ボクは彼女

44.探索、そして


 プハッ、ゲホッ

 大波を避け損ね、警官、民間人はずぶぬれでせき込んでいた。 無事だったのはエミ(飛んで避けた)、ミスティ(なぜか波が避けた)、『クイーン・ドローン』

(高台に逃げていた)だけだった。

 「やれやれ、えらい目にあった。 この人魚さん達は、先生のお知り合いで?」

 山之辺刑事は、上着を脱いでバタバタと振りながらランデル教授に尋ねた。

 「うむ。 義理の母上と、連れ合い、それに娘達だよ」

 「へぇ……あれ? 奥さんは宇宙人ではなかったですか?」

 「人魚の国は人が長居できる場所ではなくてな、別居したのだ」

 ランデル教授は、波打ち際まで行くと、娘達、連れ合い(元妻)、義理の母(巨大人魚)に挨拶した。

 「ずいぶんと、お早いおつきで」

 『実は、婿殿のお探しの『マザー』とやらが、北の海で騒ぎを起こした後、娘達に追わせていたのです』

 「おお、そうでしたか。 今回探して欲しいのは、その『マザー』の同類なのですが……この沖合辺りに居るはずなのです」

 『すでに、娘達が辺りを探しています。 直に見つかるでしょう』

 「それは有難い」

 和やかに会話する巨大人魚と教授の背後で、教授の奥さんサティが怖い顔をしていた。 エミは、サティと人魚達の両方を見比べて呟いた。

 「荒れそうね……」

 「そんなことより!エミ先生。 木間君は……」

 濡れた服を着替えてきた麗が、エミに聞く。

 「あの人魚達が、探してくれているわ。 近くに居れば、直に見つかると思う。 私たちは、その後の事を考えないと」

 エミがそう言ったとき、ミスティが、スーチャンとナンドラゴラを連れて近くに来た。

 「大波はおしまい?」

 「おしまい?」

 ”シシマイ?”

 「おしまい。 ときにミスティ。 『マザー2』が見つかってからの事なんだけど。 中に『テレポート』できる?」

 「えー、またアレ?」

 「いえ、今回は中に侵入して、木間君を探して。 救出できればベストだけど」

 ミスティはきょとんとした顔でエミを見返す。

 「救出? どうやって?」

 「そこが問題よね……どうすればいいと思う?」

 麗と近くにいた山之辺刑事、部下の川上刑事がエミを見る。

 「えええ!?」「おい!?」「当てもなく来たのか!?」

 エミは肩をすくめた。

 「相手は宇宙人の作った宇宙船、それも『生きている船』。 中の構造も、相手の能力も判らないことだらけなのよ」

 「それはそうですけど」

 「ミスティにも言ったけれど、救出できれば万々歳だけど。 まずは情報収集」

 「そんな悠長な、何をされているか判らないんですよ!」

 麗が泣きそうになる。

 「私も心配しているわ。 でも焦らないで」

 エミは麗を抱きしめた。

 
 麗……?

 麗の声がしたような気がして、僕は目を開けた。

 (……えーと)

 起き抜けのように、頭がはっきりしない。

 「んー……」

 手を上げると、暖かい滴が顔にあたる。

 (ここ……どこ……)

 考えようとするが、答えが見つかる前に意識が朦朧としてくる。

 (……もう少し……このままで……)

 ……木間君!……

 「はいっ! 寝坊しました!」

 目が覚めた。

 
 『覚醒……驚愕……何が起きたの?』

 「『マム』?」

 『マム』に呼ばれた。 休息所から出て、少年の様子を見に行く。 少年は目を覚ましている。

 ’麗が泣いてる……だして……’

 「『マム』、少年が覚醒しています」

 『同意……疑問……意志が強い個体なの? 反応を調べなさい』

 「はい『マム』」

 少年を調べるため、彼を浸している乳液に足を踏み入れる。 足を包む温もりが心地よい。

 『制限……注意……長時間浸って入ると、貴女も影響を受けます』

 「承知しました」

 少年は、目を見開きこちらを見ている。 後ずさろうとしているらしいが、乳液の効果でうまく動けないらしい。 乳液の中に膝をついて、彼に触れる。

 ’ひやっ’

 体をビクンと震わせた。 感じたらしい。 乳液の中に隠れている下腹に手を伸ばす。

 ’やっ’

 アレが跳ねた。 固くなり、ヒクヒクと脈打っている。

 「まだ、男の子だね」

 ’どういう……あ……’

 思い出したらしい。 ここに浸っていると、女になっていくという事を。

 ’だ、出して……

 「いやなの?」

 ’う、うん!’

 「そ」

 微笑んで見せると、安心した風になった。 出してくれると思ったらしい。

 「すぐ、そんな気はなくなるから」

 指をそれに絡める。 揉むように動かす。

 ’な……だめ!’

 ブンブンと頭を横に振る。 手で両側から抑え、乳房の間に挟み込んだ。

 ’むふっう’

 そのまま、体を預ける様にして、彼を一度乳液に沈め、体を起こす。 二人とも乳液でヌルヌルになる。

 「さ、気持ちよくなろう」

 耳元で囁き、体をこすりつける。

 ’いやっ……だめっ……’

 声が小さくなり、息が弾んでくる。 突き放そうとする動きがやみ、求める動きに変わってくる。

 「どう?」

 ’だめ……だめ……ああ’

 『ダメ』を繰り返すも抵抗は失せ、足を開く。 逞しいモノの頭が、乳液の上に覗く。

 「よくして……あげるね」

 自分のモノを広げ、少年のソレを咥えさせる。 そして腰を落としていく。

 ’あ……あ……’

 「よくなってきたでしょぅ?……気持ちよく……」

 ’いい……の……’

 「一緒に……ね?」

 ’うん……’

 
 砂浜で泣きじやくっていた麗が突然立ち上がり、海に向かって叫んだ。

 『この、浮気者!!!』

 
 ’ひゃぁ!!’

 「ひゃぁ!!」

 『怒号……激怒……きゃぁ!』

 はるか沖、水平線の辺りで水しぶきが上がった。

 「お、あそこだぁ」

 「あそこだぁ」

 ”マァ、オゲレツ”

 一行は『マザー2』の位置を確認した。
 
【<<】【>>】


【ボクは彼女:目次】

【小説の部屋:トップ】