ミルク

3.背徳


…すぅ…すぅ…
カルーアの規則正しい寝息がゆるやかに漂う…と、空気が身じろぎをした。
…ふ…は…
カルーアの寝息に熱く…甘い何かが絡み付いていく…徐々に…
…あふ…は…あ?…あ…

モゾリ…モゾ…
染みだらけの毛布の下で、精力溢れる女体が緩やかに蠢く…
ズル…ズ…
人の形に盛り上がる毛布…それに纏いつくように新たな膨らみが胸と…カルーアの女を狙う…
ズッ…チュクッ…ビクッ…
毛布の下でカルーアが跳ねた。
「…はっ…ふっ…」熱く濡れた吐息が漏れる。 カルーアは目を閉じたままゆっくりと悶える…
不思議と自分を慰めている酔うには見えない。 まるで二匹の蛇に巻きつかれ、欲情を刷り込まれていくような動き…
「…うっ…う?…あ…」
カルーアの動きが段々激しくなる…腰を持ち上げ、弓なりで悶える女体の上で、毛布が滑り落ちていく…
ズッ…ズズッ…フワサッ…
毛布がベッドから滑り落ち、ベッドの上で淫らに踊る女の姿が露になる。
逞しい体が反り返り、内から溢れる快楽に耐える…そして、その両手は…胸と秘所を激しく弄り、別の生き物であるかのようにその体を悦楽の高みに押し上げつつ、魂を深い快楽の海に沈めようとしていた。
ビクッ…ビクン…ビクン…ピクピクピクッ… 絶頂に達した筋肉質の体が激しく震え、快楽の深さを動きで示した。 同時に…
は…あ…ああ…ぁ… 押し殺した様な声を上げ、カルーアは動きを止め、ベッドに体を預ける。
ヒック…トク…トロッ…トロリ…
激しい快感の証か、カルーアの『女』は粘っこい液体で下着を汚し、溢れたものがベッドを濡らした…

…スッ…トッ…
しばらくして、カルーアはベッドを降りて床に立った。
そして、明かりも付けずに肌着を脱ぎ部屋からでて行った。

ト…ト…キィィ…
「?」
ジョウは、足音と微かな軋みに目を覚ました。 同時に身を硬くする。
目がほとんど見えなくなったジョウにはいまや耳と鼻が頼りだ。
ト…ト…(誰だ?…裸足…盗人か?)
「ジョウ…」聞きなれた声にジョウはほっと息を吐く。
「姐さん?…脅かさないで下さい…」
ドスッ。
カルーアがベッドに座ったのがわかる。 同時に女の…それも欲情した雌の匂いがジョウの鼻腔をくすぐる。
(え?…)ジョウは焦った。
彼はこういう経験が無かったかのだ。
「あ…姐さん? あの…同情からとかだったら…ひゃっ!」
慌てるジョウにかまわず、カルーアは彼の手を取り自分の胸に導いた。
「姐さん?…あの…」
「ふ…わからないかい?」
「え?」
カルーアはジョウの手を握ったまま自分の胸をなぞらせた。
怪訝な表情のジョウ…と、彼はあるべきものが無いのに気がついた。
「姐さん!? 傷跡が!」
ジョウは、カルーアに掴まれているのと逆の手を出し、カルーアの胸をまさぐりだした。
ない。 カルーアの胸にあった筈の傷跡がない。 手で触ればはっきりわかるほどの醜い傷が…
ペタペタ、ゴソゴソ…驚愕のあまり無遠慮にカルーアの胸を撫で回すジョウ。
「うふ…すけべな男だね…」カルーアが笑いを含んだ声でジョウを揶揄する。
ジョウは慌てて手を引っ込めた。
「す、すいやせん!…しかし、どうして?」
ジョウの疑問にカルーアは手に持った壷を差し出す。
ジョウには見えないが、その匂いははっきりとわかる。
「…ミルク?…これは?…」
「あの神殿…氷の洞窟にあったやつさ…」
「そ、それを…塗った?それとも飲んだんですかい?」
「ああ…飲んだよ」
そしてカルーアは自分の思いつきを話した…楽しそうに。
「ふふ…そして…この通り…ふ…ふふ…ふふふふふふ…」
カルーアはひどく嬉しそうだ。 胸の傷跡が消えたのがよほど嬉しいのだろうとジョウは思った。
(そりゃそうだ…俺だって目が見えるようになれば…)
ジョウの鼓動が早くなる…絶望が希望に変わっていく。 ジョウにとってカルーアは今や奇跡の女神様だった。

カルーアがジョウにミルクの壷を握らせる。
「これが…」ジョウが感謝と期待を込めて言う。
「ああ…」にぃっとカルーアが笑う。
ジョウは、壷に口をつけ、一気に飲み干した。

…ジョウは壷を腹の前に抱え奇跡を待った。
と、カルーアがジョウの手から壷を取り、床に置いた。 そして、ジョウの下着に手をかけ脱がそうとする。
「え…」
「くす…よくからだに回るようにマッサージしてあげるよ…ふ…ふふ…」
そして、彼女は彼にベッドに横たわるように促す。
ジョウが言われるとおりにすると、平手でそっとジョウの腹を撫で始めた。

スッ…スス…サワサワサワサワ…
(あ…)…はぁ…はぁ…
しっとりした女の手に撫でられ、お腹が心地よい。 ポウッとした感じで、腹の中が温まってくる。
(酒をのんだみてぇだ…)
カルーアの手は円を描いて腹を撫でていた…円は段々大きくなり…そのうち右手が胸を、左手が下の方へ…
(…ああ…たまらねぇ…ああ…なんか…)
ポウッ…サワッ…サワッ…
「姐さん…なんか…いい気分になってきやした…」
カルーアの感触だけではない…何かに撫でられるような感じがへその辺りに湧き上がり…カルーアの手に導かれるように胸と…腰の辺りに広がっていく…
…サワッ…サワッ…サワワッ…サワワワッ…ヒクッ…
「うひゃぁ…そ、そこは…」
「くす…恥ずかしがる年でもないだろう…」
男のシンボルにカルーアが手をかけ、くすぐる様に撫で回す。
たちまちそれは硬くなり、愛撫に酔いしれるようにヒクヒク脈打ち出す。
「ああ…」「うふ…これぐらいでいくんじゃないよ…」
カルーアの手はジョウの腰を満遍なく愛撫し、両足をに移っていく。
しかしジョウの体には愛撫され続ける感覚が残り、それに包まれていくようだ。
「はぇ…こりゃいいゃ…あ…」

ポウッ…ボーッ…トロッ…トローッ
体の芯が暖かく気持ち良くなっていく…何処までも柔らかくなって…
「はう…」ジョウの口から言葉か消えた…ミルクの効果だろうか、たまらない心地よさだ。
体がトロトロに蕩けて…魂まで形が無くなっていきそうだ…
サワッ…サワワッ…(あへぇ…)
魂まで愛撫され始めたような気がする…とてもいい…

ビクッ…おうっ…ビククッ…
急に高ぶりが来た…股間のものに熱い圧力が生じる…
うおっ…うおっ…
カルーアの事を考え、必死で堪えようとするが、イチモツが熱く膨らんできて耐えられない。
「…かまわないよ…お出し…」
カルーアに促されると、もう我慢できなくなった。
熱い迸りがイチモツの内を駆け上がり。 
ビュ…ビュー…うおぉぉ…
熱い液体が吹き出る…信じられない勢いで。
ビュクビュク…ピュ…迸りはカルーアを汚し、直ぐに収まった。
はぁ…はぁ…ジョウは満足感に浸りつつ荒い息をつく…と…
チュパッ…チュウ…チュゥゥゥ…。
カルーアがジョウの亀頭に吸い付き、強く吸ったのだ
驚く間もなく、再び熱い迸りがこみ上げて来る。
ビュー…ビュー…ビュー…
うぐ!…うぐぅ!…あへぇ!…
カルーアに吸われるままに、ジョウは熱いミルクを放ち続けた。

カルーアは、しばらくジョウのものを吸ってから口を離した。 何か味わっているような気配がある。
「へぇ…へぇ…あ、姐さん…そりゃいくら何でも…へえ…」
ジョウガ息も絶え絶えに抗議する。 性器を口にするなど、あまりにも背徳的で変態的な行為だからだ。
まして、あれを味わうなど。
そんなジョウをカルーアが見つめている気配があった。

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