ボクは彼女

28.『ドローン』側の事情


 「ご協力ありがとうございます」

 「お役に立てて何よりでした」

 エミは下館刑事に頭を下げると、『クイーン・ドローン』を伴って酔天宮署のパトカーに乗り込み、海岸を後にした。

 「毎日ご苦労様」

 助手席の山之辺刑事がねぎらいの言葉をかけた。

 「どういたしまして……ところで聞きたいんですけど」

 「なんだい」 山之辺刑事が首をねじって後ろを向く。

 「警察はこの事件をどう処理する気なの? 『宇宙人』絡みとなったわけですけど」

 「所轄の下館さんは困っているでしょうね」 ハンドルを握る川上刑事が応じた。

 「そいつはどうかな。 確かに今は、下館が現場責任者だ。 しかし『宇宙人』絡みと判った以上、警察の仕事じゃなくなるからな。 聞いた事もないような

組織が出張って来て、全部持ってちまうんじゃないか?」

 「それは……下館さんたちは怒るんじゃないですか?」 川上刑事が心配そうに言った。

 「どのみちこれ以上は警察の手に余る。 厄介ごとを引き取ってくれるなら、万々歳だ」

 川上刑事は、納得がいかない様子だったが、後席のエミと『クイーン・ドローン』は山之辺刑事の意見に賛同した。

 「海の上なら海上保安庁、海の中なら海上自衛隊、管轄が違うし、そもそも警察には捜査するための人員も機材もないでしょう?」

 「そういうことですね。 逮捕するどころか『マザー2』を見つけ出すことすら不可能でしょう」

 「……」 川上刑事は不機嫌な顔で黙り込んだ。

 「ときにエミさんよ。 いまさらだが、そちらの『クイーン・ドロ』さんは、『宇宙人』の『研究者』なんだよな?」

 山之辺刑事は、正面を向いたまま呟いた。

 「当然。 『マジステール大学のヨーロッパ校』から来てもらった、ランデルハウス教授の助手です」 白々しく答えるエミ。

 「そうでしたの。 それは知……」

 『クイーン・ドローン』の口をエミが塞ぎ、重たい沈黙がパトカーの中に満ちる。

 「ま、まぁ。 それはあんたの大学の話だ。 俺が聞きたいのはだ、『宇宙人』のドローンにされた人間の事についてだ」

 『クイーン・ドローン』は首をかしげた。

 「最初は、『ドローンにされた人間は、宇宙人のロボット』になると思ってたんだが、あんたを見てると……じゃない、あんたの話を聞いていると、そうじゃ

ないようだ。 その……『ドローン』にされると言うのは、どうなるんだ?」

 『クイーン・ドローン』は瞬きし、少し考えてから口を開いた。

 「その質問は、大学でもされましたが……『意志』と『記憶』を奪われることはない……様です。 そもそも、それを奪ってしまうと、『ドローン』を作るメリットが

なくなりますから」

 「と言うと?」

 「貴方の言う『ロボット』化された人間では、指示通りに『行動』しますが、それだけです。 それこそ、人間の使うドローンやロボットと変わりません。 

手間暇かけて、作る意味はないでしょう。 『マザー』が欲しているのは……『協力者』です」

 「『協力者』? つまり……人間を洗脳して、自分のために働かせると?」

 『クイーン・ドローン』は苦笑した。

 「その言い方は少しと違いますね。 第一『マザー』が人間を洗脳するのは不可能なんです」

 「ほう? 不可能とは?」

 「『マザー』は人間を理解できません。 人間の『思考』が判らないと言うべきでしょうか? その判らないものを、作り変えることが出来ると思いますか?」

 「……なるほど。 そうなると、何故『ドローン』化された連中は『協力者』になったんだ? 自分の意志に反して捕まって、体をいじられた訳だろう?」

 『クイーン・ドローン』は少し考え、答える。

 「『待遇』の違い、でしょうか」

 「『待遇』?」

 「ええ。 『マザー』はドローンに対して、苦痛を与えない様に注意し、報酬として『快感』を与えます」

 「色仕掛けか!?」

 『クイーン・ドローン』は再び苦笑した。

 「否定はできないですね。 ただそれだけではありませんね。 『マザー』は『ドローン』を大切に取り扱います。 使い捨ての道具の用には扱いません。 

結果として、『ドローン』は『マザー』を信頼するようになります」

 「普通、上司ってのは部下をそう扱うもんじゃないのか? 仕事関係以外でも、人が互いを尊重するのは当然だろう」

 「建前はそうでしょうが、実際はそうでない例の方が多いのですよ。 悲しい事に」

 『クイーン・ドローン』は寂しげにほほ笑んだ。

 「と言っても、捕まって『ドローン』化処理を受けた全員が、それを受け入れた訳ではありませんけど」

 山之辺刑事は酸っぱいものを呑み込んだような顔になった。

 「……つまり『宇宙人』の『ドローン』になった連中は、それよりひどい扱いを、同族のはずの人間達から受けていた、そう言いたいのか」

 「すべての『ドローン』がそうとは限りませんが」 『クイーン・ドローン』は言い添えた。

 「待ってください。 そうなると……またどこかで同じような事件が起きるのでは?」

 川上刑事がそう言うと、山之辺刑事とエミが揃って彼を見た。

 「行方不明になった連中が『ドローン』化を受け入れず、別の人間を拉致すると? あり得るわね」

 エミの言葉に山之辺刑事が反応した。

 「この辺りの海岸一帯、いや船舶も危ないな。 警戒するように連絡を入れよう」

 「それより、海岸への立ち入りを禁止するとか」

 「範囲が広すぎる。 それに、海岸の立ち入りを禁止したとして、場所を移動するか船を狙うかもしれん」

 山之辺刑事は警察無線に手を伸ばした。

 「厄介なことになったわね」

 
 チャプ……

 浴槽の中の戯れは続いていた。 かき回されたせいか、『ヨーグルト』は『サラサラ』から『ヌルヌル』に変わっていた。 女の人たちは、微笑みながら

『ヌルヌル』を手に取り、体に塗り付け、そして体を絡めてくる。

 ああ……

 女の人たちの肌が擦れ合い、乳房が柔らかく押し包み、足の間の柔らかいところが、腰の辺りを這いずる。

 ふん……う……

 熱いモノを出した後、アレはいったん萎んでしまったが、くすぐられとすぐに固くなっていた。

 『さ……結合……挿入……受け入れてあげる……』

 ”受け……入れる?”

 女の人の一人が膝立ちし、足の間を広げて見せた。 女の人の足の間、開いたところが見えた。

 ”あ……”

 いけないモノを見て、恥ずかしくなった。

 『禁忌……秘匿……見てごらんなさい……』

 ”でも……”

 そう言いながらも目が離せない。 ピンク色のそこは、息をするように動いている。 そこからき、光った滴が位置を引いて落ちた。

 『ソコが……貴方を受け入れる……』

 ”受け入れる?……何を?”

 尋ねてから気がついた。 アレがそそり立っている。 そこに女の人が腰を下ろそうとしている。

 ”ええ?……アソコにアレを?……入らないよ”

 アレの方が太い。 そう見える。 きっと女の人は痛いだろう。

 『案ずる……心配……大丈夫よ……』

 声が言うと同時に、女の人が腰を落とす。

 ズブッ……

 アレの先が、アソコに……

 ”くうっ?”

 滑る感触が、アレを……上から下に……

 ”ああっ……ああっ……”

 ヌルヌルしたところが、アレを包んでいく。 暖かい滑りに、アレが……変になっていく

 ”ダメ……そんな……”

 『可能……問題ない……よい……ほら……よくなってくる』

 ”え?”

 ヌル、ヌル、ヌル……ズン!

 はっ、はっはーっ……はうっ!

 一気に腰を落とした女の人が、大きく喘いだ。 アレの先が、ザラザラしたものに

 ”ひっ!”

 先端が熱い……いや……アレが……ああっ!

 はっ、はっ、はっ

 女の人は喘ぎながら腰を上下し、アレの先端で中を弄っている。 されるがままに、アレが熱くこみ上げてくる。

 ”だめ……だめーっ!”

 抵抗もむなしく、気持ちいいのが溢れてしまう。

 ”あーっ……ああっ、あああっ……”

 はっ、はっ、はーっ……

 女の人の腰の重みに、アレの中身が絞り出される。 アレが良くて、逆らえない。 全部、女の人に取られていく。

 ”ああ……”

 体がずっしりと重くなり、滑る『ヨーグルト』の中に体が半分埋まる。

 ”あ……”

 体が『ヨーグルト』と溶け合っていくみたい……気持ち……いい……

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