深き水

11.人魚


翌日、真奈美は夕食の後、すぐ寝てしまった為、宿題が全然できていない。
あわてて髪を梳かし、着替えをして、母親の叱る声を背に学校に向う。
担任には小言を言われ、朝飯抜きで弁当を忘れ学食の飯は不味い。散々な一日となった…
今日は水泳部の部活はないが、水着を忘れていたので部室に行くと、半分ぐらい来て、お菓子を食べていた。

「水上先輩、昨日残念でしたね。殆ど同着だったのに…」そういったのは小島武士。一年生の後輩、真奈美に好意を見せていてくれる。
気弱だけど、ちょっとかわいい弟…真奈美はそう思っていた。
「ありがとう。でも負けは負け…次で頑張るから…胸を整形して削ってでも…」
「そ、そんな勿体無い…あ、しまった」うっかり真奈美の冗談に、本音が出た。
全女子部員が白い目で睨む…
「小島〜」「やらし〜」「ヘンタイ」……
この水泳部は、8割が女子だった為、半分本気で小島を吊るし上げる…

真奈美は夕方には帰ってきた、水着を洗濯機に押し込みスイッチON。
バスルームに入り、風呂に水を貯める。
居間に戻り、ポテチを…と思ったが部室で結構食べたので我慢して…TVをつける。
15分程して、バスルームに戻り水を止める。

風呂に溜まった水を見ていると、昨日の事を思い出した。
蛇口から、水が滴り落ちる…ポタ、ポタ、ポタ、ポタ、……
水音を聞いている内に眠気にも似た眩暈を感じる…
「な…に…あ…た…し…」思考が緩慢になり、目の焦点が合わなくなってくる…
”オイデ…ココニ…”呼んでいる…
真奈美は、ぼうっとした表情で、ノロノロ動き、服を脱いで脱衣籠に入れ、水を張った湯船に体を沈める…
そして目を閉じる…

ゴボリ…
目を開けると、腹の上の水面が盛り上がり、人の顔の形になっている。昨日の女のだ…
”イラッシャイ…”
「あ…あなたは…」少し思考が戻ってくる…
”今日モ楽シミマショウ…マズ…”
真奈美の股間に触られる感触…舌とも指ともつかない水の愛撫…とても優しく微妙なタッチで責められていく…
真奈美は首をかしげていたが…次第に股間が気持ちよくなってくる…じわり、じわりと股間から全身にやさしく暖かいなものが上ってくる…
「うふ、いいわそれ…気持ちいい…何だか…頭の中が…暖かく…あれ…何か…変…」
真奈美は異変を感じる、不快ではないが、頭の中から何かが抜けるというか溶けると言うか…でも、すぐに気にならなくなる…気持ちいいいいから…

真奈美の女陰から、粘っこい液体がユルユル流れ始める…ピンクだ…愛液にしては色が変だが血にもみえない…
「何…これ…」
”気持チイイデショウ…ソレハアナタノ心ノ一部…人ノ心ノ…思イヤリ…愛情…倫理感…良心…”
「ふーん…何か…どうでもいい…ね、もっとして…」真奈美は股間の愛撫に体を委ねている…目は虚ろで女の言葉を理解していない…
女の愛撫はゆったりとしたペースで続く…達してしまう程強くは無く、真奈美を酔わせるようにやさしく、深く…
真奈美は湯船につかったまま体を包む暖かく柔らかな快感に浸りきり…ときどき身をよじってよがる…
やがて…真奈美の股間から何も出なくなった…
「はあ…頭がからっぽ…何にも怖くない…うふふ…いい気持ち…ね…次は何して遊ぶの?…」
妙にハイになっている真奈美…

”行キマショウ…深イ水ノ国ヘ…”女の声がする…
唐突に尻の下の感触が消える、ごぼりと体が沈む…ゴホゴボ沈むどこまでも…慌てない…昨日と同じ、息はできる…

暗い水の中…頭を下に沈んでいく…
「!」何か、人ぐらいの物が脇をすり抜けた。速い。
手をかき、足をばたつかせ体勢を立て直す…また来た…あれは…人魚?
真奈美の周りに集まってきたのは、人魚と呼んで差し支えない女達だった…
目は緑、体は深い青色、長い髪は黒、そして下半身はコバルトブルーの鱗に覆われた魚のもの…
そして、お約束の貝殻のブラジャー…
”人間…”
”アハハ…”
”ツイテオイデ…”
人魚達は身を翻し、同じ方向に泳いでいく。
真奈美も後を追うが、とてもついていけない。
「く…あ?…」背後から別の人魚が抱きついてきた…真奈美を抱くと…一緒に泳いでいく…
「速い…あはは…あ…あぁぁん…」
最初は喜んだが…水の勢いが強く、乳首が叩かれる…
”そっか…それで貝殻でガードしてるのか…やん…”
強い水の流れで乳房まで揉まれている…
”あ…人魚が後ろから揉んでる…”
「きゃん…悪戯しないで…」
”カワイイ…”人魚は、真奈美を抱いて泳ぎながら、器用に乳房を揉み、乳首を水の流れに晒す。
乳首がピリピリして、じんわりと胸が熱くなってくる…
たまらなくなり、身じろぎすると、人魚がゆっくり止まった。

他の人魚達が寄ってくる。
”ドウシタノ?…”
”クスクス…感ジテキタンデショウ?…”
「いえ…別に…きゃん!…何を…ひぃ…」

人魚達は笑いながら真奈美に群がり、敏感なところを舐め始めた…首筋…胸…背中…尻…そして女陰…
「やん…やめ…ふぁ…」
くすぐったさが心地よさに、そして快感に変わっていく…水中で、人魚達の愛撫に溺れていく真奈美。
人魚の肌は人間とは違う、丈夫な皮の感触と滑る鱗が真奈美の肌を刺激する…
一人の人魚が真奈美の女陰を舌で執拗に舐め上げる…
ペロリ、ペロペロ、ヌチャリ、ヌチャヌチャ、パク、チュウチュウ…
「あっ………」
水の中、切なげに身もだえする真奈美。
人魚の舌が、真奈美の女陰から、膣に入っていく。舌が長く伸び、子宮の奥まで届いた…舐める、舐めている、体の奥を舐め上げられる…
「ひぃ……」声がでない、もっとも敏感な部分をザラヌラと責められ、体の芯が熱い、痺れにも似た感覚が広がっていく…
体が硬直して、ビクビク痙攣しはじめた…ビクン、ビクン、ビクン、ビクッ、ビクッ、ビクッ
「いっくぅ!……」
強烈なパルスが体を走り抜け、体が棒のように硬直し、頭が白くなる…体が次第に弛緩していき、真奈美は水の中を漂う…

一人の人魚が真奈美の正面から抱きつき、真奈美の顔を青い豊かな胸に抱く。
そして、陶然としている真奈美の口に乳首をふくませる。
”オ飲ミ…”
「んく、んく、んく、んく…」言われるままに真奈美は人魚の乳首を吸う…
人魚の乳はネットリとして甘く、かすかにほろ苦く…おいしい…少し口に入ると、後は夢中で飲んでしまった…

真奈美の体に変化が起こる…
まず、頭の中…心がなくなって空いたところに別のものが入ってくるのを感じた…
「あ…あれ…頭が…また…変に…」
”ホラ…効イテキタ…ネ…”
「あん…だめ…染み込む…染み込んでくる…青い…暗い…とても…」
”ソウヨ…青クナレ…染マリナサイ…身モ心モ深イ青ニ…”

次に、飲んだ乳の甘味が体に広がってくる…軽い痺れと暖かみに包まれる…
”何かポカポカしてきた…お酒を飲んだときってこんなかしら…”
うっとりと手足を伸ばして水の中を漂う真奈美…次第に体の中が熱くなっていく…
「はぁ…はぁ…何か…溶けちゃいそう…あ、熱い…足が…溶ける?…」
真奈美の足が溶ける、溶けて一つにくっつく…慌てて足をばたつかせるが、剥がれない…
「うぁぁぁぁぁぁぁ…」
溶けた足が熱い…熱さが股間に来る…女性器も溶ける…形が変わる…それが気持ちいい…
真奈美は異形の体を持て余し、水の中でもがく…

それを見た人魚達が、再び真奈美に擦り寄ってくる…
人魚達は、胸から紺色のドロリとした乳を分泌し、それを手にとって、ローションのように真奈美に塗りつけてマッサージする…
真奈美は、最初は抵抗していたが、だんだん無抵抗になっていく…
「あぁん…いいの…もっと…撫でて…いっぱい…」
目は宙をさまよい、手も、癒着した足も水の中に伸ばしてぐったりと浮かんでいる…
次第に青く染められていく真奈美の肢体…単に色を塗られているのではない、乳が染み込み肌が深い青色に変わっていく…
”…青い…染まる…染まっていく…何もかも…”

人魚達の尾ひれから鱗が幾枚かずつ剥がれ、水の中を漂う。
それらは、吸い寄せられるように真奈美の足に近づき、その上を整然と並んで覆っていく。
真奈美の目が僅かずつ妖しい光を宿す…緑色の光を…
”気分ハドウ?…”
「変な…頭の中がドロリとして…気持ちいいような悪いような…うまく考えられない…」
”ソウ…ソレデイイ”
真奈美の体の中、暖かだったものが熱くなっていく…全身が熱くなる…
すでに真奈美の下半身は人魚の形になっている…女性器は大きなスリットを持つ人魚の性器の形だ…

真奈美の下半身に張り付いていた人魚が、真奈美の新しい女性器を責め始めた。
「うぁ?…あぁぁぁぁ…」
人魚の舌が、再び真奈美の子宮をベロリと舐め上げていく…だが…
「あぐぁ…ち違う?…と、溶ける…くっつく…ひとつになる…いや…私は人間よ…だめ…人魚になる…」
急に頭がはっきりしてくる。体の中、頭の中に注がれた人魚達の乳が違和感とし認識される。
それが、快感で自分の体が熱くなるにつれ、自分の体と乳の違和感の境目がぼやけ…溶け合っていく…
人魚の乳が自分を内側から犯す、人でなくなっていのが認識できる…
心の一部を失っていた真奈美には抵抗できない…真奈美の心も注ぎ込まれた人魚の乳と一つに混ざり合い、青く変わる。
「何…私…変わる…ソウ…違ウ…私ハ…私ハ…」真奈美の心に唐突に頼りなさそうな少年の顔が浮かぶ「小島くん?…」
”何!…マタ駄目カ?…”人魚達が驚く…
真奈美は絶叫を上げて達する…
「ヒィィィィィィィ…イクゥ…」…

水の中に漂う真奈美の姿は、青い人魚そのもの…だが乳房の上にポツンと肌色のハート型が残っていた…
”フム…ワズカニ人ノ心ヲ残シタカ…マアモウ一度チャンスガアル…”
”ソウネ…””ソウヨ…””フフフフ…”
次第に暗くなる水の中…真奈美は余韻に浸りきって漂う…意識が心地よい暗黒に沈んでいく…

そして、バスルーム…水風呂に使ったまま真奈美は眠っている…深い水の夢に漂って…


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