魔女の誘い

第一章(4)


 ビルは森との境にある小屋の前にババ車を止めた。

 「ここで野宿するぞ」 ビルが憮然とした顔で言った。

 「ああ」「そうしよう」

 アランとディックが同意し、ダニーとルウも黙ってうなずく。 一日中、森と集落の間を往復し続け、全員疲れ切っていた。 火をおこして食事を作ると、

一行は車座になって夕食を取った。

 「ビル、明日はどうする?」 ディックが尋ねた。

 「やみくもに森の中を進んでも無駄みたいだ。 明日は集落で話を聞いてみようか」 ビルが言った。

 「……集落の連中は『奥様』の手先じゃないのか?」 アランが首をかしげる。

 「全員がそうとは限らん。 仮にそうだとしても、抜け出すための手掛かりでも得られるかもしれない」

 そう言って、ビルは大きなあくびをした。

 「疲れちまった……早く休むとしよう」

 「そうだな……」

 食事を終えた一行は、後片付けをすませると、辺りに天幕を敷いて横になった。

 程なく辺りに静寂が訪れる。


 …………

 …………

 ……

 ビルは目を開けた。 辺りが白い。 どうやら霧が出ているらしい。

 ”……”

 体を起こす。 寝入りばなだったためか、起きているのに夢の中いるような妙な感じだ。

 サワサワサワ……

 集落の方から物音が聞こえる。

 ”おい、ビル……”

 声がした。 そちらを見ると他の全員が目を覚まし、こちらを見ていた。

 ”いくか……”

 ”……ああ”

 応えてビルは立ち上がった。

 
 集落まで来ると、何人かの人の姿が見えた。 皆、館の方に向かっている。

 ”……”

 ビル達もその後に続く。 館まで来ると、扉が開いており、皆が中に入っていく。

 ”……”

 ビル達も後に続いて中に入った。 入ってすぐの場所はホールになっており、皆はその奥へ行ったようだった。

 ”……”

 奥へ進むと、突き当りの扉が開いており、中から密やかな喘ぎ声が聞こえる。

 ”……ん”

 ビルは微かな違和感を覚えた。 しかし、足を止めることなく、奥の扉の中へと入っていった。

 
 ”あぁ……”

 ”おぅ……”

 扉の中では、多数の男女が裸となり絡み合っていた。 それぞれが互いを求め、密やかな喘ぎを漏らしている。

 ”……?”

 違和感が強くなり、ビルは背後を振り返った。 ディックとアラン、ダニーとルウが困惑した様子で立ちすくんでいる。

 ”なぁ……これはなんなんだろうな……”

 ディックが尋ねたが、ビルにも判らない。 夢の中をさ迷っているようで、思考がまとまらない。

 ”ようこそ”

 ”……あ?”

 声を掛けられ、ビルはそちらを見た。 館のメイドの一人が、全裸で立っていた。

 ”……これは、なんなんだ?”

 ビルは絞り出すように言った。 頭が回らず、声を出すのがおっくうだ。

 ”宴ですわ……昼は働き、夜は皆で宴を楽しむ……さ……貴方も楽しみましょう……”

 メイドがビルに手を差し出した。

 ”あぁ……”

 ビルがその手を取ると。メイドは彼に近づき、優雅な動きで彼を裸にする。 そして、彼を部屋の隅へと誘った。 そこには大きなクッションが置かれている。 

メイドはビルの手を取ったまま、クッションに身を横たえた。

 ”きてくださいまし……”

 ビルはメイドを抱きしめ、その唇を奪った。 柔らかな唇が彼を受け止める。

 ”ん……”

 互いの舌が濡れた音を立てて絡み合う。 ビルは自分のモノが固く、熱を持ってくるのを感じていた。

 ”たくましいのですね……”

 上気した声でメイドが囁き、指をビルのモノに絡めてきた。

 ”うっ……”

 ヒヤリとした女の指の感触に暴発しかけた。 かろうじて堪えたビルは、メイドを下にして、自分のモノを彼女自身に宛がった。 熱い蜜が、彼を誘っている。

 ”いくよ……”

 ”きて……”

 ビルは自分の腰を彼女の腰に打ち付けた。 熱いモノが滑る肉の沼に沈み込む。

 ”かっ!!……”

 ”ああっ……”

 一瞬動きを止めたビルは、彼女を求めて腰を動かした。 熱くうねる襞がモノに絡みつき、彼を官能の渦の中へと引き込む。

 ”は……”

 暴発しそうなモノをなだめる様に、メイドの中がうねる。 肉の襞の動きにモノが翻弄され、メイドの中でビクビクと震える。

 ”ああん……あん……”

 メイドの甘い声が耳朶を撃ち、男の興奮が頭を満たす。 ビルは雄そのものになった。

 ”いくぞ!”

 ”きて……”

 ドクン! ドックドックドック……

 熱い精が激しく迸り、激しい歓びにビルの体が反り返る。 そのビルの下で、メイドは身をくねらせて愉悦を訴えた。

 ”熱い……ああっ……いい……いい……”


 ”う……く……”

 ビルは呻き、顔を上げた。 彼の下で柔らかな女体が、優しく彼をくすぐる。

 ”素敵だったわ……”

 ”あ……どうも……う……”

 ビルは頭を振った。 激しく興奮したせいか、幾分頭が回るようになった。 しかし、夢の中をさ迷っているような感じは続いている。

 ”いきなりで……すまなかった”

 ”うふ……私が誘ったのよ……”

 そう言って笑うメイドのの上からビルは体を起こし、辺りを見回した。 広い部屋の中に、アランとディックの姿もある。 がダニーとルウは見当たらない。

 ”ダニーとルウがいない……” ビルは呟いた。

 ”まだ若い子は、別の部屋で戯れているわ。 子供同士でじゃれ合うか、お姉さんが手ほどきしていると思うわ……”

 メイドがくすくすと笑った。 ビルがその言葉に反応しかけた時、静かな声が部屋に響いた。

 ”オイグル、こちらへ”

 ビルがそちらを見る。 部屋の中央にベッドが置かれており、そこに全裸の『奥様』が腰かけていた。

 ”え?”

 流石にビルが驚いた。 身分ある『奥様』が下々の者に裸体をさらしていたからだ。 が、この部屋にいる他の者たちは、気にかけている様子はない。 

その中から、一人の男が立ち上がった。 がっしりした体つきで、そろそろ『若い』という言葉が使われなくなってくるような年齢の男だった。 彼は、よく日

焼けした顔に、陶然とした笑みを浮かべて『奥様』の元に歩み寄っていく。

 ”彼は……『奥様』の愛人なのか?”

 ”あら……ある意味、この集落の人は、みな『奥様』の愛人よ……”

 メイドがからかうように言い、ビルは目をむいた。

 ”なに?”

 ”さぁ、ご覧なさいな……『奥様』とオイグルを……とても凄いから……”

 ビルがそちらに目をやると、『奥様』がオイグル自身を摩っているのが見えた。

 ”ああ……奥様……ああぁ……”

 オイグルのモノが固く、そして長く反り返っていく。 あり得ないほどの長さに。

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