ハニー・ビー

5-04 洗礼、聖歌隊の場合(1)


 村の子供達の中には、教会で聖歌隊に参加している子もいた。 より豊かな生活への足がかりとして。

 それぞれの村の中心には、規模の差こそあれ、集会所を兼ねた教会が建っており、聖歌隊の稽古は

そこで行われるのが常だった。

 その日も、数人の少年がいつもの様に稽古をしている最中に、ハチの群れが襲ってきたのだった。

 少年たちは、ハチに追われて教会の奥にあった沐浴場に逃げ込む。 しかし、そこには数名のワスプと

ワスピー達が待ち構えていた。

 彼らは恐怖にかられ、沐浴場の中を逃げ回る。

 ワスプやワスピー達は、すぐに彼らを捕まえようとはせず、部屋の壁に沿って彼らを取り囲み、自然、少年達は

水場の湯の中に逃げ込む事になった。


 チャプ……

 ぬるま湯が張られたささやかな水場。 少年たちはその中で息を凝らして一転を見つめている。

 そこには一人のワスプが横たわり、はしたなくも足を広げて、女体の神秘を見せ付けている。

 はぁ……はぁ……

 最年長の少年だけが水場から出て、ワスプの前にうずくまり、荒い息をついていた。

 沐浴場の中は、ぬるま湯から立ち上る湯気でうすくけむっていて、その中をワスピーがゆったりと飛んでいる。

 最年長の少年はディーと言う名だった。

 彼は水場に飛び込み、ワスプから離れようと逃げて回っていたのだが、そのうちになんだか体がだるくなり

疲れて座り込んでしまった。

 他の少年達も、彼と同じように水場のなかに座り込んでしまう。

 するとワスプ達の一人が、水場から少し離れた所にしゃがみ込むと、あられもない姿で『女』を見せ付けたのだ。

 (なにを……) ディーは微かにそんなことを考えた。 しかし、そこから先に思考が進まない。 ただ、ぼーっと

ワスプの姿を眺めるだけだった。

 フッ……

 ワスプは小さく笑い、秘所をそっと押し広げ、少年達に見せ付けた。 そして、指先でディーを招いたのだ。

 (……)

 ディーは立ち上がると、夢でも見ているかのような足取りでワスプに歩み寄り、そして彼女の前でうずくまった。

 はぁ……はぁ……

 テラテラ光る薄紅色の『女』は、ゆっくりと蠢いている。 ディーは吸い寄せられるように、しばしそこを凝視して

いたが、ふと呼ばれたような気がして目線をあげた。

 (……)

 ワスプの複眼が彼を見つめ、赤い唇が微かに動いた。

 「オイデ……」

 そう言われた様な気がし、ディーは手を突いてワスプの顔に自分の顔を近づけていく。 つまり、ワスプの上に

覆いかぶさっていく形になっているのだが、当人はそんなことを気にしていなかった。

 ポス……

 ディーの胸板にワスプの乳房が擦れ、ディーの視線がそっちを向いた。 赤い乳首が彼の胸板との間で光る

糸を引いている。 ディーの鼻腔を甘いにおいがくすぐった。

 (蜜だ……)

 そう思うと、ワスプが何か囁いてきた。 

 「ナメテ、ゴラン……」

 ディーは言われるままに、ワスプの乳首に口を寄せ、乳首をペロリと舐めた。 濃く甘い蜜が口の中に広がる。

 (……?)

 蜜の甘さが、体の中に染みとおっていくような奇妙な感覚があった。 しかし、ディーは蜜をなめ続けた。 いや、

体が勝手に蜜を舐めているのだ。

 ペロ、ペロ、ペロ……

 ディーは子犬のように、ワスプの胸から蜜を舐めとり続ける。

 (甘い……)

 蜜の甘さはじんわりと体に染み込み、ディーは体が甘ったるくなって行く様な感覚に囚われた。 ねっとりとした

甘さが、体に詰まっていくようだ。

 サワリ……

 わき腹を誰かが撫でた。 目を動かすと、彼の下にいるワスプが白い腕を伸ばし、彼のわき腹を撫でていた。

 サワリ……サワリ……

 ワスプの控えめな愛撫と、体に染み込む蜜の甘さ、二つの感覚がディーの中で一つに溶けあい、さざなみのような

愉悦が、体の心からゆっくりと流れ出す。

 「あ……なにか……変……」

 ディーの口からこぼれた言葉に、ワスプが反応する。

 「イヤ?」

 ディーは首を横に振った。

 「ううん……嫌じゃない……」

 「ソウ……ジャ、モットヨクナロウ……」

 ワスプが体をゆすり、ディーはバランスを崩し、ワスプの胸に顔を突っ込んだ。

 ワスプは、手足をディーに絡みつかせると、ゆったりとした動きでディーを愛撫しはじめた。 

 あ……あふ……

 優しい愛撫に、ディーはうっとりして身を任せる。 体の中に染みとおった甘い蜜が、暖かなうねりとなって、ディーを

虜にする。

 「ふぁ……変な感じ……」

 「気持チイイダロウ……体ノ中ガ蕩ケテイクノハ……」

 「蕩ける?……気持ちいい?……」

 ワスプの囁きが、ディーの中に生まれた感覚に形を与え、ディーの体がワスプの快楽を認識した。

 「気持ちいい……蕩けちゃう……」  ディーが甘い喘ぎをもらす。

 「ジキニソウナル……男ノ部分ガ……魂ノ一部ガ……快楽ニ蕩ケルノヨ……」

 ワスプの囁きを、ディーは理解していなかった。 いや、彼の体は理解していたかもしれない。

 「もっと……もっと……」

 ワスプの腕の中で、ディーの体が蠢き、更なる快楽を欲する。 

 膨らんだ男根が、蜜で濡れた秘所に擦り付けられ、『女』を感じる。

 ゾクリ、ゾクリ…… 背筋を駆け上がる快感が、ディーをワスプの中に誘う。

 「あん……ここ……いい……おねがい……」 

 成熟した女の腰の上で、少年の尻が喜びに震え、ワスプの両足が、少年の腰を背後から抱きとめる。

 さながら、昆虫の顎が獲物を咥えるかのように。

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