ともしび

9.延焼


あうっ… くはっ… 喘ぐ女教師…薫という名だった…に裸体となった蛍がのしかかる。

カーテンを締め切った薄暗い部屋の中で、肉感的な熟女と絡み合う微かに光る白い少女。 それは宗教画の様にも

見えた、背景が保健室でなければ。

蛍は薫の秘所を撫でていた指を止めた。 薫の腰が続きをねだる様に、蛍の手に押し付けられる。

蛍は体を起こして薫と自分の秘所を触れ合わせ、薫の足を胸に抱え込んだ。 そして小さく円を描いて腰を振る。


あぁ… 薫は喜びの声を上げた。 蛍の熱い肉襞が自分の女陰を咥え内側に引き込もうとしている。

ヌラヌラとしたものが互いを激しく舐めあって、ねっとりとした甘い疼き生み出し続ける。 しかし…

(あん…奥へ…もっと奥へ…) 火をつけられた女の欲望が、この先を熱望する。

蛍には薫の望みが判るのだが、彼女の体にはそれがない。

(ボクだって欲しいのに…) 微かな不満を感じつつ、蛍は腰の動きに強弱をつけて薫を責める。

グチュ、グチャ… 薫の下の唇が淫猥な音を言葉に変え、つのる欲望を訴える。

(わー ここに敬が来たら…) 開く扉、男の子の声… 薫が蛍を弾き飛ばし、敬を押し倒すのが目に浮かぶようだ。

(仕方ない…少し疲れるけど) ぶつぶつ言いながら、蛍は下半身に『力』を集める。


あっ? 予想外の感触に、薫の口から驚きの声が漏れた。

蛍の中から熱くトロリとした何か…愛液というにはネットリとしたものが溢れ、それが薫の中に入ってくる。

「ひ…あ…」

一瞬の恐怖、しかしそれが熱く震えだすと、たちまち意識は熱い快楽の沼に沈んで行く。

「うっく…どうだ…っ…あん…」 蛍の表情が曇る。 蛍が送り込んだ『ソレ』は、蛍の一部…それに薫の欲望が激しく

絡みついたのだ。

いゃ…あん…もっと… 

いいよぉ…女同士も…もっと… 薫の動きが蛍を酔わせ、その精気を蛍の体が求め始めた

トロリとした白い半透明の蛍の一部は、誘われるままに薫の奥を目指し、そこを満たす…熱く淫らな刺激で。

あくぅ!… 薫は激しく叫び、次に蛍の足を胸に抱いたまま硬直する。 そのお腹が不自然にビクビクと震える。

同時に蛍も硬直する。 微かに開いた唇から甘い呻きを漏らし、爛れた女の精気を堪能する。

ビクリ…ビクリ… 二人は一つの塊となって、互いに快楽と精気を貪りあう。


ガラッ!! 

激しい音を立てて保健室の扉が開き、光と共に怒れる敬が飛び込んできた。

「蛍!! 何をしてるんだ!!」

ふぇ?… 寝ぼけたような声を上げて蛍が敬を見る。

「…あ…やっと来た… 敬も混ざろうよ…」 蛍は白い手を力なく上げて、敬を手招きをする。

敬はつかつかとベッドに歩み寄り、蛍の手を掴むと力任せに引っ張った。

ズチュッ… 濡れた音を立てて、蛍と薫が別々の生き物に戻った。

敬は蛍を抱きとめ、厳しい口調で言う。 「蛍! 服!」

「ほぇ?」 まだぼーっとしている蛍。 両手を交差させ一瞬でセーラー服姿に変わる。

これを薫が見ていれば只ではすまない…はずなのだが、彼女はベッドにうつ伏せに蹲っていて敬からは大きな尻し

か見えない。

裸の女教師の生尻を、保健室で生徒が見ている…冷静に考えればとんでもない話である。 

しかし敬は頭に血が上りっぱなしで、そんなことに気が付かない。

「…敬は着衣がいいんだ…すけべ…」 妙にうつろな表情で、かみあわない会話を続ける蛍。

敬は一瞬怪訝な表情をするが、すぐに蛍の手を引いて保健室を出て行く。 「先生!!失礼ました!!」 

バタン!! 激しい音を立てて保健室の扉が閉まり、中は再び薄い闇に包まれる。

はぁ…はぁ… 薫の立てるため息にも似た声だけが残った。

その足の間から、一筋の白いモノが流れ落ちる…


足早に蛍を引っ張っていく敬は、途中で『ガリ』とすれ違った。

「ああ見つかったんだ。どこに…」 あっという間に通り過ぎていく敬と蛍。 一言「保健室だよ!」と言い残して。

「…なんだい!人に探させておいて!」 むかっ腹を立てる『ガリ』

『ガリ』は二人の後を追おうとして足を止めた。「保健室…ふん」

特に理由があった訳ではないが、なんとなく足がそこに向かった。

「まったく…あれ?」

保健室の引き戸が閉まっている。 のぞき窓はカーテンで閉められているが、これはいつもそうなっているので不思

議ではない。 

しかし、カーテンを透かして見える部屋の中が暗い。

ふぅ…ふぅ… 微かに聞こえる声は?


そろりと引き戸に手をかけ、そっと扉を開く『ガリ』

薄暗い保健室の奥、ベッドの上で白いものが動いている…

(!?) 女教師…薫がベッドの上で自分を慰めている…こちらに向けて足を開いて…いや…

「お入りなさい」 薫が言った。 暗い部屋の中にいたのだ、明るい廊下から扉を開いて気づかれないわけが無かった

反射的に身を引く『ガリ』。 とその目に別のものが飛び込んできた。

(…わ…あ、怪しい!…)

保健室の中、窓際の机の上にぽつんと一本のロウソクが灯っている。 さっき部屋の中を伺った時にはなかったはず

だが…少なくとも火はついていなかったはずだ。 付いていれば嫌でも気がつく。

『ガリ』はそのロウソクを見つめる。 ユラユラ揺れる炎…風も無いのに…から目が離せない。

「お入りなさい」 もう一度薫が言った。 のろのろとそちらを見る『ガリ』

(う…) 薫が足を開いている。 黒々とした陰りが彼を誘う。

ズクン… 熱い欲望が燃え上がる。

カタン。 気が付けば『ガリ』は保健室の中に入って、後ろ手で扉を閉めていた。

部屋の中をロウソクの明かりが照らし、大きな影絵を壁に照らし出す。

女の影絵が手を広げ、男の影絵が服を脱ぐ仕草をする。

そしてふたつの影が一つになる。

ビクン…炎が大きく揺れた。

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