乳の方程式

Part19 ショウ・タイム


バイオセルの船首側接合部まで退避した船長達は、食堂側からやってきたオーナンスキー達と合流した。

「オーナンスキー!何をしていた!」 

「すみません、船尾側接合部の全てのハッチが突然閉じて、さっきようやく出られた所です」

「なに!」

「通信もできなくて」

「…船長、奴らが…」 

チャン副長の言葉に、他の乗組員が顔色をなくした。 

『ジャム』達がハッチや通信を自由にできると言うことは、この船を乗っ取られたも同然だ。

「チャン、そこのコンソールから地球に連絡を取れるかやってみろ」

「アイサー…」

蒼白な顔でチャンがコンソールを操作する。 しかし…

”番号をお間違いじゃありませんか…うふ・・” スクリーンに映ったのは、赤い眼のマドゥーラのバストショットだった。

「マドゥーラ…医務長。貴方が通信を?」 チャンの肩越しにオットーが尋ねる。

”ティンダとランセンにお願いしたのよ” 楽しそうに言うのはマドゥーラなのか、それとも『ジャム』だろうか。

「ランセンが!」 絶句するチャン。

「つまり…我々は医療と技術スタッフの要を失っただけでなく、それがそっくり『ジャム』の手駒になったというのか…」

船長の言葉には全員の顔から血の気が引いた。

”ぁぁぁ…”

「…今の声は…ジョン!?…おい!ジョンは?」

「…い、いません」 チャンが乗組員を確認しながら応えた。

「マドゥーラ!ジョンは…」

船長の言葉が途切れた、スクリーンに映るジョンの姿を見た途端に。


「あぅ…あぅ…」

ジョンの腰から下は、膨れ上がったティッツマッシュルームの中にあり、さらにじわじわと呑み込まれつつあった。

はぅ…はぁ…

だらしなく広がった乳首はジョンの腰を一周し、柔らかな感触が腰から腹を愛撫している。

ヒタヒタとした感触は、ゆっくりと、しかし着実に腹を、背中を、上ってくる。

そしてティッツマッシュルームの中では…

『へぇ…硬いんだ』『ねぇ…中もピクピクしてる』『この皺皺…撫でたら気持ちいいよ』

複数の『ジャム』がジョンの下半身を満遍なく取り巻き、悪戯していた。

ジョンの頭の中に『ジャム』の言葉が響く度に、彼の心に歓喜がうずまき、『ジャム』に触られると、彼の体は妖しい喜びで震える。

「ああ…溶けてしまいそうだ…」

堪らず腰を揺するジョン。

それにあわせてティッツマッシュルームが小刻みに震え、そして大きくなる。 大きくなりながらジョンを呑み込んで行く…


「ジョン!?」 船長が、コンソールに顔を突っ込まんばかりの勢いで飛んで来た。

「おい、しっかりしろ!正気に戻れ!」


(正気…?) ジョンはぼんやり考えた。

既に首から下はティッツマッシュルームの中。

彼の頭は『乳首』から生えているという、間抜けでグロテスクな格好だった。

どろんと曇った目が、バイオセル内の通信端末とそこに映る船長の顔を捉えた。

(…ああ…) 頭の中に、僅かに理性の閃きが蘇った…ほんの一瞬。

『ジョン…おいでよ』『これから…気持ちいいことしよう…』 

全身を包むネットリした感触が囁く。

言葉が響く…というよりジョンの体にしみこみ、じんわりと溢れ、ジョンの頭の中に染みとおる。

「う…へ…で…」

『ジャム』の言葉は快感に変わり、頭の中が痺れ…最後の理性が溶けて流れていく。

ジョンの体から力が抜け、フニフニと動く乳首の中に頭が消えていく。

ズブリ…

赤い狂気、快楽の溶解液の中にジョンは沈んだ。

『ジャム』達が快感という名の牙で、彼の理性を噛み砕き。 魂の奥底をネットリと嘗め回す。

快楽のジャムに漬け込まれ、ジョンの体と心がジャムに染まっていく。

『トモダチ…』『新しいトモダチ…』


「く、食われた?」

ジョンを呑み込んだティッツマッシュルームがふるふると震えている。

”人聞きの悪い…あの中で楽しい事をしているだけよ”

マドゥーラの声がかぶった。

「馬鹿なことを!」 言い返すチャン。

”疑り深い人たち…うふふ…ああ、あの子の準備ができたようね…丁度いいわ…見せてあげましょう”

画像が切り替わり、別のティッツマッシュルームが映る。

「…?」

ズルリ…

ピンク色の『乳首』から白い腕が突き出た。 さらにもう一本…そして頭が…

「ルウ!?」


ティッツマッシュルームから出てきたのはルウだった。 

彼は、蛹から蝶が羽化するように、『乳房』から瑞々しい裸身を抜き出す。


「無事だったのか?」

「いえ。船長…何か変です…背が高くなっているような」

「そう言えば…成長している…奴らルウに何をしたんだ…」


『乳房』から羽化したルウは。ぼーっとした様子で漂っている。

と、ルウの出てきたティッツマッシュルームの『乳首』の先端に赤いものが滲み出てきた。


「『ジャム』だ…」


『ジャム』達は、互いに絡み合いながら、一筋の流れとなってルウを目指す。

そして、宙を漂うルウに先端が触れた…と思ったら、それが手の形に変わった。


「群体…いや合体した!?」


ティッツマッシュルームから出てきた『ジャム』達は、『乳首』との間に一筋の赤い流れを残したまま、人間サイズの『ジャム』を形作くると、

ルウの肩を両手で掴み、その赤い胸にルウの頭を抱きかかえる。

「…あ…」

ルウが嬉しそうな表情になる。

「ルウ…」 『ジャム』は囁くと赤い手をルウの股間に伸ばす。

「…」 軽く目を閉じ、赤い指が『男』に絡みつく感触を堪能するルウ。


『ジャム』は一つ頷くと、ルウから体を離し、両手を広げた。

「おいで…ルウ」

「はい…」

ルウは躊躇う様子もなく、『ジャム』に体を重ね、硬くなったものを赤いスリットに滑らせた。

「あ…あぁぁ…」

『ジャム』の陰唇は糸を引いて口を開け、ルウのそれを迎え入れた。

複雑に動く粘体で構成された女陰が、ルウの『男』に粘りついた。

赤い半透明の女体の中で、ルウの『男』が翻弄されているのがよく見える。

あ…は… 陶然とした表情で、ルウは『ジャム』に身を寄せた。

赤い女体がルウのしなやかな体に絡みつく。


「うわ…」「すげ…」「ルウになんてことを…」

【<<】【>>】


【乳の方程式:目次】

【小説の部屋:トップ】