 そのまま胸の辺りをはいずり愛撫している。

「や…やめろ…」 背筋がぞくぞくして来た。 股間が固く張り詰め、乳房にめり込んで進みづらくなる。

「くそっ!」 やけくそ気味に手をぶんぶん回して、一気に乳首を乗り越えた…が。

ズブリ… 石炭の男性自身が濡れたなにかにはまっしまう。

「ひっ!?」 石炭が硬直した。 そして、

ニチャニチャニチャ… 柔らかいヌルヌルの口の中で、股間のものが咀嚼される感触。

「あ…ああ…」 痺れるような心地よさにが、つい動きを止める石炭

甘い痺れはたちまち腰に広がり、すぐに下半身の自由を奪い取る。

腰が乳首の辺りに勝手に擦り寄り、ザラリとした乳輪の感触を貪欲に感じ取ろうとする。

「やめ…やめろぉ…」 石炭は自分の体が思うようにならないことに慄然とした。 しかし、それも一瞬だった。

腰を支配した快感は、胸や背中をざわざわと震わせながら這い登り、石炭の全身を包み込んだ。

「い…」 石炭の表情がなくなり、次に陶然としたものに変わった。


石炭は巨大な乳首に自分の男性器を咥え込まれたまま、腰で小さな円を描き始めた。

ヒクヒクヒク…心地よく震える乳首に『炎の女』の喘ぎが重なる。

"あ…そんなにしたら…ボク…いく…いっちゃう…ひっ…"

ビュルビュルビュル… 一瞬、石炭の腰が浮いた。

巨大乳首から、乳ともなんともつかない白いトロリとした液体が迸しり、石炭のモノを吐き出してしまったのだ。

「あ…?」ドロンとした目で白い液体にまみれた自分と乳房を眺める石炭。

それは、むせ返りそうな甘い匂いを漂わせ、吸い込むと頭の中まで溶けていくような気がする。

のろのろと辺りを見るが、非現実的な光景とその『乳』のためか、頭がはっきりしない。

そして自分が座っている、『乳』まみれの乳房の感触がはっきりしている。

「ああ…ああ…」 喘ぎながら、『乳房』の上に自分から腹ばいになる石炭。

腹の下で、さっき『乳』をだした場かりの『乳首』が、お腹に吸い付く感触。

「はぁ…はぁ…」 吐息をもらいながら、ゆっくり目をつぶる石炭。

”そのまま…待っていて…お友達が終わったら…すぐしてあげるから…”

その囁き声に頷き、石炭は考えることをやめる。

彼を乗せた『乳房』は、子供をあやすように揺れながら、石炭を甘く…そしてとても安らかな快楽の眠りに浸らせて行く。

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