ガールズ イン ア ボトル

Part6:ウエット・インベーダ & ドライ・ガール


 「そうそう、慌ててはいかん。 舐めるようにして少しずつ水分をとりたまえ」

 水を飲もうとしたミイラを止めたランデル教授は、コップを探して来ると、それに水を貯めてミイラに飲ませていた。

 ピチャピチャピチャ……

 皺のよった口から舌を伸ばし、黙々とミイラは水を飲んでいる。


 「ふむ……」 ランデル教授は腕を組み、改めて『ミイラ』を観察した。

 (こうしてみると、多少干からびておるが、『ミイラ』と言うより普通の老婦人のようだが…… 最初見たときは暗かったからかな?)

 『ミイラ』は視線を感じたのか、水を飲む手を休めランデル教授を見た。 その瞳は濡れて光り、ランデル教授を映していた。

 「……あー、わしは助けが呼べんか調べてくる」

 ランデル教授は照れたように言うと、『ミイラ』を残して外に出た。


 ’あ、あの……’ ベッドの上であとずさるコットン助手に、美女がにじり寄る。

 ”どうしたの……さっきのキスは情熱的だったわよ。 初めてじゃないんでしょう?”

 妖艶に微笑む美女が迫ってくる。

 ’さっきまでは話もできなかったのに…… それにキスの時に感じたあの奇妙な感覚は’

 コットン助手は混乱していた。

 先ほど彼は、酌をしてくれてていた美女と濃厚な口付けを交わしたのだが、その時、自分が自分でなくなっていくような不思議な感覚に襲われたのだ。

 慌てて美女を引き剥がすと、彼女は言葉を話せるようになっていたのだ。

 ”慣れていないからあなたには情報が伝わっていないのかも……貴方達の言葉で言えば私は『宇宙人』。 母なる大地『クー』よりきました”

 ’う、宇宙人?’ コットン助手は瞬きをした。 ’ま、まさか’

 ”事実よ……” 

 美女はコットンの胸に唇を這わせた。

 うっ…… コットンが呻いた。 熱い舌の動きと共に、何かが伝わってくる。 同時に彼の頭の中に、何かが触れるような感覚があった。

 ”ああ、貴方はこの星の『学者』なのですね”

 ’そうか、こうやって情報を読み取って……いや、情報交換するのか’

 ”ええ”

 美女はにっこりと微笑むと、豊かなバストに手を宛がい、乳首をまさぐる。

 ”あ……ああああ……” 甘い喘ぎ声をあげ、乳首から透明な油のような液体を噴出した。 生暖かい液体がコットン助手の胸をベットリと濡らす。

 目を見張ったコットンの胸に、美女が自分の乳房を摺り寄せてきた。 

 ’ま、また……’

 コットン助手の体に、彼女の『言葉』が直に伝わってくる。

 ’情報の交換には……’

 ”粘膜を接触させる必要がある……”

 ’だからこうして……’

 ”全身を粘膜化して……”

 二人の瞳が互いを映す。

 ’交わるのか……’

 ”交わるのよ……”


 ’な、なんと……宇宙人だと’ 吉貝教授は、体を重ねている美女から伝えられた『情報』に驚き、かつ喜んだ。 ’大発見だ……まてよ’

 吉貝教授の頭の中で、これまでの出来事と美女からの情報を元に一つの推測が浮かび上がった。

 ’……『知識』を直接頭に伝えられるならば……『感覚』を操作することもできるのでは?’

 ”……” 美女が目を開き、吉貝教授の顔をじっと見ている。

 ’ここにあるはずのない日本酒がでてきた……あの時点でわしはこの女の『感覚操作』に……うっ!?’

 いつの間にか、美女と吉貝教授は69の体勢になっていた。 美女が彼の男根を咥え、舐め上げている。

 ’ぐぅぅぅぅぅ!?’

 想像を越えた快感で男根が蕩け、思考力を奪う。

 ”うふふふ……こういう気持ちいい『感覚操作』は如何?”

 ’うう……うううう……’

 吉貝教授は、強烈な快感攻撃に白目を剥いて呻く。 もっとも、彼の推論が正しければ、この光景すら欺瞞と言うことになるのだが。

 ”あまり強烈な『感覚』は、脳が駄目になることもあるので、ほどほどにしろと創造主に言われましたが……貴方は少々気が回りすぎるようですね” 

 ’な、何をする……’

 ”安心なさい……貴方の心の『防壁』を壊して、心を書き換えるだけですから”

 ’何だと……あああ……’

 一際強烈な快感が背筋を走り抜け、吉貝教授は虚脱状態になった。

 ゾロリ……

 背後からもう一人の美女が、いや、次々に美女が現れ、彼に寄り添い、絡み、その体を舐める。 そして耳元で甘くささやく。

 ”ねぇ、ここがいいの?” ”ここ?”

 ’いい……いい……’

 呟く教授に、別のささやきが聞こえてきた。

 ”忘れて……”

 ”忘れるの……”

 ”全部忘れて……”

 教授の瞳がぼんやりと宙をさ迷う。 女達のささやきに逆らえなくなった彼の心は、忠実に自分自身を消去していく。

 宇宙人の女は、快楽と言う武器を使い、教授の心を『侵略』していく。


 「うーむ、誰もおらんかった……おい、君……おっ!?」

 プレハブに戻ってきたランデルハウス教授が目を丸くする。 黒い目に褐色の皮膚をした、彫り深い美女がコップの水を飲んでいたのだ。

 美女はランデルハウス教授を見ると嬉しそうに笑い、彼に抱きついて口付けを求めてきた。

 突然の展開にランデルハウス教授は目を白黒させる。

 「『ミイラ』を水で戻すと3分間で『美女』になります……そんなばかなぁ!」

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