魔女の誘い

第ニ章(1)


 月が廻った。

 欠けていた箇所を取り戻した月は、一夜のみの支配者となる。

 ビル達5人と『奥様』とメイド達は、集落のはずれでその時を待っていた。

 ザワ……

 森の奥から風が吹き、茂みが揺れた。

 ”道が開きました”

 『奥様』が呟くように言った。 ビルは険しいまなざしで彼女を見る。

 ”今なら、外に出られますよ”

 ビルは、黙って視線を前に向ける。 黒々とした森の闇があるだけで、今までと変わらないように見える。

 「嘘だったとしても……今と変わらないか」

 ビルは呟き、アラン、ディック、ルウ、ダニーの4人を見た。

 「ここに残るんだな」

 アランが4人を代表して頷く。

 ビルは苦い表情で4人を順番に見て、『奥様』を睨む。

 「見事にたぶらかしてくれたな」

 そう言ってから、ビルは『奥様』が悲し気な表情を見せているのに気がついた。

 (獲物が逃げるのを、残念がっているのか? ふん、おあいにくだったな)

 
 アランが『奥様』に篭絡され、ビルの『奥様』への感情は、『恐れ』から『怒り』に変わった。 翌日の晩以降も、一行は館へと誘われたが、ビルはその日

から『宴』を拒絶し続けた。 それほど、仲間の心を奪った『奥様』が許せなかったのだ。 結果として、その怒りがビルを今日まで守ることになった。

 アランとディックは、もう一度『宴』に来るように言ったが、ビルに怒鳴りつけられるだけに終わった。

 一方で、ビルはルウとダニーに、自分と共にここから離れる事を勧めた。 未成人の二人の保護者として、彼らをこんなところに残していくことはできない

という責任感から出たものだったが。 ダニーもルウも、ここに残ることを選択して、ビルは落胆した。 そして『奥様』に対する怒りは、より一層深いモノに

なった。

 
 「じゃあな。 食料を分けてくれたことについては、礼を言わせてもらう」

 ”礼には及びません。 断念ですが、貴方が私と再会することはないでしょう”

 「俺は、ちっとも残念じゃないぜ」

 ビルはつっけんどに言い、ババ車の御者席にあがり、鞭を振るった。 荷車を引く四本足のこの動物が動かないことを危惧していたが、ババはそんな

様子もなく素直に歩き始めた。

 ゴトゴトゴト……

 ババ車は、たいまつを掲げ、森の奥に消えていった。

 ビルを見送った『奥様』は、アラン達を伴い『館』へと引き上げた。

 
 翌日から、アラン達は集落の住人として迎えられた。 昼は集落や館の仕事を手伝い、『宴』の開かれる夜はそれに参加することになった。 ルウと

ダニーは成人していないので、集落の他の子たちと『戯れる』毎日だった。 そんなある晩のことだった。

 
 ”ルウ、ダニー。 いる?”

 いつものように子供たちと『戯れ』ていたルウとダニーの処に、メイドのクララが二人を呼びに来た。

 ”なあに……”

 物憂げな様子でダニーが応じた。 『宴』の間は半分夢を見ているような感覚で、他の子も同じような反応を示す。

 ”『奥様』がお呼びよ。 貴方たちも大人の仲間入りをするの”

 ”大人の……”

 ”仲間入り?”

 台詞を二人で分け合ってから、ルウとダニーは下着を身に着けると、クララの後をついて大広間に入った。

 ”わぁ……”

 広間では、集落の男女が裸で交わっていた。 初めて見る男女の交わりに、ルウとダニーはショックを受け、広間の入り口で硬直してしまった。

 ”くすくす……”

 ”見て、可愛らしいわね……”

 『奥様』の周りに寝そべっているメイド達が、二人を見て忍び笑いを漏らす。

 ”貴方たち、からかうものではありませんよ。 二人とも、こちらにいらっしゃい”

 『奥様』はメイド達をたしなめると、ルウとダニーを自分の元に招き寄せた。

 ”……”

 二人とも、裸の『奥様』を見るのは初めてで、『奥様』の肢体に視線が釘付けだった。 そんな様子を見て、メイド達がまたくすくすと笑う。

 ”ダニー。 貴方から、大人にしてあげましょう……さぁ、おいでなさい”

 『奥様』がベッドの上から誘う。 ダニーは気後れした様子でしばらくもじもじしていたが、意を決して『奥様』のベッドの脇まで来た。

 ”可愛いわよ、ダニー”

 そう言って『奥様』はダニーの頭を自分の胸に抱え込んだ。

 ”わぁ……”

 マシュマロの様に柔らかい乳房の間に、ダニーの頭が沈み込み、女性の肌の香りがダニーの鼻孔を満たした。

 ”……”

 脱力し『奥様』に寄りかかるダニーを、『奥様』優しく抱きしめた。

 ”ダニー。 大人の女性は初めて?”

 ”うん……あ、いえ。 はい”

 肯定と否定が混じった返答に、『奥様』が微笑む。

 ”初めてなのね? じゃぁ、1から始めましょう”

 『奥様』はそう言うと、ダニーの頬に手を添えて自分の顔に引き寄せ、唇を重ねる。

 ”……”

 真っ赤になったダニーの唇を『奥様』の舌がなぞり、彼の口の中へと侵入する。

 ”んー!”

 ダニーは驚いたが、『奥様』は構わず舌を絡め、ダニの口腔を舐めまわす。 想像を超えた『大人の口づけ』に、ダニーは唖然とし、されるがままになっている。

 ”あら? 驚いて縮んだのかしら?”

 『奥様』の手が、ダニーの股間を弄る。 『戯れ』で女の子たちに触られたり撫でられたりしされていたのとは比較にならない、『奥様』の指の動きだった。 

縮み上がった股間を揉み上げ、力を失っているイチモツに絡みつく指の動きに、ダニーのモノが固くしこり、男のモノへと変貌を遂げていく。

 ”お、奥様!?”

 ”ふふ……やっと反応してきた……”

 『奥様』の言う通り、ダニーのモノはかたく張り詰め、ヒクヒクと脈打つ。 しかし、それが意味することが判っていないダニーは、『奥様』の指に翻弄される

だけだった。

 ”これをどうすればいいか、判らないのね?”

 ”あの、その、すみません”

 謝るダニーを『奥様』はもう一度胸に抱きしめた。 柔らかい乳房につつまれ、心が安らいで脱力してしまうダニーだった。

 ”ダニー。 わたしのオッパイを吸ってごらんなさい”

 ”ぼ、ボクは赤ちゃんじゃ……”

 ”吸いたくないの? ほら……”

 『奥様』は、ダニーに自分の乳を見せつけた。 真っ白い乳房の上で薄紅色の乳首がダニーを誘う。

 ”あ……”

 ダニーは乳首に吸い寄せられるように、顔を乳房に埋め、乳首を咥えて吸う。

 チュウ……

 口の中に、薄甘い暖かな乳が溢れ、思わずそれを飲み下す。

 コクン……

 喉が震え、お腹の中から暖かなものが体の中に染み込む。 体がふわりと暖かくなり、とても気分が良くなる。

 コクン……コクン……

 ダニーは赤ん坊の様に『奥様』の乳を吸い続ける。 頭がぼうっとして、自分が何をしているのか判らなくなってきた。

 ”ダニー……”

 顔を上げると『奥様』の唇が目に入った。 思わずその唇の自分の唇を重ねる。 再び侵入してくる『奥様』の舌。 ダニーはそれに自分の舌を絡めた。 

二人の舌が絡み合い、口の中で濡れた音が響き渡る。

 ”ん……”

 『奥様』はダニーの背に手を回し、その体を抱きしめた。 ダニーの胸が、柔らかい乳房に密着する。

 ”ひゃぁ……”

 柔らかな乳房が、ダニの胸にくっついてしまうようだ。 ダニーは思わず胸をゆすり、『奥様』の乳房の感触を堪能した。

 ”ふふ……男の子ねぇ……”

 『奥様』の両足がダニーの腰に絡みつき、腰を引き寄せた。 固くなったイチモツが、熱く濡れた溝の上をすべる。

 ”ひゃっ?”

 熱く濡れた感触は、未知の感覚を呼び覚ます。 混乱するダニーに『奥様』が囁く。

 ”どう?”

 ”へ、変な感じですぅ”

 ”ふふ……変?、嫌?”

 ダニーは返答に詰まり、おずおずと答える。

 ”い、嫌じゃないです……”

 ”よかった……”

 『奥様』はそう言うと、腰を強く擦り付けてきた。 未知の感覚が鮮明になり、ダニーが声を上げる。

 ”ひゃぁぁ……”

 ”くすくす……”

 『奥様』は慌てるダニーの様子に、声をあげて笑った。
 
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