星から来たオッパイ

PartC (4)


 この集落には、外部からの訪問者を感知するためのシステムが整っていた。 隠しカメラと生体熱の感知装置が、集落をぐるりと取り囲み、たとえ夜でも

それらに検知されずに接近するのは不可能だった。 そしてカメラが捉えた画像は、集会所の地下に隠された警備室に送られていた。 いま警備室には、

幹部の一人と監視装置の担当が詰めており、カメラからの画像を凝視していた。 そこに別の幹部がやってきた。

 「日が暮れたな。 変わりはないか?」 入って来た幹部が尋ねた。

 「特になにも。 陸側のカメラにキツネが映っただけですな」 監視担当が答えた。

 「こんな時じゃなけりゃ、小遣い稼ぎができたのにな……おい」

 浜辺を映すカメラの画像を見ていた幹部が、暗視カメラの画像を指さした。

 「きたぞ」

 白黒の画面の中に、白っぽい人影が写ってた。 それも一つや二つではない。

 「1、2、3……10人はいるぞ!」

 声を上げた幹部はマイクを取り上げ、集会所内の館内放送をONにする。

 「浜辺から人らしいのが上がってくるぞ! 多分、昼間の奴らだ!」

 集会所の中が騒がしくなる。

 
 集会所の中にいた住人たちは、幹部の指揮に従い、入り口と窓際に銃を持って集合した。 外は暗いが、真っ暗と言うほどではなく、目を凝らせば浜辺

から近づいてくる人影も見える。

 「畜生!」

 窓際を固めていた一人が発砲した。 近づいてくる人影の一人に命中し、人影がよろめいた。 しかしダメージを受けた様子を見せず、歩みを止めない。

 「馬鹿が! かって撃ちやがって!」 幹部が発砲した男を叱り飛ばした。

 「しかしよぉ」

 「ここにいることを教えちまったじゃねえか!」

 幹部の言った通りだった。 海から現れた人影は、集会所目指して真っすぐ歩いてくる。 近づいてくるにつれ、それが昼間現れた裸の女達であることが

見て取れた。

 「なんなんだ! あいつらは!」

 「知るか!」

 正体の判らない相手、しかも自分たちの武器が通じない相手となれば、そこには恐怖しか生まれない。 窓際を固めていた男たちは、背後にいる幹部を

振り返った。

 「ちっ……おい、頭を狙え」

 「あ、頭を?」

 「体は平気でも、顔面に鉄砲玉ぶちこまれればこたえるだろうぜ」

 言われた男は、近づいてくる女の頭に狙いをつけた。 不気味なくらい表情のない顔がこちらを向いている。

 「……悪く思うなよ」

 わずかに逡巡したあと、男は女の顔面に狙いをつけ、撃った。 嫌な音がして、女は仰向けに倒れた。

 「…や、やった!」

 「顔が急所か! よーし……いや、待て」

 倒れたはずの女がむくりと起き上がり、こちらを見た。

 「ひっ!」

 集会所の中で、男たちが悲鳴に近い声を上げた。 銃弾を受けた女の顔はひどく損傷していた。 普通の人間ならば、立ち上がることなどできないだろう。 

それが、この女達は平然としている。

 「みろ……傷が消えていく……」

 顔に銃弾を受けたはずの女、その顔から傷が消えていく。 窓際を固めている男たちは、呆然と立ち尽くす。

 「撃て」 後ろから幹部が言った。

 「見えねぇのか! 撃っても無駄だぜ!」

 「撃ち続けろ! 近寄らせるな!」

 幹部の命令に従い、男たちは狂ったように銃を撃つ。 当たった女はよろめき、倒れることもあるが、すぐに起き上がる。

 「畜生!」

 「こんな銃じゃだめだ! もっと威力のあるのはねぇのか!」

 半泣きで喚く男たち。 それでも銃を撃っている間だけは、なんとか踏みとどまることが出来た。 そこに他の男たちも駆けつけ、総力戦になった。

 
 「ちっ、弾切れか! 弾よこせ!」

 「もうねぇ!」「こっちもだ!」

 気がつけば、全員の銃が弾切れになっていた。 床には薬きょうが散乱し、火薬の匂いでむせ返りそうだ。

 「どうしやす!……あ」

 振り向くと後ろ泣いたはずの幹部達の姿がない。 残っているのは下っ端ばかりだ。

 「逃げやがった……」

 「うぁーっ!!」

 窓際で悲鳴が上がった。 振り向けば窓から女達が入ろうとし、窓際にいた一人が捕まっている。 その場にいたものたちは、悲鳴を上げて逃げ始めた。

 
 「た、助けてくれぇ」

 捕まった男を、女達は無表情に見つめながら、手足を押さえつけ、服をむしり取った。 その様子は、釣った魚をさばいているかのようであった。

 「な、何をする!?」

 喚く男の正面に立った女が、自分の乳房を持ち上げた。 その乳首が男の方を向いた次の瞬間、乳首から透明な液体が迸り、服を剥かれた男の体を

濡らした。

 「な、なんだ……う……」

 男が静かになり、手足から力が抜けた。

 (ち、力が入らねぇ……)

 動かなくなった男を、女達は床に横たえた。

 「なにを……する……」

 恐怖する男の足元に、一人の女が蹲くまり、彼の男性自身を弄った。

 「ふぐっ!?」

 力を失ったはずの体が、海老の様に跳ねた。 一拍置いて、股間から駆け上がってきた刺激が脳天を直撃する。

 「ぐぐっ!?……」

 男は、それが股間を触られた感触であることに気がついた。

 「て、てめえら……何を……した」

 鉛のように重い舌を動かし、声を絞り出す。 女達はそんな彼を珍しいモノを見るかのように眺めている。 そのうち、二人が会話を始めた。

 ”効きすぎ?”

 ”もう少し試してみましょう……”

 そう言った女が、男のモノに指先を這わせた。

 ビリリリリッ!

 「げぇぇぇ!」

 電撃のような刺激が股間に走った。 強すぎる刺激に、体がけいれんする。

 ”ふむ? どう、感じる?……”

 女の言葉が自分に向けられていると悟り、男は声を絞りだす。

 「か、感じるか? だと? ば、馬鹿にして……」

 ”感じているようね”

 女は、今度は息をソコに吐きかけた。

 ビリリッ

 三度走る、電気のような刺激。 男は白目を剥き、一瞬悶絶する。

 ”やはり効きすぎのようね……”

 ”すこし、中和しましょう”

 そう言った女が、自分の乳房を揉むようにし、乳首を男に向けた。 さっきの女同様、透明な液体が乳首から迸って男の体を濡らす。

 「ぐがっ……ぐっ?」

 体に暖かいものがしみていくような感じがあり、力が少し戻る。

 「な、なんだこれは……何をする気だ」

 尋ねた男に、意外にも女が答えた。

 ”今のは中和剤。 つきに貴女に浴びせた感覚増強剤の効果を弱めるものよ”

 「感覚増強剤……なんだ、それは?」

 ”フフ……”

 女が笑った、声だけで。 表情は仮面の様に変わらない。

 ”それは、肌が敏感になる『ヤク』よ……”

 「肌が敏感になる?」

 ”ええ……”

 そう言って女は、男のふと股をつつーっと撫で上げた。

 「ひぃ!?」

 またも強い刺激、しかし今度は先ほどまでの強烈さはなかった。 それでも、撫でられただけの肌に、爪の先で擦りあげられたような感触が残った。

 ”どう、感じる? 痛い?”

 「あ、ああ……少し痛いかも……」

 ”なら……このぐらいがよさそうね”

 女は顔を、男の股間に近づけ、舌先でチロリと男性自身を舐めた。

 「ひぎぃ!?」

 いつの間にか屹立していたソレが、強い刺激にビクビクと震えた。

 ”フフッ……フフフフフ……”

 女の笑い声に、男は罠にかかった獲物の様に恐怖した。

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