教会[シスター]

6.キスはこうするの


”りず…りず…”
”誰…あれ…ここは…夢?…うそ…”
”初メテダッタンデショウ…疲レテ…寝チャッタノ…”
”ごめんなさい…”
”ウフフ…イイノヨ…コレデ…”
”?…”
夢の中のシスター・リズ…その前に、一人のシスターが現れる…
”誰…あれれ…あたし?…”
もう一人の『リズ』…しかし…
”りず…見テ…”
『リズ』はリズにそっくり…青白く光る魔性の瞳以外は…
”!…あ…あ…あ…”夢の中…リズの瞳が魔性の瞳に捕らえられる。
”りず…アタシガ教エテアゲル…”
”はい…”リズの瞳は何も見ていない…
”蕾ハ開イタ…りず…花ニナルノヨ…男ヲ喰ウ花ニ…”夢魔が命じる…
”花に…”虚ろな声でリズが繰り返す…
”ソシテ…最後ハふぁーざーヲ食ベテシマウノ…ソウスレバふぁーざーは永久ニ…りずノモノ…”
”ファーザーは…永久にリズのもの…永久にリズのもの…”

”ハジメマショウ…”
”へ?…あ…あれ…”リズが正気に戻る…
『リズ』が手招きする。
リズが近寄る…『リズ』がリズの顎を軽く掴む…
”目ヲ閉ジチャダメヨ”そう言って…リズの顔を引き寄せていく…
リズは、身を引こうとして…思いとどまる…そーっと『リズ』に顔を寄せていく…

唇を合わせる、軽く…一度離れる…”ふぅ”
もう一度…今度はしっかり…また離れる…力が抜ける…”あはぁ…”崩れ落ちそうになる…

”カワイイワ…デモ…モット頑張ッテ…”
そういってまた『リズ』が唇を合わせる…ニュル…舌を差し込んできた…
”やん…気色悪い…”リズが嫌がる…
”飲ンデ…”唾液を送り込んでくる『リズ』…
”え…あ…”
また…『リズ』の瞳が青白く光る…リズの目がトロンとなる…
そして…唾液を飲む…こくっ…こくっ…かわいい音を立てて喉が動く…
”……”
リズの目の周りが微かに赤くなる…お酒を飲んだみたいに…

”りず…”『リズ』が呼びかける…
こくっとリズが頷き、『リズ』の顎をかるく捕まえる…
”うふふ…かわいいわよ『リズ』…”軽く引き寄せ…唇を合わせる…舌が『リズ』の唇を割って差し込まれる…
『リズ』の舌を捕まえ…ねぶり…自分の口に引き込み…更に舐めまわす…
手馴れたディープ・キス…
”どう…うふふ…”
”合格…ジャ…オサライ…”

そして…夢から現実へ…リズが再び目覚める…そして…ファーザーの部屋に忍んでいく…

コンコン…誰かがファーザーの部屋をノックする…
ファーザーは浅い眠りから覚める…
「誰です…シスターですか?…」
「はい…ファーザー…お話が…」
「シスター…こんな時間に…お嫁さんに行く前の女の子が男性の部屋を訪ねるものではありません…こんな時間です…明日に…」
「お願いです…部屋に入れてください…」思いつめた声…
”仕方ありませんか…”ファーザーは頭を振って…ドアを開け…リズを迎え入れる…

「それで…話というのは…」
リズが動く、すばやくファーザーの懐に滑り込む…ファーザーが止める間も有らばこそ…
そして…ファーザーの唇を奪い…舌を絡めていく…
「ふぐぁ!…ひ、ひず…は…はぁぁ…」
ファーザーは、あわててリズを引き剥がそうとする…しかし力が抜ける…立っていられなくなる…
リズが唇を離す…
よろよろと、ベッドに座り込むファーザー…
「はぁ…」
リズの口づけは、昨夜とは比較にならない程巧みになっていた…たかがキス…なのに…頭がぼぅっとする…
「ファーザー…さぁ…」
リズの顔が近づいてくる…唇が赤い…妖しい笑み…引き込まれる…
唇が合わさる…舌がファーザーの舌の上を滑る…舌先が真中に線を引いて前後する…くすぐったい…
舌の感覚だけが妙にはっきりしている…他の…考えがうまく…形にならない…

リズの唾液が…甘い…女の子の唾液が…おいしいなんて…
リズの舌がファーザーの舌を自分の口に誘う…リズの口を…舐める…甘い…舌が溶けそうだ…
リズの目がすうっと細くなる…確信する…捕まえた…

リズがファーザーから離れる…ファーザーの目がうつろだ…
「ファーザー…どうです…」
「リズ…素敵だ…リズ…もっと…」
「御免なさい…今日は…ここまでなの…明日の晩…もっと凄い事をして差し上げます…うふふふふふふ…」

呆然としているファーザーを残し…部屋を出て行くリズ…ファーザーはリズに何が起こったのか…考える事ができなかった…

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