ハニー・ビー

5-03 儀式、ある少年の場合


 オーサ山の麓に点在する村は、規模は小さいが養蜂を行っており、それ故ヨロイバチの怖さを良く知っていた。

 夕闇に紛れて襲ってくる蜂の群れは、黒い筋となって村人を追い回す。

 野良仕事から帰ろうとしていた大人達は畑近くの納屋に逃げ込み、家の周りで遊んでいた子供達や家事を行って

いた女達は家の中や、手近の建物に逃げ込んだ。


 ある家では、恐怖に駆られた少年が逃げ場を失い、寝台で毛布をかぶって震えていた。

 粗末な毛布はやっと体を覆う広さしかなく、あちら側を引き寄せると、こちら側が足りず、頭を覆えば、足先が出る始末

だった。

 じたばたと寝台の上で無益にもがいていると、足首を冷ややかな手がつかんだ。

 「!」

 少年は冷たい恐怖に、飛び上がりかけた。 蜂が足をつかむはずが無いのだが、そんなことまで気が回らない。 

足を振り回そうとしたが、足をつかんだ誰かは、彼の足を抱くようにしながら毛布の中に滑りこんできた。

 「!?」

 やや冷たく、柔らかなものが足に纏わりつく感触。 少し遅れて、甘い蜜と女の子の匂いが彼の鼻腔をくすぐった。 

人だ、そう思ったとたん、嘘のように心が落ち着く。

 「だ、だれ? 蜂から逃げてきたの?」

 そう言いながら、毛布を引き寄せる少年。

 しかし、女の子は無言で彼に抱きつき、毛布の中にもぐりこんでくる。 女の子の動きで、彼の薄い衣服がめくれ、ふくよかな

胸がお腹をくすぐる。

 「くすぐったいよ。 サラなの?」

 少年は隣の女の子の名前を呼んだが、女の子はやはり無言で、毛布の中に体をねじ込むようにした。 服が胸まで

はだけて、女の子の胸が、少年の胸に密着する。

 「は、裸?」

 少年が顔がほてるのを感じた瞬間、毛布が大きくずれて床に落ち、少年と少女は至近距離で顔を見合わせていた。 

きらめく複眼の目を間近に見て、少年が硬直する。 かれは寝台の上でワスプに組み敷かれていた。


 動きを止めた少年に、ワスプはいきなり口付けし、長い舌を差し入れてきた。

 反射的に、抵抗しようとする少年の口に、濃厚な蜜の甘さの唾液が流し込まれる。

 ぐっ……ごぼっ……

 少年は、口からねっとりとした液を吹きこぼし、寝台の上に倒れこんだ。

 ハァ、ハァ、ハァ……

 目を見開いたまま激しく息をする少年に、ワスプは体を重ね、顔の上に胸を乗せる。

 ヌチ、ヌチ……

 ワスプ特有の蜜乳で濡れた乳房が、少年の顔べっとりと張り付いた。 ワスプは上体を揺らし、少年の顔を乳で愛撫する。

 ヌチッ、ヌチッ……

 刺激を受けた乳首が張り詰め、止め処も無く蜜乳を流す。 少年の顔は、蜜で覆われテラテラと光っていた。

 ハァ……ハァ……

 「怖くなくなってきたでしょう?」 

 ワスプに言われ、少年は息を止めた。 彼女の言うとおり、心から恐怖が失せて行くようだ。

 「安心なさい、私といればヨロイバチは襲ってこないから」

 ワスプは口元だけで微笑んだ。

 「……」

 少年は、目の前の女の形をした魔物をしげしげと見つめる。

 (こいつは……きっと魔物だ……何をする気なんだ……裸で……きれいな……)

 頭の中で、ふわりと甘い気持ちが生まれる。 

 (おっぱい……母さんよりずっとおおきい……柔らかそう……)

 のろのろと手があがり、気がついたときには、少年はワスプの胸に触っていた。 ふわふわした感触が、手に吸い

付いて離れない。 少年の手の動きで、ワスプの乳首がまた張り詰めてきた。

 (おっぱい……)

 少年は、ワスプの胸に吸い寄せられる様に口付け、乳首を甘噛みする。

 あっ……ああっ……

 ため息のような喘ぎをもらし、ワスプは達し、張り詰めた乳首から、蜜をほとばしらせる。

 ん……

 口の中に注がれた蜜を、少年は当然のように飲み干した。 ねっとりした甘みが、体に染み渡っていく。 そして、

体が柔らかな温もりで満たされていくようだ。


 んふ…… 

 ワスプは軽く笑うと、少年の股間に手をやる。 未熟な少年自身が、精一杯の力で自己主張している。 ワスプは、

自分の股間から愛蜜を掬い取り、少年自身をそれで濡らす。

 あ……あん……

 少年小さく鳴いて、体をくねらせた。 奇妙なもどかしさで、全身がほてっている。

 おいで……

 ワスプが囁くと、少年はワスプに導かれるまま、彼女の中に己自身を預ける。

 あ……ああ……

 トロトロと蜜が絡みつき、やさしい肉襞の愛撫が少年自身を膨らませる。 不自然な程、股間が気色よく、溶けてしまい

そうだ。

 『それでイイの。 今のうちニ雄の務めを果たシなさイ』

 誰かが耳元で囁く。 高く小さな声には、なぜか逆らえない響きがあった。 少年は、命じられるままに雄になり、

雄の蜜をワスプの胎内に放った。

 ああ……熱い……

 あん……出る……気持ちいい……とっても……いいの……


 静かな儀式が終わり、二人は体を離す。

 ワスプの胎内から吐き出された少年のものは、皮だけになったか様にしぼみきっていた。 彼が感じたとおり、中身が

蕩け、ワスプの胎内に吸い取られたのだ。

 「……」

 役目を終え、少年はぼんやりと寝台の上にうずくまる。 頭の中は蜜が詰まったようで、何も考えられない。

 『あなた、好き』

 あの、囁き声がしたかと思うと、妖精のような小さな女の子、ワスピーが彼の前に舞い降りてきた。

 反射的に、手で彼女を受け止める少年。 その手の上で、ワスピーは、はしたなく足を広げ、彼を誘う。

 『舐めて』

 彼は誘われるままに、舌を出して、小さな花弁から蜜をなめとった。

 あっ……

 胸が苦しくなった。 動悸がして、とても切ない気分だ。 少年は、懇願するようにワスピーを見た。 ワスピーも彼を

見返す。

 『貴方は、私のものよ』

 ワスピーにそう言われた途端、少年の体は無上の歓びで満たされた。

 ワスピーは宙を舞い、自分の体となるべき少年の肩に座りなおす。

 少年は、ワスプの手を借りて服を調え、部屋を後にする。


 もう彼には、ヨロイバチを恐れる理由は無かった。

 彼も、ヨロイバチも、同じワスピー達に飼われているのだから。

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