ハニー・ビー

2-08 虜


 グチッ!グチッ!グチッ!

 「うぐぁぁぁ……」

 鈍い音とうめき声の二重奏を伴奏に、悪夢のオペラが幕を開けた。

 ウネウネと蠢く肉襞が、アレス自身に纏わりついて、強く、優しく、そして容赦なく絞り上げる。

 ズリ!

 「かっ!?」

 アレスのモノが、勢い良く剥けた。 彼が理解する前に、むき出しになったアレスをワスピーの女が容赦なく弄ぶ。 

 ヌリュ!ヌリュ!ヌリュ!

 「あぐぁ……あがぁぁ……」

 アレスの背が反り返り、胸が激しく震える。 息も出来なくなるほどの強烈な刺激に、アレスの物が灼熱する。

 「熱い!……熱いの……だめっ!来る……入ってくる!」

 ネットリとした感触が、先っちょから伝わってくる。 アレスには、それが自分の中に、入って来るかのように感じられた。

 「いやっ……だめ……だ……」

 アレスの声が弱まって来た。 しかし、彼の腰はワスピーの腰に密着し、ヒクヒクと震え続けている。

 ヒクッ……ヒクッ……ヒクッ……

 アレスのモノを咥え込んだ肉襞は、震える少年のモノを蜜で包み込んでしゃぶり続ける。

 彼のモノは、快感という名の魔性の蜜をたっぷりと注がれ、なす術も無くのたうたまわる。

 「やーっ……やーっ……」

 堪え切れなくなったアレスは、パタパタと手を振り回す。 ワスビーはその手を捕らえ、ベッドに押さえ込んだ。

 「……」

 ワスピーがアレスにのしかかる体勢となった。 緑色の乳房がアレスの上でふるふると震えている。

 クフフフ……

 ワスピーが笑うと、震える乳首から熱い蜜が噴出し、アレスを襲った。

 「ぷわっ!」

 ワスピーの乳は、止め処もなく蜜を吐き出し、アレスの体を濡らしていく。 そしてワスピーは、アレスの胸に自分の胸を密着させ、胸を揺らす。

 クチッ、クチッ……

 粘った音を立てて、乳首がアレスの胸を這いまわる。

 「はあっ……はあっ……はあっ……」

 熱い息を漏らすアレス。 腰に注がれていた熱いものが、鳩尾から胸にこみ上げてくるのがわかる。

 「いやっ……へん……変になっちゃう……」

 鳴き声を上げるアレス。 その耳元にワスピーが口を寄せた。

 ククク……ドウ?……蕩ケソウデショウ……

 「と……蕩ける?」

 炙ラレタちーずミタイニ……とろとろニ……蕩ケソウ……

 ズクン……

 「あ……」

 アレスの中で世界が変わる 得体の知れない感覚に、『蕩けそう』という呼び名が付けられた途端、それが魔法の様にアレスを支配する。

 「あー!……ああああ……」

 ニュクニュクニュクニュク……

 剥かれたばかりアレス自身から、生暖かい波の様に広がって来た……『蕩けそう』な感じが。

 「溶ける……蕩けちゃう……だめ……」

 ドウシテ?

 「え?……」

 ドウシテ?ダメ?……蕩ケタクナイノ?

 「何を?……」

 イイワヨ……

 「何?……」

 気持チイイワヨ……蕩ケルノハ……

 「気持ちいい?……あっ……」

 再び世界が変わる。 蕩ける感覚が気持ちいいと気がついたとき、アレスの体はそれに浸っていた。

 「気持ちいい……蕩けそう……」

 アレスの顔が緩み、目がどんよりと曇る。

 ヒクヒク震える腰から、蕩ける快感がよどみなく流れ込んでくるが、アレスはもう逆らおうとしなかった。


 イイ子ネ……ソロソロ蕩ケッキッタ頃……サァ……吸イ出シテアゲル……

 「うっ!……」

 アレスの背筋を冷たい感覚が貫いた。 続いて、股間が痺れるよう冷たくなっていく。

 「あぅ……うう……うっ……」

 冷たい快感にモノが支配され、続いてドロリと溢れる感触。

 ゴボリ、ゴボッ、ゴボッ、ゴボッ……

 股間から何かが吸いだされる、体の中から大事なものが奪われていく。 しかし、不安を感じたのは一瞬だった。

 「あ……」

 心にが空っぽになって、奇妙に安らいでいく。

 次第に空ろな目つきになっていくアレスに、ワスピーが乳首を咥えさせた。 甘い蜜が口の中に注がれると、アレスは

喉を鳴らしてそれを飲みくだす。

 二人は、そのまましばらく、互いの体を吸いあっていた。


 「ふぅ……」

 やがて、アレスが満足げな息を漏らし、首を回してワスピーを見る。

 「ふふ……気分はどう?」

 「うん…ぼーっとして……なんだか幸せ……」

 アレスの答えに、ワスピーは満足げに頷いた。

 「私が怖イ?」

 アレスは首を横に振り、答えた。

 「ううん。 何かもやもやしてるけど、怖くないよ」

 「そう……」

 ワスピーは体を起こすと、アレスの股間に手を伸ばす。 アレスは逆らわず、再びワスピーと交わる用意を始める。

 「アレス、続けましょう……貴方の魂が全て私のものニなるまで」

 「はい」 アレスは素直に頷く。

 「そシて貴方は私のものニなるの……」

 ワスピーは足を広げ、秘所にアレスをいた。

 アレスは、ワスピーのものになるために、誘われるままに体を重ねる。

 「あ……」

 例えようのない快感と、支配される幸福感にアレスは陶然となる。

 「私のアレス……一つニなリまシょう」

 しばしの沈黙の後、か細い声が応えた。

 「はい……」

 その声は、とても幸せそうだった。

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