深き水

2.愛溺


ククー、クルックー…カァ、フギャー
男は騒がしい目覚めを迎えた…目覚ましをみると、鳴る10分前…
布団の上に身をおこす。
ヌル…
パンツが気色悪い…盛大に夢精したらしい…
「溜まってたかな…変な夢を見ちまった…中坊じゃあるめぇし…」
ぶつくさいいながら、パンツを履き替え服を着替え仕事に出て行く…

後には万年床の敷かれた汚い部屋が残るのみであった…
主の出かけた部屋は静かであった…ジリジリジリ…目覚ましを止め忘れていったらしい…

……………

夜、男は帰ってきた、鉢合わせした隣人の老婦人とちょっと言い合いをして、部屋に戻る。

電気をつけ、買ってきた弁当を生ぬるい水で流し込む…
「茶を買うつもりだったのに…何でだろう…」ぶつぶつ自分に文句を言う…
弁当のくずを、近くに落ちていたコンビニの袋に入れて、口を縛り台所のゴミ袋にいれる。
半分程残ったペットボトル他の買い物を、袋ごと冷蔵庫にしまって、布団の上に移動してうたたねする。

30分程で起き、雑誌を読もうとして…冷蔵庫にしまった事を思い出し、自分に苦笑しながら冷たくなった雑誌を取り出し読み始める…

胸と尻の大きさだけが取り得のヌード・モデルを見ながら昨日の夢を思い出す…また…あんな夢を見たい…
夢の事を考えるうちに喉が渇いてきた…冷蔵庫を開け残った水を一気に飲み干す…
電気を消して寝てしまう。

…睾丸が冷たい…冷たいものが這っている…ひどく気色いい…
立ってきた…何か今度は亀頭を…

意識が戻ってくる…目を薄く開けて下半身を見る…何かが下半身に覆い被さっている…
「お前は…」
”目ガサメタヨウネ…”
「夢なのか?…あ…」女が睾丸を手で揉む…睾丸が冷たくなる…気持ちいい…
”考エル必要ハナイ…今宵モ…”
「そうだ…どうでもいい…」
女の言葉は体に響く…素直に聞く気になる…
”ジャ…マタ気持チヨクナリマショウ…”

女が体を入れ替える…女の水色の尻が顔にのる…不思議と息苦しさも重苦しさも感じない…
口を使い…男根を舐める…またあの感じ…男根が冷たくなっていく…体に冷たい快感が満ちていく…ひどく気持ちいい…
目の前に女陰…紫色でヒクヒクしている…そこからトロトロ愛液が顔に落ちる…クリトリスをベロリと舐めてみるが女は意に介さない…微かに潮の香りがした…
舌を差込ペロペロ舐めてみたが…やはり女の反応が無い…自分の一物は女の冷たい舌に包まれている…
深く呑み込み、カリに沿って何度も、何度も舐められる…鈴口から女の唾液が入ってくるようだ…ヒクヒク蠢く舌が、裏筋を上下に刺激する…
男は目を閉じて…女の舌の感触に身を任せてしまう…この世には自分の男根と女の舌しかない…そんな気になる…

女の責めは執念深い…少しずつ、しかし確実に生暖かいものが睾丸に満ちてくる…
顔から胸にかけて…女の愛液でヌルヌルだ…愛液はいっかな止まる気配が無いが不快ではない…次第に女の愛液に包まれていく…
「あ…あぁ…」
時々…男の体がピクリ、ピクリと動く、その都度、体のなかでチャプンと何か波打ち…さざなみのように快感のなみが走る…

長く感じたが、実際は10分ほどだったろうか…生暖かいものが亀頭の先端に達する…睾丸からより熱いものがせりあがる…
「あぁぁ…いく…溢れる…」
”イキナサイ…ガマンシナクテイイノ…アフレテシマイナサイ…凄ク気持チイイカラ…”
トローリ、トローリと精液が鈴口から溢れる…女が飲んでいるのか…よくわからない…
女の言うとおりだ…出ている間…射精の快感が続く…
「はぁ…はぁ…いい…止まらない…出る…出ている…」
こんなのは…経験が無い…やがて…射精は静かに止まる…
「ほぅ…」ため息が漏れる…

女が体の向きを変える、余韻に浸っている愛液まみれの男の顔に唇を寄せる。
”ヨカッタダロウ…”
「ああ…しかし凄いお汁だな…溺れそうだ…」
”フム…クク…クククク…”
「?…」
”デハ…溺レサセテヤロウ…愛液デ…”
そういうと女は膝立ちの姿勢で男の顔を跨ぐ。
「おい…何を…むわっ」男が言い終わる前に、女陰から、先ほどにもまして愛液が滴りおちる…
ビチャリ、ビチャリ、ビチャビチャ…尋常でない量だ…
思わず顔を捻ってよけようとする…ゴボ…「?…」
突然体が沈む…沈み始める…あわてて立ち上がろうとするが…体が沈み見込む…床に広がる愛液の中に…
「うわっ…ゴボッ…」ブクブクいいつつ愛液の沼に沈むんでしまう。

”お…溺れる…?”息が苦しくない事に気がつく…疑問に答えをだす暇もなく…手を掴まれ引き上げられる…
女が手を掴んで引き上げてくれたのだ、愛液まみれの体は引き上げられた勢いのままに、女の胸に飛び込む…女が男を受け止めあお向けに倒れこむ…
ビチャーン!…盛大な音を立てて水溜り…恐らく愛液だまりに倒れこむ2人…
「どうなっているんだ?…ここは…いったい…」起き上がり辺りを見回す。
さっきまで自分の部屋にいて、女の愛液の中に沈んで…直ぐ引っ張りあげられた…なのにここは…
周りが見えない…自分達がいるのは浅い愛液の…沼?湖?…周囲数mから先は暗くて見えない…今いるところは沼から10cmぐらい突き出た場所だが…
ふかっ…柔らかい…肉のような感触だ…
「ここは…どこだ…まさか…何かの生き物の腹の中なのか?…」

”ククク…イツマデ考エテイラレルカナ…”女がヌルヌルした体を擦り付けてくる…
「うわぁぁぁぁ…あぁぁ…」…女がヌルリヌルリ絡みつく…胸がこすり合わされ…乳首が…女の言うとおりだ…
すごく気持ちいい…すぐに考えるこができなくなる…女を抱きしめる…
女と口づけを交わす…
背中も舐めている…?…
振り向けば…そっくりな女が愛液を滴らせながら…背中から抱きついてくる…
「これは…夢か?…」
”フフフフフフ…サァ…良クシテヤル…”
2人の女が前後から責める…女たちの間でヌルヌルと擦られる…息が荒くなる…熱くなってくる…股間が猛り狂う…
それを見た女が愛液をすくい…股間にかける…
「うは…あ?…あぁぁぁ…」ヌラリとした液体の感触…男根がそそり立つ…興奮して固まる…一物も、がちがちに立ったまま固まってしまう…
「ああ…固まる…体が固まってしまう…」
”ドウダ…タマラナイダロウ…サァ固マレ…固クナレ…体モ…心モ…”

男は愛液と女たちの愛撫に溺れて硬直していく…二人は男を肉の島に寝かせると、愛液をかけながらやさしくさすりはじめた…
一人は、男の太ももにまたがり、タラタラ愛液を流しながら女陰を太ももに擦り付ける…女の紺色の茂みが男の肌を刺激する…
もう一人は男に寄り添い…愛液を手にとり男の胸をヌラヌラさする…乳首が立つと指で乳首をクニクニ刺激する…
女達に愛撫された場所から柔らかなものが染み込み体の中に溜まっていく…体も心も冷たく…冷たい快感で満たされていく…
そして一物には暖かなものがじわじわ満ちていく…男の温かいものが股間に集中していく…
”ふぁぁ…”男はもはや口もきけない、思考する事もできない…女たちにされるがままに感じるだけの人形であった…

女は愛液でテラテラ光る男の顔に、いとおしげにほお擦りする…
”フフ…モウ考エルコトモデキナイデショウ…”
”私達ノ愛液ニ溺レタオ前ハ、モハヤ私達ノ虜…快楽ニ浸ルガイイ…”
女達は男の両側に互い違いに横たわり女陰と舌、乳房で男の体を愛撫する…
男の足の指をくわえ、指の又に舌を這わす…胸で太ももを挟み込み、ヌラヌラフニフニすりあげる…女陰はわき腹に吸い付き、愛液を塗りつける…
もう一人は男の耳を舐める、舐め上げる…口からもトロリとした液体を吐き出し、舌で耳の中に注ぎ込む…
「!…ぁぁぁぁぁぁ…」男が目を見開く…頭にトロリした液体が入ってくる感触…トロトロトロトロ…脳が浸されていくのか…
トロリとした快楽の海に溺れる…沈んでいく…目は焦点が合っていない…口は開いたままだ…
ビクビクと悦楽に震えるだけの男の体…それを愛液まみれにして…愛撫しつづける女達…
やがて…固く張り詰めていた男の一物がビクビク脈打ちながら白い物を吐き出し始める…

”オャ…マダ残ッテイル…”
”後少シ…フフ…サテコノ男ハドウカシラ…”
女達は顔を見合わせクスクス笑う…

女達が愛撫を止めてしばらくして、射精の余韻に浸っていた男の心が快楽の海から浮上してくる…
「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…」
”ドウ?…”
「も、もう…」後は言葉が続かない…
”今夜ハ…ココマデニシテアゲル…フフフフ…”
疲れ果てていた…次第に意識は暗闇に引き込まれていく…
”ヨカッタデショウ…明日モ溺レルサセテアゲル…”


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