魔女の誘い

第ニ章(5)


 『奥様』は日を開けてルウを自分の元に招いた。 招かれない日は、ルウはメイド達に相手をしてもらっていた。

 ”ルウのここ、可愛らしいわ……”

 ”私としましょう……”

 最初の内は、熟練したメイド達の技に翻弄されるルウだったが、『奥様』の手ほどきによって次第に腕を上げていった。

 ”ああん……”

 ”上手になったわよ、ルウ……”

 そして何度目かの『奥様』の呼び出しがあった……

 
 その晩、館は蠱惑的な雰囲気の中で、集落の者たちが思い思いに『宴』を楽しんでいた。 ルウはメイド頭に『奥様』の元へと案内された。

 ”『奥様』。 ルウ、参りました。”

 『奥様』は薄絹に包んだ豊満な肢体を、ベッドの上に横たえていた。

 ”いらっしゃい、ルウ。 体を見せてくれるかしら”

 ルウはその場で服を脱ぎ、『奥様』自分の体を見せた。 少年だった体は、男らしさが見えるようになっていた。

 ”まぁ。 逞しくなってきたこと”

 ルウは、微かに頬を赤らめた。

 ”はい……メイドさん達の相手を務めているうちに……なんだか……”

 ”いいのよ、ルウ”

 『奥様』は妖しく笑い、ルウをベッドに招いた。

 ”失礼します”

 ルウはベッドに腰を下ろし、『奥様』がその横に座った。

 ”女の人にも慣れたわね?”

 ”は、はい……”

 ”そうやって、女の人を喜ばせていると、男の人は逞しくなってくるの。 覚えておいて”

 ルウは頷き、疑問を口にする。

 ”『奥様』は、僕が後を継ぐとおっしゃいましたけど……これでよいのですか?”

 『奥様』は微かに笑い、ルウに聞き返した。

 ”というと? 何か疑問があるのね?”

 ”はい。 この集落は『奥様』の胎内にあると言われました……それがどういう意味なのか、その時の僕には判りませんでした。 それからずっと考えて

いたんですけど……それは、女の人の……神聖な場所と関係するのではないでしょうか”

 ルウはそう言って『奥様』を見つめた。 『奥様』も、真剣なまなざしでルウを見る。 ルウは、言葉を選びながら話を続けた。

 ”女性の神聖な場所は、人をこの世に生み出すため、月に一度の障りがあると聞いています。 そして、この集落は月に一度、満月の夜だけ出入りが

出来ます。 そして『奥様』はこの集落が自分の胎内にあるとおっしゃいました……ということは”

 ルウは言葉を切り、目を反らす。 少年が口にするには、ちょっと生々しい話だったからだ。

 ”その、胎内と言うのは……”

 ”女の人の子宮、そう言う意味よ”

 『奥様』がルウの答えを引き取ってくれ、ルウは安堵の息を吐いた。

 ”そうなんですね……不思議な話です”

 ”信じられない?”

 ”いえ、信じます。 でも……そうすると男の僕は、『奥様』の後は継げないのではないでしょうか?”

 ルウは、困惑の表情で『奥様』を見ている。 なんとなく、自分が男であることに、後ろめたさを感じているように見えた。 『奥様』は、おかしそうに笑った。

 ”そうね、男のままなら……だから……”

 ”だから……”

 ”ルウには、女になってもらわないと”

 『奥様』の言葉に、ルウはやっぱりと言った表情を見せた。 その答えを予期していたのだろう。

 ”驚かないのね”

 ”ほかに驚くべきことがいっぱいあります”

 きっぱりと言ったルウだが、多少は動揺しているようだった。

 ”ルウ。 女になるのは嫌?”

 『奥様』の問に、ルウは複雑な表情を浮かべる。

 ”嫌というか……考えたことがなかったので……”

 『奥様』は、手を口元に当ててくすくすと笑った。

 ”そういう選択をする人は、あまりいないものね”

 『奥様』は笑うのを止めると、真剣なまなざしになってルウを見た。

 ”改めて尋ねるわ、ルウ。 『奥様』を継いでくれる?”

 ”「『奥様』みたいになりたい」とは言いましたけど……”

 ルウは、ちょっと首をかしげた。

 ”……僕が最初にそう言った時は、女にならないといけない話は言わなかったですよね? どうしてですか?”

 『奥様』は微かに笑って見せた。

 ”貴方がまだ『男』を経験していなかったからよ。 そんな貴方に『女』となることを選ばせることはできなかったの”

 ルウは『奥様』の顔を見た。 そして視線を下に移し、最後に自分の体を見る。

 ”まだ良く判りませんけど……いえ、判るような気がします”

 そう言ってルウは『奥様』の手を握りしめた。

 ”『奥様』の跡を継ぎます”

 『奥様』は、ルウを抱きしめ、その頬にキスをした。

 
 ”えーと……それでどうするんでしょうか……何か魔法か、薬でも使うんですか……”

 落ち着かない様子で尋ねるルウ。 『奥様』は微笑んで答える。

 ”魔法みたいなもよ。 ただ、いっぺんに変わるんじゃないわ”

 ”そうなんですか?……どのくらいかかるんですか?”

 ”子供が大人になる様に、ゆっくりと変わっていくのよ……大丈夫。 痛い事なんかしないから”

 『奥様』はそう言うと、着ていた薄絹を脱ぎ捨てた。 白い裸身がルウの前にさらされる。

 ”『奥様』……”

 ”宴を楽しむのと同じよ……さぁ……”

 『奥様』は、ルウに手を差し伸べた。 ルウは一瞬迷ってから、『奥様』の手を取った。 『奥様』が軽く手を引くと、逞しさをたたえた少年の体が、香しい

女体の中へと誘われる。

 ”ふわぁ……”

 優しい匂いと、ふくよかに体に包まれ、ルウは頭がぼうっとするのを感じた。

 ”さぁ……いつものように……”

 ”はい……”

 ルウは『奥様』と唇を重ねる。 『奥様』の両腕が少年の背中にまわされ、その体を引き寄せる。 柔らかな双丘が。少年の胸に吸い付き、甘い体臭を

その胸板に染み込ませていく。

 ”ルウ……”

 『奥様』の腕が、ルウの体を舌へと滑らせた。 ルウは逆らわず、唇を頤から喉、乳房へと移していく。

 フワリ……

 両の乳房が顔を挟み、乳の香りで彼を包み込む。 ごく自然な動きで、ルウは唇を這わせ、乳首を咥えていた。

 チュルル……

 口の中に甘酸っぱい味が広がり、意識が乳の色に染まっていく様な感覚を覚えた。

 ”『奥様』……不思議な気分です……”

 ”おっぱいは体を育てるもの。 ルウ、その乳が貴方の体を女へと変えてくれるわ”

 ”そうなんですか……”

 ルウは遠いところで自分の声を聴いていた。 乳が体に染み込み、自分を染め変えていくのを感じる。 体が柔らかくなり、ふわふわと気持ちよくなって

くるようだ。

 ”気持ちいい……”

 ”ルウ……”

 胸にルウを抱いた『奥様』は、彼の背中をさすりながら、足で彼の腰を挟む。 熱く濡れた『奥様』の秘所が、女を覚えたばかりの少年自身を咥えこもうと蠢く。

 ”あう……”

 ”ルウ……感じるままに……ふるまいなさい……”

 『奥様』に命じられるまま、固く反り返った少年自身が秘所の花びらで顔を隠そうとする。 熱く濡れた花弁が彼を包み、女の奥底へと誘う。 こんこんと

蜜を湧き出す泉へ誘い込まれた少年自身が、蕩けるような快感に震え、女の皮肉の抱擁に身をよじらせる。

 ”『奥様』ぁ……”

 ”ああ……ルゥ……”

 ベッドの上で喘ぐ少年と『奥様』は、男と女として互いの体を求めあう。
  
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