第二十七話 チェンジ

12.変えられて


 アマリアは彼を仰向けに横たえ、69の体勢を取った。

 フフ……

 固く反り返ったヒロシのモノをアマリアは乳房で包み込み、微かに覗く先端を舌先で舐めた。

 あぁ……

 ヒロシの口から喘ぎが漏れる。

 「遠慮しなくていいのよ。 好きにいって」

 アマリアの言葉に導かれるように、甘い痺れがモノに満ちてくる。 いつもなら、その感覚がモノを支配し、止められない絶頂が白い情熱の奔流となって

迸る……のだが。

 「あっ……入ってくる……」

 モノを満たした甘い痺れが、向きを変えて体の中に入ってくる。

 ズン

 あっ……

 下腹部に重い衝撃、わずかに遅れて背筋を駆け上がる甘い快感。

 「あっ……ああっ……」

 背筋が反り、つま先がベッドに食い込む。

 「ふふ……もっと良くなるわよ……ほら、ほら……」

 アマリアがモノを咥え、舌先で先端を押し込んでいる。 舌が動く度に、重くドロリとした衝撃が、ヒロシの体を駆け抜ける。

 「こ、こんなの……あ、ああっ……」

 続けざまの衝撃に、頭の中が真っ白になる。 体が熱い快感に支配され、自由にならない。

 「感じやすいのね……きっと、素敵な女に変われるわ……」

 ヒロシが目を開けると、アマリアの秘所が視界に入ってきた。 ヒロシはアマリアの腰を抱え、その秘所に顔を埋めた。

 「あ……」

 アマリアが呻いて腰を揺らす。 ヒロシは彼女の神秘を咥え、強く吸った。

 「おかえし? なら……」

 モノに強い圧力がかかった。 アマリアがモノを咥えて吸ったらしい。

 「!」

 意識が飛びかけるほどの強い快感がヒロシを襲い、口から遠慮のない喘ぎが流れ出す。

 「くあっ……ひああっ……」

 ズン……ズズン……

 重く甘い衝撃が中に入り、ヒロシの奥を叩いている。 体を満たす快感に、意識を保つことが出来ない。

 あー……!!

 一声叫び、ヒロシは失神した。

 
 ……

 ………

 …………

 ヒタ……

 額に冷たい手が当てられる感触。 目を開けるとアマリアが上から彼を見ていた。

 「どう?」

 「どうって……」

 自分の声がいつもと違う。 体を起こして自分の体を見てみる。

 「……」

 ほっそりした体のあちこちが丸くなり、胸が目立つほどに膨らんでいる。 股間に目をやると、黒々とした茂みの先に、あるべきものが見当たらない。 

手で触ってみると、濡れた花弁が息づいていた。

 ヒクッ

 未経験の感覚に体が震える。

 「敏感ね」

 「え? あ、ああ……これが女の体なのか……」

 「ええ」

 アマリアは背後からヒロシを抱きしめ、首筋を舐める。 ゾクリとした感覚に体が震える。

 「いやただった?」

 「そうじゃないけど……なんか変な感じで……」

 視線を上げると、部屋を取り巻く鏡が目に入る。 ベッドの上にスレンダーな女が座り、その背後にアマリアが映っている。

 「……」

 茫然と鏡を見つめるヒロシにアマリアがキスをする。

 「そ、もっと良くしてあげる……」

 ヒロシはアマリアに抱かれ、ベッドに横たわる。

 
 あ……

 はぅ……

 ああっ……

 アマリアの舌、指、がヒロシの女を愛する。 ヒロシの口からは、ひっきりなしに喘ぎが漏れ、しなやかな女体がベッドの上で跳ね踊る。

 (気持ち……いい……)

 スレンダーだった体は、はっきりとした女の体に変わり、女の快感に素直に反応している。

 (たまんない……)

 頭の中に快楽の蜜が満ち、ヒロシを溺れさせる。 何度目かの絶頂の喘ぎを漏らした後、ヒロシはベッドに崩れ落ちた。 心地よい暗黒に沈んでいく意識の

片隅で、アマリアの声を意識した。

 ”貴方は……”

 ”女……”

 ヒロシは静かに目を閉じる。

 
 店の看板の電気が消える。 そこには最初から何もなかったかのように、闇だけが広がっていた。

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 「……」

 女は、手にしたブラジャーをを胸元にしまった。

 「それで? その男はどうなったんだ」

 「それっきり。 ヒロシって男はいなくなったの」

 滝と志戸は顔を見合わせ、女に向き直る。

 「『世にも奇妙な物語』だな。 『ヒロシ』が君の昔の名か?」

 女はクスリと笑う。

 「私はそんな名前を名乗ったことはないわ。 私は……ルウ」

 志戸が首を傾げた。 女の話には出てこなかった名だ。

 「ひょっとして……君は、店に二人を案内した男の子……」

 再び笑う女、その顔に少年の顔が2重写しのように重なって見えた。 思わず後ずさる滝と志戸。

 「……貴方達も、『女』を体験してみる?」

 「いや」「断る」 即答する滝と志戸。

 「あら? 興味ないんだ」

 「興味はあるさ。 でも、俺は男に生まれたんだ。 他のモノになるつもりはない」

 「同じく」

 きっぱりとした物言いに、ルウは肩をすくめて見せた。

 「さよなら」

 ルウがそう言うと、ロウソクが消えた。

 ……

 ………

 …………

 ポッとピンク色の灯りがついた。

 「ありゃ?」

 灯りに照らし出されたのは、ピンク色のボディペインティングをした少女だった。 小悪魔のコスプレをしている。

 「なんだ、君か」

 機材を操作しているエミの処に時々やって来ていた少女だった。

 「確か……」

 「ミスティ」

 少女は名乗り、二人をじっと見ている。

 「ぶれないんだね、貴方達は」

 「ん? どういう意味だ」

 「貴方達なら……」

 ミスティは真剣な表情で二人を見ている。

 「次は私の話を聞いてもらえる?」

 「そりゃ……」

 「仕事だから」

 二人が答えると、ミスティは微かに頷き、その姿が闇に消えた。

<第二十七話 チェンジ 終>

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