魔女の誘い

第ニ章(9)


 ルウの秘所が、熱い快楽に溢れかえった。

 ”い……くうっ……”

 あられもない声を上げ、弓なりに体を反らし、絶頂に浸るルウ。

 ”かはっ……”

 ルウは大きく息を吐き、クタリと寝台の上に倒れる。

 ”はっ……はっ……”

 体がほんのりと暖かく、快楽の余韻が薄いベールの様に体を包んでいる。

 ”よかった……”

 頭を寝台に預け、横に立っているメイドの方を見た。

 ”?”

 彼女は呆けた様な顔でルウを見ていた。 彼女と視線が合うと、メイドは慌てた様にルウの傍らに膝まづいた。

 ”す、すみません、つい見とれて……”

 ”見とれて?”

 ルウが首をかしげると、メイド頭がやってきて銀の盆を鏡代わりにして、ルウの姿を映して見せた。

 ”……”

 映っていたのは確かにルウだった。 しかし、少年らしさを残していた体の線は、すっかり少女のそれになり、大人の女の匂いすら漂わせていた。 わず

かに膨らんでいた胸は、丸く大きく膨らんで、メイドの胸より大きく見えた。 そして、金髪のショートヘアは、肩まで延びたプラチナブロンドに変わっていた。

 ”これ、誰……”

 そこに映っているが自分しかいない事は判っていたが、それでもなお、そう呟かずにはいられなかった。

 ”おきれいにおなりですよ”

 メイド頭が言った。

 ”ありがと……”

 礼を言いながらも、どう反応すべきか判らず、戸惑いを隠せないルウだった。

 
 ”続けますね……”

 ようやく自分を取り戻したメイドが、ルウを再び寝台に横たえ、香油のマッサージを再開した。 大きくなった胸を、香油で濡れた指でもむ。

 ”あっ……ああっ……”

 喘ぎを漏らしたのはメイドの方だった。 ルウの胸は柔らかくメイドの指を受け止め、その触り心地は天国の果実もかくやと言うものだったのだ。

 ”気持ちいいですか?”

 ルウが尋ねた。

 ”はい……凄いです……”

 息を弾ませながら答えるメイド。 その表情に、ルウの中で何かが目覚める。

 ”ふふ……それでは……”

 ルウ体を起こし、寝台に腰かける形になった。

 ”もっとよくしてあげる……おいで……”

 ルウは、メイドに手を差し伸べた。 メイドの瞳がトロンと曇り、ふらふらとルウの腕に身をゆだねる。 ルウはメイドの体を優しく抱きしめた。 二人の胸が

密着し、溶け合う様に形を変える。

 ”ああっ……”

 ルウの乳首がメイドの乳首に密着し、その感触にメイドが悦こびの声を上げた。 ルウは、メイドの体を撫でながら、体をゆすった。

 ”ああっ……いつの間にそんな技を……まるで『奥様』……ああっ……”

 いつの間にかルウの指がメイドの秘所を弄っていた。 女体のすべてを知り尽くしているかのように、巧みに、そして的確にメイドの体から女の快楽を引き

出していく。 しかし、ルウは意図してメイドを愛撫しているわけではなかった。

 (ほんとに……いつのまに……)

 ぼんやりとルウは考えた。 銀の盆に映った自分の姿を見てから、自分が自分でなくなっていく様な、奇妙な感覚にとらわれていた。 頭がぼうっとして、

思考があいまいになっていく。 それでいて、体の感覚は鋭敏になっていく。 メイドを愛撫しながら、ルウも自分の体に女の歓びを感じていた。

 (気持ちいい……)

 下腹部の奥、女の神秘の底に、暖かく心地よいほてりを感じる。 そこがもっと、もっととルウに呼びかけてくる。

 (あん……だんだん……女の心が強くなっていく……ああん……)

 心の中で喘ぎながら、ルウはメイドを優しく愛撫し続ける。 すでにメイドは脱力し、人形のようにルウにされるがままになっている。

 ”いい……きもちいい……蕩けそうです……”

 ルウにしなだれかかってくるメイドの体は、骨が溶けてしまったかのようだ。

 ”す、すみません……マッサージを……”

 ”いいのよ……”

 ルウはそう言って、メイドの体を愛撫し続ける。 その一方で、ルウ自身もまたメイドと同様の快感を感じていた。

 (蕩けそう……ううん……蕩けてく……)

 暖かい快感が、下腹部の奥からとめどなく湧き出し、体の隅々まで満たしていく。 ルウの体を動かしているのは、その快感の涙った。 ルウは、自分の

意識がその快感の波に蕩け、溶け合っていく様な錯覚を覚えていた。

 (いえ、錯覚じゃない……ボクの意識が……溶けていく……女の快感に……気持ちいい……わぁ)

 ”くっ……くふっ……くうーん……”

 子犬のような声をあげ、メイドはルウの腕の中で失神した。

 ”ふふっ……可愛い子……”

 ルウは妖しい笑みを浮かべた。 その笑みは『奥様』の笑みとそっくりだった。

 
 傍に控えていたメイド頭が立ち上がった。 彼女は、失神したメイドを隣の寝台に横たえると、ルウの前に膝まづいた。

 ”お見事です、ルウ様。 わずかの間に貴女様は女として完成されました。 これ以降は、貴方様を『若奥様』とお呼びすることをお許しください”

 ルウはメイド頭に応える。

 ”ありがとう。でもまだ私は、いろいろと教わらないといけません。 それまでは、貴方の元で、館の事を学ばせてください”

 ”はい。 では今まで通り、昼間はメイドの一人として、館の仕事をしていただきます”

 ルウはメイド頭に手を差し伸べた。

 ”これは私からのお礼の気持ちよ”

 ルウは、メイド頭の顔に自分の顔を近づけ、その唇を重ねる。 そして時が止まったかのように、二人の体はそのまま動きを止める。

 ”はぁ……”

 唇が離れると、メイド頭はその場に蹲った。 顔が赤くなり、息が荒い。

 ”ほんとうに……上達されましたね……”

 ”ふふ……『奥様』からいろいろと注がれたおかげよ……女の快感……女の心……女の魂……”

 ルウはメイド頭に手を貸して立たせる。

 ”さぁ……続きをしましょう”

 ”はい……喜んで……”

 ルウは、寝台の上にメイド頭を誘った。 香油にまみれた二人の女が、雌の快楽に溺れる獣と化すまで、さほどの時はかからなかった。

 こうして、ルウは『若奥様』となった。
   
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