ハニー・ビー

6-08 生誕の儀式(終)


 ハァ……ハァ……

 草むらに横たわり、ルウは熱い喘ぎを漏らしていた。

 その足の間で、女王の触手がヒクッ……ヒクッ……と脈打ち、ルウの胎内に蜜を送り込んでいる。

 不思議なぐらい、ゆったりと時が流れる。


 サク……

 ルウが体をひねって体を起こし、横座りになって女王を見る。

 「……」

 女王が僅かに頷くと、ルウは立ち上がり、滑らかな動きで女王に歩み寄る。 そして、コブシほどもある女王の

『女の核』に優しく口付けた。

 ビクッ!

 女王の体が震え、一瞬遅れてルウの体が大きく震えた。

 ア……
 ルウの口から甘い喘ぎが漏れ、白い喉を見せて仰け反るルウ。 しかしその両手は別の生き物の様に、女王の

『女の核』を恭しく愛撫し続ける。

 ア……アァ……

 ハァ……イイ……

 女王とルウの喘ぎが、淫らなハーモニを奏でる。

 女王の触手が、女王とルウを深く結び付け、その体で生じる快感を、余すことなくルウに送り届けていたのだ。

 ア……アア……

 いまのルウは女王の一部だった。 ルウは魔物の快楽に圧倒され、翻弄される。


 ニュルン……

 女王の秘所から、激しく興奮した触手が吐き出された。 触手はルウの胴に巻きつき、つつましい胸を愛撫する。

 アフゥ……

 ルウは身をよじってよがるが、女王への愛撫はやめない。

 ニュルン、ニュルン……

 興奮し、テラテラと濡れた秘所の隙間から、次々に触手が吐き出されてはルウに絡みつき、妖しくのたうつ。

 ルウは体の心まで痺れるような快楽に酔いしれた。


 ビチャリ……

 お腹の辺りが、濡れた秘所に触れた…… と思った瞬間、女王の秘所がぱくりと口を開け、ルウの下半身を丸ごと

咥えこんだ。

 フニィィ……

 ヌルヌルとした肉が、足から腰に巻きついている。 そのヌメヌメした襞は、骨まで感じるような愛撫でルウを包みこむ。

 アー……アァー……

 声を上げながら、ルウは足と腰を巧みに震わせ、女王に応えた。

 女王はルウの動きに反応し、さらにルウを引きずり込んでいく。

 ビラビラと蠢く陰唇が、色気の漂う白い背中を這い上がり、中へ中へと誘う。

 女王の下半身、虫の幼虫のように白い節が連なる部分、そこが波打つように動き、その中にルウを迎え入ようとしていた。

 「女王サマァ……」

 ほとんど理性を失っているルウに、女王が応える。

 「オイデ、ルウ。 私の中ニ。 サァ……蜜の夢に浸らセテアゲル……」


 ジュジュル音を立てる触手達が、ルウを女王の胎内に誘う。

 ルウは女王に身を委ね、半ば意識を失いながら、暖かく甘い香りに満ちた魔性の女の胎内に堕ちて行った。

 ニィ……

 女王の中は、蜜の湛えられた沼のようだった。 滑る触手が中で蠢き、ルウを優しく愛撫する。

 甘く深い快感が、じんわりと体に染み込み、ルウを酔わせる。

 (……騎士さん?)

 不意に、ルウの頭に、森に同行してきた騎士の顔が浮かぶ。

 ニュルン…… 触手がルウの首筋を愛撫した。

 (……あれ?)

 ルウの中から、騎士の顔が消えた。 代わりに、ソフィア=ワスプの顔が浮かぶ。

 (ソフィア……)

 ルウに取って、彼女はもうシスターでもはなかった。 ルウが守るべき一族の一人だった。

 ニュルン、ニュル……

 触手がうねるたび、ルウの中に残る人間の残滓が洗い流され、ワスプ=プリンセスとしての自覚と記憶が植え付けられて

いく。

 そして、その体も……次第に別の生き物に変わりつつあった……しかし。


 (……教務卿さま……)

 ニュルン、ニュル……

 (……はげ親父……)

 ニュルン、ニュル……

 (……ヒゲ面の人間……)

 ル・トール教務卿の記憶だけは、なかなか消えなかった。


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