ボクは彼女

30.悪魔、宇宙人、人外、そして…女体化


 −−翌日、マジステール大学 ーー

 エミは、『クイーン・ドローン』と共に、ランデルハウス教授の部屋を訪れ、事件の顛末を話した。 教授は『マザー2』の出現に驚き、『クイーン・ドローン』に

矢継ぎ早に質問した。

 「『マザー2』だけか? 『3』や『4』はいないのか?」

 『クイーン・ドローン』は肩をすくめた。

 「連絡がついたのは『2』だけのようです。 他の『マザー』からの連絡はありませんが、休眠状態か、意図的に連絡を避けているかも」

 「ん?」

 教授は首をかしげた。

 「意図的に連絡をしてこない? それはどういう意味だね? 『マザー』達は協力関係にないのか?」

 エミが補足した。

 「どうやら『マザー』達は、協力して『任務』にあたるという関係ではなさそうです。 情報共有はするようですが」

 「ふむ?」

 教授は顎に手を当てて考え込んだ。

 「同じ星の上に仲間がいるのに協力しない? 何故だ?」

 「ひょっとして……『所属』が違うとか? 民間と軍のように。 あるいは、『任務』の内容が異なるとか。 例えば『マザー』は知的生命を探索が主任務で、

『マザー2』は『タァ』にとって役立つ生物を探すとか」

 言葉を切ったエミは、ちらりと『クイーン・ドローン』を見て、視線を教授に戻し、そっと彼女を指さした。

 (む?……ああ、疑ってかかれということか……)

 教授がため息をつくと同時に、扉が開いてミスティとスーチャンが入って来た。

 「おやつあるかな〜♪」

 「あるかな〜」

 今度はエミがため息をつく。

 「ミスティ、こんなところで『油を売っていて』いいの?」

 「はい?」「ha?」「What?」「油?」

 エミ以外の全員がキョトンとし、エミが舌打ちをした。

 「(しまった、慣用句だから意味が通じなかった)言いなおすわ。 ここで無駄な時間を費やしていいの? やっと見つけた……あの人たちは取り逃がし

たんでしょう?」

 「あれ? エミちゃんの所に連絡があったんじゃないの? 『次の仕事ください』って」

 「ははは……(何で知ってるの、この地獄耳)」

 引きつった笑いでごまかしたが、ミスティは油断のできない相手だと再認識する。

 「それより〜♪ ミスティに何か用があるんじゃないの」

 ミスティが『クイーン・ドローン』に顔を近づけた。

 「ご存じなら話が早いですね。 あなたが作り出した……『使い魔』と言うのですか? その『使い魔』は変わった『技』をお持ちとか。 それに興味があります。

 差し支えなければ、いろいろとお聞きしたいのですが」

 「差し支えあるので、駄目〜♪」

 ミスティはニコッと笑って身を引いた。 目が笑っていない。

 「それは残念です」

 『クイーン・ドローン』は引き下がったが、まだあきらめていないようだ。

 (彼女、自由意志を持っているようにみえるけど、『マザー』の意向に従っているわね)

 「教授。 お茶を入れてきますね」

 「すまないな」

 エミは立ち上がり、部屋を出たところで息を吐いた。

 (小悪魔VS宇宙人VS人外生物……低予算のホラー映画みたいになってきたわね……と)

 エミは部屋に取って返し、スーチャンを手招きした。

 「なに?」

 「お茶の入れ方教えてあげる」

 「わーい」

 スーチャンを伴い、給湯室に向かう。

 (単独行動は死亡フラグっと)

 
 …

 ……

 ………

 う

 意識が戻る。

 失神してからの時間が判らない。

 頭を振ると、体に違和感があった。 自分の体をあらためた。

 ”痩せた? ううん、きゃしゃになったみたい”

 手足を動かすと、関節が少しうずく。

 『覚醒……目覚め……気がついた?』

 ”あ……はい”

 『半分変わったところで、意識を失ったのよ……』

 思い出した。 股間を弄ると、少年の証がない。 しかし、少女でもない。

 ”なくなっちゃった……”

 『否……途中……今は、変わりかけの半分』

 ”え?”

 『陰陽……反転……男の子から女の子に変わる途中……』

 もう一度、股間を触ってみる。 柔らかい『何か』がある。

 『睾丸……宝玉……それが、体の奥に入り、貴方を女にする』

 良く判らない。 と、女の人の一人が股間に顔を近づけてきた。 アレを押しこんだ人だ。

 ”そこは汚いよ”

 『否……清潔……そこは大事な場所、汚くはない。 身を任せなさい……』

 女の人が、股間に口づけし、舐めた。

 ヒクッ!

 白い衝撃に息が止まった。

 ベロリ

 ヒククッ!!

 再びの衝撃。 甘美な波が、怒涛のように押し寄せてきた。

 ”ああっ……なに……なんなの……”

 『集中……陰核……男の性器が縮み、快感の源が小さくなったから……一度に感じるようになったの……』

 ”そ、そうな……ああっ……あああっ……”

 舐められる毎に、強い快感が走る。 奥へ、奥へと快感が潜り込んでくる。

 ”は、入ってくる……ああ……だめ……いや……もっと……もっと奥に……”

 ジンジンと快感を放つ『珠』が、股間から下腹に潜り込んでくる。 その『珠』の放つ快感にあてられ、次第に自分が自分でなくなっていく。

 ”いい……もっと……もっと奥を……なめて……”

 口元が緩み、吐息が漏れる。 ザラザラした感触に、体が勝手に反応する。

 『快感……愉悦……心地よいはず……女の快感に染まっていくはず』

 ”はい……ああ……お腹の中が……気持ちいいの……”

 体の中の『珠』から、トロトロと甘い蜜が溢れ、沁みとおって行く。 甘い快感に、体が歓び、魂が蕩けていく。

 ”ああ……ああ……”

 『従順……許容……貴女は女。 受け入れて、女の快感を』

 ”はい……女……女に……なる……”

 蜜のような女の快感が、体と魂を女に染め上げる。 それとも、女になるからも心地よくなっていくのか。

 ”どっちでもいい……ああ……”

 潜り込んだ舌先を避ける様に、『珠』が潜り込み、『神殿』の玉座にはまり込む。

 ズッ……キン!

 ”!!”

 白い快感が爆発した。 頭の中が弾け、背筋が反り返る。 女として完成する時の衝撃が、男の残滓を一気に流し去った。

 ”……”

 力が抜け、床に横たわる。 下腹の中が熱く脈打っている。 胸が張り、腰がすぼまっていく。

 ”はぁ……”

 息を吐き、女体化の余韻に浸る。

 『休憩……冷却……しばらくお休みなさい。 落ち着いたら、仕上げをしてあげる』

 『声』が頭の中に染み込む。 自分の意志のように。

 ”はい、おおせのままに”

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