ハニー・ビー

4-07 第二次変態


 『封印の森』が開かれて、三日が過ぎた。

 孤児院のとある一室 −− 成人を迎えた子供達が、孤児院を離れるまで過ごす個室 −−に一人の

若い女性の姿があった。 成熟した体が、飾りけのない白い貫頭衣を、内側から女の形に押し出している。

 扉の開く気配に、三日前までアレスと呼ばれていた彼女は振り返る。 僅かな時間の間に、少年は成熟

した女性に姿を変えていた。

 ”アレスィーナ、素敵ニなった……”

 声を出したのは、彼、いや彼女と情を交わしたワスピーだった。 

 アレスィーナがこぼれるような笑顔で頷くと、ワスピーは彼女の肩に舞い降りた。

 ”イキまシょう……”

 
 アレスィーナが廊下に出ると、アン=ワスプが待っていた。

 アレスィーナは彼女に先導されて、古いレンガの段を下って地下室におりる。 そこには、森から出てきた

ワスプ、ワスピー達が壁際に並んでおり、アレスィーナを待っていた。

 「アレスィーナ」

 ワスプの一人が、地下室の奥を示す。 そこには、人ほどの大きさの薄茶色の塊が立てかけられている。 

三日前までは、シスター・ソフィアという人間だったものだ

 「服を脱いで、シスターの隣に」

 アレスィーナは、言われるままに裸になる。 湿った冷気が全身を包み、全身を微かに震わせた。アレスィーナは

手で胸を抱いた姿勢で、シスター・ソフィアの隣に立ち、壁のほうを向く。 頭に風を感じた思ったら、目の前にワスピー

が舞い降りてきた。


 ”舐めて”

 アレスィーナは、舌を出しをワスピーを丹念に舐める。 蜜のように甘い。

 ”あん……あふ……”

 アレスィーナの眼前で、ワスピーは宙を舞ったまま器用にもだえる。 それは、アレスィーナのワスピーが、彼女

だけに見せる妖しい舞踏のように見えた。


 ドロリ……

 不意にアレスィーナは、体の芯に違和感を感じた。 泥をこね回すような感覚が体の中に生まれ、次第に大きく

なっていく。

 はあっ……

 熱い息を吐くと、ワスピーはもだえるのをやめ、アレスィーナから離れる。 しかし、アレスィーナの異変は止まら

ない。 さらに、体のあちこちが疼いてきた。

 「あっ……ああっ……」

 手がうずく場所に伸びる。 たおやかな唇に、薄桃色の乳首に、アレスィーナの女自身に……

 「!」

 熱く、痺れるような衝撃が体を貫く。 女になったアレスィーナが、成熟した女体で感じる最初の感覚快感だった。 

そして、それが彼女の中の『アレス』を目覚めさせる。

 ”なに……ぼく……どうしちゃったの?”

 ワスピーの夢に捉えられ、魂の奥に沈められていた『アレス』の自我。 自分が女になっていることに気がつく

まもなく、女の疼きに捕らえられる。

 「あん……だめ……体が……だれか……なんとかして……」

 混乱した『アレス』は、自分自身をうまく慰められない。 直立したまま、『アレス』は懊悩に身を捩じらせる。


 地下室の空気が動いた。 周りで見ていたワスピー達が、アレスィーナに近寄り、彼女達自身の体でアレスィーナを

慰め始めたのだ。

 「ああっ!……あっ……あっ……」

 一瞬高くなった声が、低いトーンに変わっていく。 手馴れたワスプ立ちの愛撫は、彼女の疼きを鎮めてくれていた。

 「あふぅ……ぼく……どうしたの……」

 女の声で『アレス』が呟いた。 ワスピーが飛んできて囁く。

 ”アレス、どう? 気持ちイイでしょう……”

 「え?」

 ワスピーの囁きに、『アレス』は一瞬わけが分からなくなった。 辺りを見回し、状況を把握しようとする。

 「ワスプ?……ぼくが女?……あれ……」

 かえって混乱する『アレス』。 その間もワスプ達は、アレスィーナへの愛撫をやめない。 うなじを、乳房を、

乳首を、秘所を、ありとあらゆるところをやさしく愛撫する。

 トロリ……

 「あれ……なんだか……」
 『アレス』は自分の体がほてってくるのを感じた。 体の芯に、ぼうっとした熱を感じる。 風邪を引いたときに

似ているが、不快ではない、むしろ。

 「気持ちいい……」

 ペチャ、ペチャ、ペチャ……

 『アレス』は目をと閉じた。 女の体がかもしだす愉悦は、少年の魂に抵抗できない快楽だった。

 「あはっ……蕩けそう……」

 ワスピーが囁く。

 ”蕩けなさい……トロトロに……そして……わたシと交ジりあイまシょう”

 『アレス』にとって、その囁きは抗いがたい響きがあった。

 「うん……」 

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