ボクは彼女

33.女の目覚め、警察の不幸


 ”あ……”

 クラゲ女の下は、冷たく滑っていた。 足の付け根にへばり付き、這いずる様に蠢いている。

 ヌル……ヌルリ……

 ”ひ……”

 異質な感触に、腰が逃げ気味になった。

 ヒクッ!

 ”ひっ……”

 舐められたところが震えた……

 (違う?)

 舐められたところに、暖かく痺れるような感覚が生まれ、中へ、中へと伝わってくる。

 (なに、これ?……ああ……)

 閉じていた足が開き、一本の溝が露になっていく……

 ヌルッ、ヌルッ……

 ”ひ……”

 舌が溝をなぞる。 上から下に、何度も、何度も。

 ”はぁ……はぁ……”

 痺れるような感触が、ゆっくりと広がっていく。

 ジュン……

 ”?”

 足の間が熱く、舌と別の滑りを感じた。

 ハムッ……ヌリュ、ヌリュ、ヌリュ……

 ”ああっ!”

 咥えられた。 どこを?

 『開花……目覚め……触れてみなさい……』

 手を伸ばし、クラゲ女に舐められているところに触れる。

 ヌルッ

 ”あっ”

 予想外の感触。 『溝』のあった所に、滑った肉の幕のようなものがあった。 それが自分の体の一部だった。

 ”こ、これ……変です……”

 『成長……性徴……問題ない……貴女の体が、育っている……』

 ”え?……あ……”

 クラゲ女が秘所に口をつけ、舌で中をなぞる様に動かしている、いや、中へ舌を差し入れていく。

 ”つっ……”

 『脱力……解放……力を抜き、動きを感じて……』

 ”感じる?……あ……”

 滑る舌は、ゆっくりと秘所を舐めている。 舐められている所が痺れ、自然に力が抜けて行く。

 ”ああ……ああ……”

 足が開き、秘所がさらけ出されていく。 開花していく肉の花を、クラゲ女が優しく舐め続ける。

 ヌリュリ……ヌリュリ……

 ”あふ……もっと……奥を……”

 舌を誘うように腰が動き、それに応えて舌が入ってくる。 痺れる感覚は、甘い、とても甘い蜜のような『女の快感』に変わって体を満たしていく。

 ”ああ……ああ……くる……”

 舌先が奥に届いた。 白い衝撃が走り抜ける。

 ”ああっ!”

 背筋が反り返り、喘ぎが漏れる。

 ”いいっ……いいっ!”

 体が硬直し、快感に震える。 呼吸を合わせて、舌先が奥を舐めてくれる。

 ビクッ、ビクククッ!!

 体を貫く快感に、頭の中が真っ白になる。 蜜のような女の快感に満たされ、体も、心も染め変えられていく。

 ”あ、あ、あーっ……”

 ひときわ大きな快感の波が体を貫いた。 力が抜けた体を床に預け、息を整える。

 『絶頂……極み……これで女性化は完了……目覚めたときには、もう記憶で苦しむことはなくなる……』

 ”……忘れるの?……”

 意識が次第に霞んでいく。

 『否定……否……忘れはしないわ。 ただ、自分の記憶として感じなくなる……』

 ”……そ……う……”

 『睡眠……休息……おやすみなさい……可愛い貴女……』

 ”……は……い……マ……マ……”

 

 −−− 酔天宮商店街通り −−

 プクー

 麗がほっぺたを膨らませている。 子供っぽい仕草を可愛く感じ、ほっぺたをつつく。

 「きゃっ! なにすんだよ」

 小さな拳が僕の頭にHit。

 「やったな」

 笑いながら麗の手を捕まえ……

 ウォッホン!!

 背後から盛大な咳払い。

 「仲がいいのは結構だがね、坊ちゃんに嬢ちゃん。 往来でふざけるのは遠慮してくれないかね」

 振り返ると、刑事のおじさんが苦い顔をしていた。 『イチャイチャしやがって』と顔に40Pフォント、太文字、赤色下線付きで書いてある。

 「すみません、ついいつもの癖で……」

 「そういつもの……」

 「いつもこんなことをやってるのか? お前ら」

 刑事のおじさんは盛大なため息をついた。

 「エミ……先生から話は聞いてるんだろう? 君らは狙われてるんだ。 少しは自覚してるか?」

 『すみません』

 僕と麗は頭を下げる。 

 「でも〜刑事さん。 宇宙人に狙われていると言われても、正直なところ実感がわかないんですけど」

 刑事さんは、困ったような顔になった。

 「普通はそうだな」

 「刑事さん自身はどうなんです? 『宇宙人』がただの高校生のカップルを狙ってるなんて言われて、信じるんですか?」

 刑事さんが盛大にため息をついた。

 「少し前なら、そんな寝言取り合わなかったよ」

 麗が首をかしげた。

 「と言うと?」

 「つい最近、この辺りで大騒動があったのは知っているだろう?」

 僕は頷いた。

 「どっかの国の潜水艦が暴走して、川をさかのぼって座礁したとかNEWSでやってました」

 「その騒ぎだ。 その『潜水艦』が宇宙人の乗り物だったらしい」

 「へぇ、じゃぁUFOだったんだ」 麗が応じた。

 「いや、未確認潜水物体だからUSOと言うらしい」

 「は? 『USO』? 冗談でしょう」

 麗が笑っているが、僕も同感だった。

 「冗談だったらどんなに良かったか…… それ以来、大学絡みの事件は『迅速、かつ秘密裏に処理せよ』とのお達しがきてな」

 「でも……それなら警察じゃなくて、黒服、黒メガネのオジサン達か、防護服の集団の仕事じゃないんですか?」

 僕が言うと、刑事さんは大きなため息を吐いた。

 「そういうのがいれば、喜んでお任せするよ」

 「いないんですか?」

 「いると思うか?」

 僕たちと刑事さんはしばらく顔を見合わせた。

 「思いません」

 「そうだろう。 だから、警察が対処するしか……」

 「あ、不法入国者として、入国管理局に取り締まってもらうのは?」

 麗は冗談のつもりだったようだが、刑事さんはポンと手を打った。

 「それもそうだ。 署長に掛けあって、て引き取ってもらおう」

 引き返そうとする刑事さんを僕と麗は全力で引き留めるはめになった。

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