ハニー・ビー

1-04 蜜


 「どういうことだ、これは」

 陽が中天に差し掛かる頃になって、糸を持っていたディスタが異変に気がついた。

 糸を引いた時の手ごたえが妙に固かったので、絡まったのかと思って少し引き返したのだ。

 すると、30歩ほど戻ったところで糸が枝に結び付けられており、そこから先は糸が見当たらなかったのだ。

 「絡まって切れたのでは?」

 「ならば、切れた糸の端が近くにあるはずだ。 それが見当たらん。 それにこの糸は、誰かが結び付けている」

 「誰かって……まさかワスプ……」

 「かもしれんが……シスター、帰り道を知っているか?」とゴル騎士隊長

 「道がわからないから調べているのでしょう」 やや呆れた口調でシスター・ソフィアがこたえる。 

 「森の周囲は全て崖で、出口はあの一箇所だけか?」

 シスター・ソフィアが頷く。

 「ではこうしよう。 陽が傾けばおおよその方角が判る。 一直線に戻れば、出口に近いところに出るだろう。 後は崖に沿って歩く」

 「出口にたどり着く前に夜になるのでは?」

 「森の真ん中で夜を迎えるよりましだろう」

 ディスタとビルナが不安げに顔を見合わせたとき、頭上から不気味な唸り声が聞こえてきた。

 ブォォォォォ……

 「羽音が!? ヨロイバチです!」

 「何故いきなり!?」

 一行は、蜂に備えて厚手の皮胴着を着込んでいたが、頭は剥きだしだ。 急いで皮のフードを被り、目の粗い布で作った面布を垂らし、紐で端を縛り付けた。

 間一髪でヨロイバチが襲ってくる。

 「ちっくしょう!虫けらが」 ビルナが厚い手袋をはめた手を振り回し、蜂を追い払おうとする。

 「暴れないで! 蜂が興奮します」

 「そうだ、じっとしているんだ」

 「ですが……うわっ、服の中に潜り込んで来たぁ!」

 ビルナが悲鳴を上げて皮胴着を叩く。

 「ばか!暴れるとますます……何!?」

 ゴル騎士隊長が異変に気がついた。 蜂は彼らの体にとまると、服の折り返しや、胴着の端、隙間から潜り込んでくる。 まるで、服の構造が判っているかのように。

 「なんだ!?こいつら!」

 一行はパニックに陥いり、体にたかってくる蜂たちを必死に払い落とす。

 ブォォォォォ……

 「また来た!」

 「逃げろ!」 

 彼らは音と反対の方向に、追い立てられるように逃げ出した。 森の奥に向かって……


 「はぁ……はぁ……振り切ったか……」

 ディスタは羽音がしないのを確かめ、面布を外して辺りを見回した。 誰もいない。

 「……いけねぇ……はぐれちまった」

 視界が悪い状態で闇雲に走り回ったのだから当然の結果だった。

 どうしたものかと考えていると、背後から足音がした。 てっきり騎士隊長かビルナだと思って振り返ったディスタが硬直した。

 そこにワスプが立っていた。


 「フフフ……ドうした、ニンゲン?」

 甲高い人間離れしたワスプの声にディスタは我に返り、ショートソードを抜き放つと腰だめに構えた。

 (こいつがワスプか)

 ディスタの前に立つワスプは、テラテラとした光沢のある赤銅色の甲で、鎧の様に全身を包んでいた。

 頭には材質不明のフードを被っていて、赤い整った唇しか見えない。

 しかしよく見ると、甲に覆われていない部分があちこちにあり、特に腹側は大きく開いていて、人間の肌の様な色でへそまで見える。 そして、その上には……

 (なんてでかい胸だ、人間離れしてやがる)

 いままでにディスタが見た、どんな女と比べても倍はあるような巨大な乳がそこにあった。 残念なことに、そこは半球型の甲で覆われていたが。

 「とっくに死に絶えたと思っていたが、生き残りがいたか。 おかげで手間が省けるぜ」

 ディスタはにやりと笑った。

 「おい、蜜のありかを教えろ」

 「ミツ?……蜜?……クク……ククククク」

 ワスプは喉を鳴らして笑い、すっと胸を突き出す。 するりという感じで、胸を覆っていた甲がわきの下に引き込まれ、人間のものと変わらぬ乳がさらけ出された。

 「ぬおっ!? さ、さすが化け物……じゃねぇ……お、おい?」

 「ア……ハン……」

 ワスプは、しなを作るように腰をくねらせると、自分の乳を持ち上げるようにし、その乳首を咥える。

 ベロリ……

 赤い唇の間から、蛇の様に先が2つに分かれた太い舌が飛び出し、くねくねと自分の乳房の上を這いずって、乳首を嘗め回す。

 「アフ……ハゥ……」

 ワスプは巨大な乳房に指を食い込ませ、パン種をこねるようにもみしだいた。

 ビクン……   乳房が大きく震えた。

 ア……アア…… ワスプが甘いうめき声をあげ、体をくねらせる。

 ビク……ビクククッ!!…… 別の生き物の様に、激しく震える乳房。


 ディスタは、ワスプの痴態に呆気にとられていた。

 と、ワスプの乳房がぶるんと大きく振るえ、手で握れるほどに立った乳首がディスタの方を向いた。

 ビッ! ビュルルルルル……

 乳首の先端から、黄金色の蜜が激しい勢いで噴出し、ディスタの顔に命中する。

 「うわっぷ!」

 ディスタは手で顔をかばったが、一瞬遅れて顔面に蜜の直撃を受けた。

 「やりやがったな」

 顔を手で拭って、ワスプを睨みつける。


 「ククククク……蜜が欲しかったのダロウ?」

 「なに抜かし……やがる……?」

 ディスタは眩暈を感じ、手で目をこすった。

 「なんだ?……剣が……重い?」

 剣を構えていた手が、ゆっくりと下りていく。 

 「おかしいぞ……なんだか……」

 頭がうまく回らない。 異常を感じているのだが、そこから先に思考が進まない。

 「フフフ……ねェ」

 いつの間にかワスプがすぐ側に迫ってきていた。

 彼女は手を後ろで組んで、蜜でべっとりと濡れた乳房を摺り寄せてくる。

 「むっぷ」

 べとつく乳房が顔面を包み込み、甘い匂いで彼の五感を痺れさせる。

 「シヨウ……いやらしいこと……この体……イヤラシイ事が大好きナノ……」

 「なんだと……何を言っている……」

 ぼんやりした目つきになったディスタの股間を、蜜で濡れたワスプの手がまさぐる。

 「チョウダイ……お前の蜜ヲ……」

 「あ……ああ……」

 呟くように言って、ディスタは服を脱ぎ始めた。

 程なくして、裸になったディスタを、赤銅色のワスプが草の上に押し倒した。

 「蜜ヲ……チョウダイ……」

 ワスプはディスタの顔に股間を押し付け、蜜で濡れた乳の谷間に、ディスタ自身を迎え入れるとゆっくり揉み解す。

 「カワイイ坊や……いまよくしてアゲル……」

 ああ…… 

 ディスタは呻いた。

 ネットリトした蜜の感触と、ふわふわした柔らかな愛撫、そしてほんのりとした暖かみに股間が包み込まれ、たまらなく心地よい。

 固くなった男根の芯が、トロリ、トロリと溶けていくようだ。

 そして、彼の顔を覆う肉襞は、甘い蜜をこんこんと湧き出させて、彼の口に注ぎ込んでくる。

 「なんて……おいしい蜜だ……」

 「オイシイダロウ……私の蜜は……チョウダイ……お前のミツヲ」

 ワスプの舌が、乳の谷間に埋没していた亀頭に絡みつき、ワスプの口へと誘う。

 「うぁ……」

 ワスプの口の中で、ディスタの亀頭が歓喜に震える。

 チュウチュウチュウ……

 鈴口を吸われる感触に、頭の中で白いものが弾けた。

 ディスタの全身が、ネットリした蜜の様な快感で埋め尽くされ、続いてその蜜がワスプに吸い出されていく。

 あひっ……あひっ……あひひひっ……

 ワスプが吸引するたびに、ディスタの股間から蜜が噴出し、そのたびに彼の体は絶頂を迎える。

 ディスタは、次第に蜜を吸いだされる快感の虜になっていった。

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