悪魔と魔女とサキュバスと

第ニ章 サキュバスのゾウショク(6)


 その日、放送委員の若井真子は放送室のPCで、明日の放送予定を確認していた。

 ピッ♪ 音がして、画面右隅のメールアイコンが点滅を始めた。

 「あれ? メール……」

 学校のPCに入ってくるメールは生徒会か、教師からの連絡以外にない。 真子はメールの内容を

確認する。

 「『急用……大学部の第三音楽室にきて下さい……』会長さんだ? なんだろ」

 真子は首をかしげ、右手の腕時計を確認する。

 「んーと、隆兄ちゃんが家庭教師に来てくれるのは七時半……全然OK!」

 予定の確認を終えた真子は、鞄から携帯電話を取り出して放送室を後にした。


 数分後、途中で会計の小縞と合流した真子は、第三音楽室の前に来ていた。

 「入っていいのかな……会長? 入りますよ」

 真子は、小縞の脇をすり抜けるようにして中に入った。

 (うわー真っ暗……お化け屋敷みたい)

 数歩入って立ち止まる。 と、突然辺りが真っ暗になり、真子は誰から腕を引っ張られた。

 「きゃ……」

 思わず悲鳴をあげかけたが、柔らかい布で口を押さえられてしまい、心臓の鼓動が跳ね上がった。

 (おどかしてごめんなさい)

 耳元で誰かが囁いた。 生徒会長の大河内マリアの声だ。

 もごっ……(会長!?)

 振り向くと、暗闇の中に微かに会長の顔が見えた。 マリアは人差し指を立てて口にあて、真子の手を

引いて部屋の奥に連れて行く。

 (脅かさないで下さい)

 むくれる真子に、マリアは手を合わせて詫びる。

 (ごめんなさい、あなたにいいものを見せてあげようと思ったの)

 そう言ってマリアは、大学の教室らしく床に固定された机に腰掛け、真子を隣に呼んだ。

 (?)

 訳がわからないまま、真子は示された場所に座る。 その時スポットライトが点灯し、部屋の中央に

『赤い悪魔の像』を浮かび上がらせた。

 (!)

 そして淫靡な宴が始まった。


 『おいで……こっちにおいで……』

 (中井先輩……)

 真子は美咲の背後に座っていて、その表情は見えなかった。 だが、美咲の向こうに立ち尽くす小縞の

呆けたような表情は、はっきりと見ることが出来た。 そして彼が美咲に引き寄せられ、彼女に捕らえられる

ところも。

 (あ、あんなこと……)

 いつしか真子はマリアの存在を忘れ、二人の戯れに見入っていた。 そして、『赤い悪魔の像』が放つ光を

浴びている体が火照り始めているのにも、気がついていなかった。

 あふぅ……

 近くでため息が聞こえ、柔らかいモノが耳たぶをはんだ。 甘い疼きに、頬が震える。

 あん……

 今度は真子が吐息を漏らす。 すると、首筋につつっと指が滑り、襟の辺りを軽く掴まれる。 しかし、真子の

視線は美咲と小縞の痴態に吸い寄せられて離れない。

 フッ……

 近くで誰かが笑い、首筋に誰かが口付ける。 甘い疼きに身を捩る真子、その上着に白い手が絡みつき、

服をめくりあげる。

 はぁ……はぁ……

 少女の香りの熱い呼気を服の中に残しつつ、真子は両手を上げて、されるがままに上着を脱いだ。 薄桃色に

染まる肌に『赤い悪魔の像』の妖しい光が絡みつく。

 あ……ん……

 光の当たるところが甘く痺れ、うっとりするような心地よさが真子を包む。 美咲と小縞の喘ぎ声をBGMにして、

真子はゆったりと体をくねらせ、光の愛撫に身を任せる。

 (かわいいは、真子……クク、もっと良くしてあげる)

 (はぁい……)


 僅かな時間の後、真子は白いソックスを残して裸になり『赤い悪魔の像』の光の中で淫らに踊っていた。 

その幼い体に大河内マリアが背後から抱きつき、薄い胸と神秘の陰りを優しく愛撫している。

 (あん……ああん……)

 美咲達を気にしていた真子は、無意識のうちに喘ぎ声を抑えていた。 濡れた瞳は焦点を失い、宙をさま

よっている。

 (真子……)

 真子は、神秘の陰りに指とは違うものが触れるのを感じた。 のろのろと視線を下げると、黒っぽい蛇の尻尾の

様な物が、真子の足の間から上に伸び、神秘の陰りに沿って前後している。

 (……?……あん)

 真子は神秘の陰りに、ジンと痺れるような温かみを感じた。 そして、体の奥からこみ上げてくる熱いものを……

 (……漏れちゃう?)

 (いいのよ真子……)

 囁く声に真子は頷き、下腹の力を緩める。 トロリとした熱いものが、神秘の泉から湧き出して、少女の股間を

濡らす。

 (……あっ)

 真子の蜜に濡れた蛇の尻尾が、神秘の泉をなで始めた。 甘い疼きが強くなり、足が開いていく。

 (あっ……ああっ……)

 真子自身の意志と関係なく、いや真子自身の意志で、その体が開いていく。 真子は神秘の谷間を精一杯

開いて、優しい蛇の尻尾を誘う。

 (きて……して……)

 (いい子ね……さぁ……)

 蛇の尻尾、いやマリアの尻尾が真子の秘所に潜り込んでいく。 少女の愛液とブレンドされた魔性の蜜は、真子を

淫らな夢に誘い、魔性の快楽に酔わせる。

 (あっ……ああっ……あーっ)

 指を咥え、密やかな歓喜の声を上げて真子は逝った、いや、逝き続けた。

 (いい……いい気持ち……いいキモチ……イイ……イイ……モット……モット)

 歓喜の中を漂う真子の体に、『赤い悪魔の像』の光の糸が魔性の紋様を描きだす。 真子の胎内に注がれた

魔性の蜜は、紋様を黒く染めつつ、真子の全身に染み込んでいた。

 (ハッ……ハッ……ハァッ……)

 歓喜の渦の中、真子は頭に違和感を覚えた。 薄れゆく意識の中で、真子は違和感の正体を探る。

 (角……)

 真子が自分の頭に角を感じたのと、意識が暗黒に落ちていくのが同時だった。


 その頃、コーホコポでは。

 ハッ……ハッ……ハッ……

 「アノネ、みすてぃガネ、アンナ声ヲダシタラネ、ヒョーノーヲ、頭ニ、ノッケルノ」

 スーチャンは、エミに向かい発見したばかりの『看病のこつ』を披露する。

 「ソースルト、みすてぃガ『静か』ニナルノー!」

 「うーん、間違っちゃいないけど……できればハァハァ言い始める前に氷嚢を乗せてあげようね」

 エミは曰く言いがたい表情で、スーチャンとミスティを交互に見る。

 「『看病』があんまり遅れても、ミスティが『静か』になっちゃうから」

 「ヘーソー」 スーチャンは腕組みした。 「看病ハ、奥ガ深イ」

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