黒のミストレス

13:暗転


少しして、龍之信は起き上がる。

「シンシア…」

「龍之信…参りましょう…」

「?何処へ…御両親の所へか…」

「いいえ…ミストレス様の中へ…」シンシアの声が妖艶な狂気の色を帯びる

「シンシア!」

驚いて顔を上げる、龍之信はシンシアの顔が、淫靡な笑みに満たされているのをみた。

そして、その向こう、枕の辺りに裸のミストレスが同じ笑みにを浮かべて座っているのを。

「ミストレス!貴様生きていたのか!」

「あれで、私を殺したと思っていたの…無邪気な方…ウフフ」

ミストレスは穏やかに笑い、シンシアを誘う。

「さあ…シンシア…戻っておいで…お前の想い人と共に…私の中に」

「はい…ミストレス様…只今戻ります…龍之信…参りましょう」

いつのまにか、シンシアの体の向きは180度変わっている。

うつ伏せのまま、頭のほうがミストレスを向き、龍之信に尻を向けている。

龍之信の物はシンシアにくわえ込まれたままで、シンシアの足が龍之信の胴に巻きついている。


「シンシア!よせ!正気に戻ってくれ!」

「龍之信…参りましょう…ミストレス様の中に…」

シンシアは腕だけを使い、龍之信をずるずる引っ張っていく。

龍之信は何かを掴もうともがくが、不自由な姿勢の為うまくいかない。

シンシアの手がミストレスの女陰に届いた。

ビクンとミストレスの女陰がシンシアの手を呑み込む。

シンシアの顔に陶然とした表情が浮かぶ。

「は…あぁ…いま…戻ります…」

ずるり、ずるり、シンシアは手、腕と飲み込まれていく。


「!」龍之信は恐ろしい光景を見た。

ミストレスの女陰が大きくなっていく、人間を呑み込めるほどに…

そこにシンシアが呑まれていく、龍之信と供に…

もがく龍之信、しかし止まらない。

シンシアの頭まで来た、ミストレスの女陰はビチャビチャ音を立てながら、シンシアの頭を呑み込んでいく

ズル、ズルルッ、もうシンシアの手は動いていない、ミストレスに飲まれるに任せている。

シンシアの小ぶりな乳房の辺りをビラビラした淫肉がくわえるように動いている。

そして、龍之信の足についに淫肉が触れる。

テラテラ光る愛液にまみれた肉の舌が、龍之信の足首に巻きつく。

「うわわわわっ!…こ、このっ…あ、足が、足が動かない…ああっ、シンシア…」

シンシアの足が龍之信を離す、一足先に呑み込まれていく。

胸、腹、尻、太もも、足…シンシアは抵抗することなく、女陰の中に消えていく…

そして、龍之信も…

”あ…足が…う、動かせない…ああ…呑まれる…”

淫肉に巻かれた足は快楽の疼きに震え、龍之信を裏切る。

もう、ミストレスに呑まれるままである…


「うあああ!」

ビクリ、ビクリとミストレスが腰を動かすたび、龍之信の足が、ミストレスの女陰に呑み込まれていく。

足を動かそうとするが、呑まれた部分はミストレスの愛液に濡れて、痺れる快感に包まれ体が動かなくなっていく。

腰まで呑まれたところで、ミストレスは動きを止める。

「…はぁ…はぁ…はぁ?」

「では…」

腰から下が蕩けるような感覚に包まれる、ひょとすると、ほんとに溶けているのかも…

腰の辺りで淫肉が下半身をビラビラ愛撫し、それに応じて龍之信の体にも言いようのない快感が伝わる。

ルーイやダストンはこの感覚に虜になった。

龍之信も腰から下が言う事を聞かない、気を抜くと、自分からミストレスのものになってしまいたいという気持ちに負けて

しまう。


ミストレスの顔は女陰の向こう側で見えない。

ミストレスのクリトリスに皺がよる。

「?」見る間に、クリトリスにミストレスの顔が現れる。

肉色のそれがにょろりと伸びる。ろくろ首のようだ。

ミストレスの顔が近寄る

「龍之信…ああ…たくましい胸…では乳首を私の物にしてあげましょう…」

ミストレスのテラテラ光る舌がのびて、龍之信の乳首をチロチロなめ、ヌラヌラした液体を塗りつける。

「ああああ…しびれる…たまらない…やめてくれ…」

龍之信は快感にわななく乳首が気持ちいい、勝手に反応する。

乳首がぴんと立つ、そこが疼く”さあ…おまえもミストレス様のものになれ…”乳首が裏切ってそういってくる。


ミストレスの顔が、胸にほお擦りをする。

胸もミストレスの虜になった。

”ミストレスが私を舐めてくださった…何ていいんだ…もう抵抗しない…”

下半身は見えないが、もう龍之信の言う事を聞く気はないらしい。

腕を振りまわすが、ミストレスに触れればそれまでだ。


ミストレスはわき腹を舐める。

「うつ伏せになって…」

体がミストレスの願いを聞く。背中が舐められる。

”背中が…ああ…もう背中もいい…お前も…ミストレスのものに…”

残りは頭と両腕だけだ。

「凄い…凄いわ龍之信…今までこんなになって耐えたものはいないのに…」

ミストレスの両目は熱情をこめて龍之信を見る。

ミストレスの顔が龍之信の間近に迫る。

「龍之信…」熱い息を吐きかけながら、激しく唇を貪る、龍之信の唇も舌も、顔全体がミストレスに支配される。

舌が性器になったように感じる、夢中でミストレスと口付けを交わし、舌を絡ませる。

愛液と唾液がヌチャ、クチャと交じり合う。

愛液がごくごく呑まされる。

体の心に心地よい痺れが集まって、だんだん熱く、痺れが強くなってくる。

体が固く、硬直しだす。

”いい…何ていいんだ…体が硬くなってくる…両腕よ…もう諦めよう…私はこのまま硬くなってしまいたい…ミストレスに

呑まれたい。”

体の芯からミストレスのものとなっていく。

もはや、2本の腕だけが、空しい抵抗を続けていた。むしろ腕の方が裏切り者であった。

その腕にも、付け根の方から甘い熱い痺れが昇っていく…


腰の辺りに誰かがしがみつく…

何とか目をそちらに向ける、シンシアだ、再びミストレスの女陰から現れ、龍之信を引き込もうとしている。

手を伸ばし、競りあがってくる。

ヌラヌラ光る愛液に包まれ、情欲に満ちた表情を見て、龍之信は美しいと思った。

シンシアが龍之信の左手を捕まえた。

自分の胸に触らせ、腕さすり、舐め、愛液を塗りつけて行く。

左手が裏切る。”シンシア…柔らかい胸…さすってくれるのか…シンシアの言うとおりになろう…”

とうとう右手のみとなった。


愛液に犯されていない右手を必死に伸ばす龍之信…

シンシアが胸にしがみつき、手を伸ばして、龍之信の右手を捕まえようとする。

思わずシンシアを見る龍之信。

シンシアの眼を見たとき、あの誓いをもう一度思い出した。

”もし駄目だったときは…シンシア…私も行こう…あなたのもとに…”


龍之信は伸ばした右手の力を抜き、そっとシンシアの背中にまわし、抱き寄せる。

悪魔の愛液に犯されることもかまわずに。

「シンシア…」

そしてシンシアに、とても優しい口付けをする。

シンシアの情欲に染まっていた顔が、正気に戻る。

幸せそうな笑顔になり、眼に涙が浮かぶ。

シンシアが龍之信にしっかり抱きつく。

「龍之信…」

2人は口付けを交わしたまま固く抱き合う、その2人をミストレスの愛液が包み込む。

龍之信はシンシアと共に、ミストレスの女陰に呑み込まれた。


………………


そこは、マジステール館の地下室であった、龍之信に当身を食らわされたシンシア達は、まだ倒れたままだ。

先ほどまでの事は幻覚だったのであろうか?


「ほほほ…龍之信…愛しいシンシアと楽しい夢がみれました?」

龍之信は、椅子に座ったミストレスと深く交わっていた。

両手は肘掛をつかみ、ミストレスの上に覆い被さっている。

全身がヌラヌラ光っている、悪魔の愛液に包み込まれていた。


龍之信の瞳は何も映していない、宙を見ている。

龍之信の体が冷たい快感で満たされる。

ガチャン…

龍之信の魂が砕けた。

がくりと頭をたれ、ミストレスの胸の上に崩れ落ちる。

そして、龍之信の体が溶けていく、愛液と混じり、みるみる透明になりっていく。

龍之信の体は愛液と混じり、ミストレスの女陰に飲み込まれていく。


やがて、龍之信は魂のみが残される、それをミストレスは驚きと喜びの表情で見た。

「まあ…なんて見事な…」

龍之信の魂は、5cmもある巨大な赤い玉となっていた。

ミストレスは玉を拾い上げ、うっとりとその玉を眺める。

くるりと玉を回したとき、形の良い眉がピクリと動く。

赤い玉に絡みつくように、青い縞が走っている、その縞は人の形のように見えた。


「シンシア…」ミストレスは呟いた、わずかに切なそうな表情になる。

「想い人と一つになれたのですね…ふふ…うれしいですか?」

赤い玉がフルフルと揺れ動く。

「あせらないで…いま戻してあげる…愛欲の泥沼に…」

ミストレス妖しく微笑む。

そして、赤い玉を女陰にあてがう。

ミストレスの女陰が大きく口を開け、龍之信とシンシアの魂を飲み込んでいく…

「はあ…大きい…」ミストレスはのけぞり、白いのどをみせながら、ゆっくり首を振る。

ミストレスの下腹部が丸く盛り上がる、へその方にふくらみが移動していく…


そして、ふくらみが小さくなっていき、もとの白い腹にもどる。

「…うふふ…では私も…さあ…溶け合いましょう…みんなで…」

そういって、ミストレスは目を閉じ、椅子に深く腰掛けなおす。

そして、闇の中に静寂が満ちた…


【<<】【>>】


【黒のミストレス:目次】

【小説の部屋:トップ】