紫陽花

16.三島vs静


ユウジが静に愛撫され始めた時、三島は正気を取り戻しつつあった。

「俺は…どうしたんだ…」

静の注意がユウジに注がれていた為、三島への注意がおろそかになっていたのだろうか?


首をブンブン振って、意識をはっきりさせる…そこで、静がユウジに抱きついているのに気がついた。

「ユウジ…おい彼は…未成年だぞ!」

三島は、乳湯の中をボチャボチャと這うように進み、静を後ろから羽交い絞め…にするつもりが力が入らない。

静に倒れ掛かるように、背後から抱きついてしまった。

しかし、それで静の両腕を背後からきめる形になり、ユウジを解放する事に成功した。


「先輩…う…」

ユウジは静の責めから解放され、こちらも多少正気になる。

しかし、体の自由が利かない…気を抜けばまた意識がぼーっとしてくる。


「…ここから出るんだ!…」

三島の叱咤が耳に入り、半ば反射的に体が動く。

ユウジは無様に転び、四つん這いで進み、湯船の縁に手をかけ、力を振り絞って体を引き上げる。

ザバッ…ベチャ…

「う…くそう…」湯から出ると体が重い。

洗い場に全身を引き上げたところで力尽きるユウジ。

「先輩…出ました…先輩…先輩?…」

三島の返答は無い…ユウジは湯船を振り返るが…モワワッ…

「むわっぷ…」

猛烈な湯気の塊が押し寄せてきて、視界を奪った。

あたり一面真っ白…その湯気は、静の乳の香りがする…


三島は立ち込める湯気の中で、背後から静を抱きしめ、静を問い詰めていた。

「貴様! なにか薬でも使ったのか!?」 

長い黒髪が、もつれ合う二人の素肌に纏わりつく。

(この髪を引っ張ってやろうか…)と乱暴な事を考えていると…ヌルッ…「お?」静の手触りが変わってきた。

ヌルッ…ヌルッ…静の全身が滑る…汗ではない…

「な、なんだ?…」驚く三島。 同時に静が体をくねらせる。

ヌリュヌリュ…三島の腕から白い女体が抜け出そうともがく。

「オイルか!?ローション?こいつ!」 静が何をしたのか判らないが、逃がすわけにはいかない。

あらん限りの力を腕に込め静を締め上げようとし…勢いあまって、彼女の胸を掴んでしまう。

ムニュゥゥ…「ひぃ!…」「おっ?」

三島が静の胸を握ると、静が悲鳴のような声を上げた。

「ここか? このっ!」

ムニュゥ…ムニュ…ムニュ…

三島は、静の胸を揉みしだく。 モチのように柔らかいそれは、面白いように形を変え、三島の手にしっとりとした感触

を伝えてくる…

「あぅ…駄目…そこは…」静が喘ぐ。

「やめて欲しければ話せ。 ユウジに何をした? 彼の友人達を何処へやった?」三島が抑えた口調で言う。

「ああ…あああ…」三島の腕の中で弱々しく抵抗を続ける静…黒い髪が波打ち、白く細いうなじが三島の眼前で、右

に左に揺れる。

ゴクリ…生唾を飲み込む三島。

「おい…答えろ…」フニフニ、ムニムニ…三島の指が静の乳を揉み、乳首をつまむ…押すと弾む、撫でれば震える…

白い丘を三島の指が飽くことなく撫で回す…


身をくねらせていた静が、急におとなしくなった。

「ああ…ああ…話します…お話します…ですから」静が息も絶え絶えに答える。

「だから?」

「その手を…」そう静が言った。

「あ?…ああ…」

三島は、指に込める力を抜く…しかし、油断なく乳首をつまみ、いつでも捻りあげられるようにする。


「それで?…」

「え?」

「何がお聞きになりたいのです…」 静の表情は見えないが、口調に余裕が感じられた。

「聞く?…ああ…そうだ、君達はユウジの友人達をどうしたんだ」

「精一杯のおもてなしをして差し上げただけですわ…ふふ…」

三島は静の口調に、嫌な予感を覚えた。 ことさらに強い口調で聞く。

「答えになっていない。 今何処に、どうしているのかを聞いているんだ」


しばし間が空き…静が答える。

「うふふ…直にお解かりになります…直に…ふふ…うふふふふふふふ…」

静がねっとりと絡みつくような含み笑いを洩らす…

(この女!なめてるのか!)

むっとして、もう一度静を責めようとし…自分が…正確には自分の『手』が…既に、静の白い丘をいやらしく撫で回して

いるのに気づいた…いや、先ほどからずっと手が止まっていなかったのだ…


ヌルヌルヌル…ヒクヒクヒク…あたかも別の意思を持っているかのように動く手に…三島は唖然とする。

「な…」

ニュクッ…ニュクニュクニュクニュクニュク…

「お?…おおおお…」

手の動きを意識した途端…手が異様な感触に支配されているのに気づいた…

ヌルリ…ニュクッ…フニ…キュゥン…モニュ…クニュウ…

(手が…止まらない…)

”心地よいでしょう…ふふ…”

(そうだ…心地よい…手が…とても…止まらない…)

ヌルリ…ニュクッ…ヒクヒク…ニュクニュク…

一撫でする毎に…手が心地よさで満たされてゆく…その感覚が腕に…二の腕に…広がっていく…


ヒク…ヒックヒック…ヒクヒクヒク…

(お…おお…)

腕までが…静を求めて蠢き始めた…自由にならない…

「な、なんだ…う…う…」

ニュクニュクニュクニュクニュクニュク…

腕が硬直する…そして肩も…胸まで…三島は全身で静を愛撫し始めた…

”ああ…私も心地よいですわ…もっと撫でて…もっと触って…”

「なんて…柔らかい体…触っているだけで…蕩けるようだ…おお…おお…」

心地よさが体の中に満ちると、体の芯が縮こまっていくような…周りの音が遠くへ行ってしまうような…

(あ…あ…)


「ふふ…」静は笑って、そっと三島の手に自分の手を重ね、自分の胸から放す…

「う…うう…」三島は再び身動きできなくなっていた…さっきと違うのは…体の中になんとも言えない心地よさが満ち

て…

「は…あ…」三島の目はトロンとして焦点を失い…意識がどこか遠くを彷徨っている…


静は、三島と正対し目を覗き込み満足げに頷く。

「私の乳がお気に入りですのね…たんと味わってくださいませ…」

そして、ヒクヒクと震える三島にそっと抱きつく…


(うぁぁぁぁぁ…)

三島が硬直する…静にヌルリヌルリと愛撫される…この世のものとは思えぬ快楽に、魂が蕩けていく…

(何をされ…ああ…もっと…もっと…)

”では…”

静は、三島の頭を抱きかかえ…豊かな胸に抱く。 そして…

フニュフニュフニュ…

(おぉぉぉ…)

白く、ヌルリとした果実が優しく頬を撫で…鼻腔に甘い乳の匂いが満たされる…頭の中に乳が満たされていくようだ…

”目を閉じて…”静の声が心に響く。

三島は静に言われるままに目を閉じてる…

ムニュル…ムニュル…ムニュル…

顔に当たるふくよかな乳房、甘くうずまく香り、互いの肌がこすれあう微かな音が全てとなった…


ピクッ…ピクッ…時折ひきつけたように三島の体が震える…

フニフニした感触は次第に広がり…頬から耳へ…そして耳を包み込みんで音を奪い…後頭部にまで…

(あれ…どうしたんだ…こんな…ばかな…)

”うふふ…心地よいでしょう…気になさいますな…”

(気にしなくて…いいのか…おお…)

グニュ…グニュ…

首が…肩が…そして胸までが…何か柔らかなものに包まれ…ゼリーかモチのようなそれは…確実に体の自由を奪っ

ていく…

だが、柔らかい愛撫に心奪われている三島には、恐怖もあせりも無い…

(ああ…)

体をうねらせ…自分からもその「何か」を愛撫する…全身で…


(いい気分だ…ずっとこうしていたい…)

気がつけば、全身が何か柔らかなものに挟まれ、モニュ、モニュ、モニュと咀嚼されているかのように揉まれる…

(はぁ…ん…)

動きが変わった事に気づく…ヌリュ…ヌリュ…狭い谷間をずり上がるように体が進んで行く…

(お…おぅ…ああ…)

柔らかな滑る肌…それに擦られながら上って行く…柔らかくなった体が…心なしか固くなって…

”ふふ…いきたくなってきましたか?…では…もっと…”

静の呟きとともに…頭の中がポーッと白く…体が固く…固く…痺れる…止まらない…

(う…うう…いく…いくっ…いくっ…いくっう!)

背筋を電気のような快感が走り…全身が激しく震える…

「うおおおおっ!…」

ビクビクビクッ…ビクッビクッビクッ…男根が、激しく精を吐き出すのを感じた…そして…

”はぁぁぁぁぁぁ…”静の歓喜の声が体に響く…

キュゥゥゥゥゥ…体が心地よく締め上げられ、弾みで三島の体が上に向かって滑りあがる。


ズルルル…ズボッ…パシャ…

「うぷっ…はぁっ…はぁっ…はぁっ…」

上半身が、「何か」から搾り出されるように飛び出した…そこは湯の中で、ちょうど頭が水面に出た。

一度達し、妖しく柔らかな物の愛撫から逃れた事で、三島は正気を取り戻した。

(はぁ…はぁ…いつの間にか沈められていたのか…ん?)

まだ下半身は「何か」に挟まれ、湯気が立ち込め見通しがきかない…にしてもさっきまでと様子がまるで違う…


三島は辺りを見る…湯船が恐ろしく小さくなって…人が一人入るのがやっとの三角形になっている?…

(彼女がいない?…)

半ば無意識に、両手で白くなめらかな湯船の縁に手をかけ…ムニュゥゥゥ…「あはぁぁぁ…」「おぉ?」

(柔らかい?…この感触はさっきまでの?…第一今の声はどこから…)


「まだ…お気づきになりませんか?…」

ゾクゾクゾク…背中を通して、三島の体の中に静の声が響く…

(頭の上!?…)

信じられない…信じたくない…しかし…三島は頭上を振り仰ぐ…そこに、巨大な静の顔が…

「!」

慌ててもう一度顔を巡らし、自分のいる場所を確認する…静の胸の谷間…片方の乳房だけで5mはあるだろうか…
三島そこにはさまれていた

「ばかな…こんなばかな!…彼女が巨人に…それとも俺が小人に!?…ありえない…ありえない!?…」


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