ハニー・ビー

6-06 生誕の儀式(1)


 カサリ……

 ルウの身じろぎで、下草が音を立てる。 ルウに群がろうとしていたワスピー達は、空中で身を翻し、彼から

距離をとる。

 ワスピーが躊躇する隙に、ルウは手を突いて身を起こした。 少年の体は蜜で濡れ、所々が破れた衣服から

瑞々しい素肌が覗いている。 

 「……」

 ルウはまっすぐ女王を見たが、その目は焦点が合っておらず、意思が感じられない。

 女王は、秘所から一本の触手を繰り出した。 それはうねりつつ少年に迫り、その体に這い登った。 そして、

濡れた触手がルウの唇を横に撫でた。

 「ん……」

 ルウは微かな息を漏らし、触手を横笛の様に咥え、舌をチロチロだして触手を舐めた。

 「ふ……」

 今度は、女王がため息を漏らす。 ルウはそれに気づいた様子もなく、宙を見つめたまま触手をただ舐めつづけた。


 「……ん……ん?」

 どのくらいたったのか、ルウの目に光が戻ってきた。 目が左右に動いて辺りの様子を伺い、最後に正面で視線が

止まった。 二人は無言で見詰め合い、やがて女王が口を開いた。

 「ルウ、私とお話しましょう」

 ルウは瞬きし、続いてこくんと頷いた。

 「ルウ、私達が怖い?」

 女王の問いかけに、ルウは首を横に振った。

 「怖くありません……さっきまではとても怖かったのに……」 ルウは不思議そうに言った。 

 「ルウ、さっき私の触手が貴方と……繋がったのを覚えている?」

 「あ……」ルウは赤くなった。「あの……はい」

 「吸われたのは?覚えている」

 「はい……何か……ぼーっとなって」 恥ずかしそうに下を向くルウ。

 「クフフ……あの時、貴方から『怖い』と感じる気持ちを、魂の一部を吸い出してあげたの」

 「魂?……『怖さを感じる魂』ですか?」

 「ええ、だから貴方は、私達が怖くなくなったのよ」

 「ああ」 ルウは無邪気に笑った。 「でも、その後なんだかぼーっとして……変な気分だったんですけど」

 「『魂』が欠けると、考える力がなくなるの。 そうなれば、人形の様に何もできなくなるわ」

 「あれ?じゃあ今は?」

 「私の触手の『蜜』を舐めさせてあげたでしょう」

 ルウは(あの甘いのも蜜の味だったんだ)と思いつつ頷いた。

 「あの『蜜』が、貴方の魂の欠けた所を埋めて、考える力を取り戻させたの」 女王は嫣然と微笑んだ。

 「そうだったんですか」 ルウは笑った、心底うれしそうに。


 「ルウ、では私のそばに来て」

 「はい」

 ルウは立ち上がり、女王に歩み寄る。 近寄ってみると、女王の体はテラテラと光り、うっすらと濡れている。 

女王は、緑色の華奢な手を伸ばし、ルウの首筋に触れた。

 あ……

 しっとりと濡れた手が、細い首筋を愛しそうに撫でると、ルウはため息を漏らした。

 「撫でられるのは嫌い?」

 「いえ……」 ルウは伏目がちに答えた「撫でられるのは、好きです」

 「よかった」

 女王はそう言うと、さらにルウの首や頬を優しく撫でる。 ルウは軽く目を閉じ、女王の愛撫に身を任せる。


 女王はしばらくルウの顔を撫でていたが、やがて両手でルウの顔を挟み、自分のほうに引き寄せた。

 ルウが目を開けると、緑色の乳房が目の前で揺れていた。

 「吸って、ルウ」

 女王がそう言うと、ルウはためらう様子も無く女王の乳首を咥え、舌先で乳首を転がしながら強く吸った。

 「あん……」 女王は切なそうにルウの頭を抱いた。 そしてルウは……

 あ……

 不思議な感覚の中にいた。 乳首から出てきたものは、味が無かった。 それは舌に染み込み、ルウの体に

染み渡っていく。

 冷たい……

 体の芯が冷えていく。 冷たいものが染みとおって、少年の体を『甘く』していく。

 なに……甘い……

 表現できない感覚に、全身が小刻みに震える。 それでも彼の口は、女王の乳首を離そうとせず、不思議な乳を

ルウの体に送り込んでくる。

 ああ……いっぱい……くる……きちゃう……

 背筋がゾクゾクする感覚に少年の体が小刻みに震えだし、やがて小さな叫び声を漏らして、ルウはその場にしゃがみこんだ。

 はっ……はっ……はっ…… 

 荒い息をつく少年を眺めつつ、女王が命じる。

 「衣服を脱いで、私に貴方の体を見せて」

 「はい」 ルウは答え、頬を上気させながら衣服を脱ごうとする。 乳首の辺りが引っかかって、脱ぎにくい。 

 そして、瑞々しい少年の肢体が、ワスピーの女王の目に晒された。

 「……」

 ルウの胸が申し訳程度に膨らみ、男の証はひどく興奮しているように見えた。

 「ルウ、判るわね?」

 「はい。 女王様の蜜を飲んだ僕は、少しずつ女の子に……あん……」

 女王の秘所から触手がうねり出て、ルウのつつましい胸を優しく撫で始めた。

 「あん……胸が……切ないの……」

 触手に撫でられる毎に、ルウの胸はジワジワと膨らんでいく。 胸が膨らんでいく切ない感触がたまらないのか、ルウは

目を閉じて悩ましげな声で鳴いていた。 

 「……そして女王様の蜜は、僕にワスピーの知識と魂を植えつける……蜜を飲むほどに、僕は女の子に、ワスピーに

変わって行く……」

 「そうよルウ……さぁ、もっと蜜をおあがりなさい……」

 女王に命いじられると、ルウは触手に絡みつかれ悶えながら、女王の乳首を咥えて蜜を吸う。

 「あぁ……モット……モット吸って」

 乳を吸われて興奮が高まってきた女王は、その秘所から次々に触手を吐き出す。

 触手はルウの体に絡みつき、その体を優しく愛撫する。

 「おっぱい……いい……お○○○○が……ふにゃあ……」

 女王の蜜で女性化していくルウ。

 未熟だった少年の体を、内側から魔性の女体が貪り、外から女王の触手の愛撫が嬲る。 そして魂すら、魔性の

快楽が犯していく。

 しかし、『恐怖』を失ったルウには、その快楽を拒む事はできない。 いや、拒む事を思いつきさえしなかった。

 「足……そこをモット……」

 少年の股間を女王の手が撫でさすり、細い触手が巻きついて締め上げ、小さな男根が喘ぎ、悶える。

 女王ばかりではない、少年の股間、その付け根がじっとりと湿り気を帯びてきて、皺がより始めていた。

 「あふぁ……もっと……して……欲しいの……お腹の中に……あひぃ」

 ルウの魂の中で、ワスピーの、そして女性の深い欲望が芽吹き、男の部分を呑みこんでいく。 それに合わせて、

ルウの股間で女性の欲望の象徴が形をなし、少年の男根を包み込み、胎内に呑みこんで行く。

 「あは……いい……いい……すごくいい気持ち……気持チイイ」


 乱れるルウと女王を、ワスピーやワスプたちが取り巻き、何にかは互いに慰め始めていた。

 それは淫靡な、そしてワスピーにとっては神聖な、次の女王の生誕の儀式だった

 儀式は続く。

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