紫陽花

11.バスタブ・プレイ


「ねぇ、あなた初めてでしょう?」

イルマは楽しそうに聞ききながら、何を思ったのかバスの底で体をくねらせ始めた。

タプン…タプン…タプン…ドボン…ドボン…

湯が大きく波打ち、ヒロシの体をユラユラ揺らし、バスから溢れユニットバスの床を濡らす。


恐怖が、逆にヒロシの心を混乱から抜け出させる。

(逃げよなきゃ…)

そう思って、イルマの隙を伺う。


イルマは気づいていないのか、くすくす笑い尋ねる…

「そろそろ、気がつかない?…」

「…え?…あ?…」言われてヒロシはようやく気がつくた…湯が粘る?

手で湯の感触を確かめると…ヌルリ…とろみがついてきている…

「何…これ…ひゃああ…」

イルマが、湯…いやヌルヌルした液体をすくって、皮を被ったままのイチモツにかけ、クニクニ揉み始めた…

クニュフニュクニュ…

「ひぃ…やめて…気色悪い…」

「そう?…ほんとに?…ここは、そう言っていないけど?…」

「え?…あ…ああっ…」

イルマの手の間から、ブルンと肌色の棒が飛び出す…

ヒロシの肉棒は、イルマの手淫によって皮を剥かれ、『怒張』の名に恥じない迫力を示していく。

「あ…ああ…僕の…性器が…」

「ほら…ここは正直…」ペロリ…

ズ…ンンンンンン…

「!!?…」…

初めて外気に触れた亀頭…そのエラをイルマの舌が舐め上げたのだ…言葉に出来ない不思議な感覚が体の芯に生

まれた…そして…

「何…今の…」

「よかったでしょう…あなたのここは…」ペロッ…「ひっ…」「こうやって感じる為にあるのよ…」

「あ…」ヒロシの目が潤んだようになる…『雄』としての欲望が湧き上がる…

ボーッとなったヒロシを見て、イルマはイチモツから手を放した。


ドボッ!…「きゃっ!」

ヒロシが体を翻し、バスタブから飛び出した。

ズルッ…ボテッ…「あいたっ!」

イルマの意表を突いたタイミングは見事だったが、床に湯が広がっていた為足が滑って腹から倒れてしまった。

慌てて立ち上がろうとするが、ヌルッ…「うわっ?」…ツルッ…

味も素っ気も無いクリーム色のユニットバスの床は、一面にヌルヌルした粘液に覆われ、立つどころか這って進むこと

さえままならない。

「逃がさない…」背後でイルマの声がして…ドポッ…

「おうわぁ…」イルマが洗面器で、粘液と化した湯をすくって浴びせかけたのだ。


床どころか壁までヌルヌルして、手がかりが無い。

ヒロシは無様に床の上でのたうつ…目の前のドアにたどり着くことが出来ない。

それでもなんとかドアにたどり着き、必死でノブに手を伸ばす。

ヌルッ…「ああっ」…ヌルッヌルッヌルッ…「ま、回らない!」

粘液は生き物のように壁を伝い上り、ユニットバスの内壁を覆いつくしていた。

加えて、ヒロシの体も粘液に覆われてしまい、いくら拭っても取れない。


「ふふ…」ズヌルル…

異様な音と気配に、ヒロシは首だけで振り返る。

「いっ!?」

イルマがバスから出てくる。 それだけではない、這ってくるのだ、蛇か何かのように。

右手を伸ばした姿勢で、体全体で這いずりバスの側面を乗り越え、そのまま床を滑ってヒロシに迫る。


「く、来るな…」後ずさろうとするが、床が滑って思うように動けない。

ヌル…ヌル…足のほうから、イルマが圧し掛かろうとしている。

「や…やめて…来ないで…」

ヌルヌルした床で散々擦られた彼の男根は、剥かれたばかりとは思えない猛々しさで反り返っている。

「あは♪…す・て・き・」

イルマは体を起こし、怒張をそっと掴み腰をあてがう…

「おねがい、やめて…それはだめだよぉ…」懇願するヒロシ。

「くすっ…いやなら、さっきみたいに抵抗してみなさいよ…」

言われてジタバタもがくヒロシ。

だが滑る床、ヌラヌラしたイルマの体には効果がない。


イルマが笑う。

「さっきのはまぐれだったの?…ほら…」イルマが、亀頭を柔らかく刺激する。

「あひっ…や…」

「逃がさないって言ったでしょう…この世の物とは思えない夢を…みせてあげる…」

ズルルルル…

「うぐぅ?…あ…ぁぁぁぁぁぁぁ…」

イルマが、ヒロシのイチモツをその女陰に咥え込み、一気に腰を落とした…

彼女の膣内は、蕩けるように柔らかい肉襞とヌルヌルした液体の混合物…それは彼女の言ったとおり…この世のも

のとも思えない感触…

ニュクン…ニュクッ…ニュク…ニュク…ニュク…ニュク…

「…何だよこれ…あぅ…あぅ…性器が…」

彼女に呑まれた男根は…最初暖かく…ジンジンと痺れ…そして芯から溶けていくような感覚に包まる…それは根元

に、陰嚢に、腰に…トロリ、トローリと広がって…

もがいていたヒロシは抵抗をやめ、体に広がってくる快楽の波に浸り始めた…

”ほら…気持ちよくなってきたでしょう…”

「あは…変になる…蕩けそう…」ヒロシの口調から怯えが消え…イルマに甘えるような感じになって…

”そうよ…そのまま身を任せていなさい…”

「はぁぁ…」ため息のような呻きと共に、ヒロシのイチモツが粘っこい液体をトロトロと吐き出し始めた…

「何か…でてる…」

”それは…あなた…”

「え…」

”気持ちいいでしょう…だから溶け出したのよ…ふふ…”

「そ、そんな…うぅぅぅぅ…」蕩けるような、感じが深くなってくる…

ニュクン…ニュクン…ニュクン…ニュクン…

”ほら…あなたの体は溶けたい…私の中に来たいと言っている…”

「いやだ…助けて…あぅぅ…蕩ける…」

ヒロシは、もがくが深く粘るような快感の中に意識が引き込まれ…


…………………ピク…

「…?…あれ?…僕…一人?…」

むくり、ヒロシは起き上がる…さっきまでのユニットバスだ…湯気がこもっている。

床に寝ていたらしい…

「イルマ…さん?…」小声で呼んでみるが、返答は無い。

今までのことを考える。

(夢?…現実?…)

ふと気がつき、壁に手をやる…濡れているがヌルヌルではない。

(やっぱり夢?…湯あたりでもしたのかな…)

自分の股間を見る…皮かむりのまま。 ちょっとがっかり。

首を振って、湯に入りなおすヒロシ。

ザバッー…狭いバスからゆがこぼれる。

(衛生上も良くないし…やっぱりお医者さんで…コンプレックスかな…小さいのは事実だし…)

”大丈夫よ…立派なものだもの…”

「ありがとう…?…」

”ほんとに…立派な…うふ…うふふふふふふ…”

ヒロシは硬直した…そっと湯をすくってみる…トロー…指の間から糸を引いて流れ落ちる…

「あ…あぁぁぁぁ…」

背中や、足に感じるバスタブの感触が変わる…柔らかい…ヌルヌルした感触…

「!」

バスタブの形も色もみるみる変わっていく…色は赤く、長方形だったバスタブが縦に長くなり…最後には大きく口を開

けた女性自身の形に…いや形だけではない、それは巨大な女陰そのものだった…

ヒロシは、自分が巨大な女陰で、人肌の愛液に浸っていることに気づき唖然とした。


と、女陰がゆっくり口を閉じ始めた…

「あっ!」

気がついたときには、腰から下が柔らかな肉の花に挟まれていた。

慌てて、外陰に手を突き…ニチャ…その感触に怯みつつも、腰を抜こうとする…

ズ…「う…」ズ…ニ…ニ…ニ…「あ…はぁ…うぅ…」ドクッ…ニュク…ドクッ…ニュク…

腰を抜こうとした動きが、肉襞を下半身全体で擦り上げる結果となった。

腰から下は、甘く痺れる疼きに包まれ、芯から深い快感で満たされる…背筋がゾクゾクし…頭の中は真っ白になった




ヒロシはしばし動きを止め、そしてゆっくり腰を捻る…

ニュリリ…「はぅ…」

グニュルルル…「うふぅ…」

”もっと中に…おいで…”

「うん…」声に促されるまま、体を奥へゆっくり押し込む…

ニュルン…ニュクニュクニュク…

「あふぅ…」臍の辺りまでもぐり、そのまま腰をゆする。

どうしようもなく気持ちいい…もう他の事など考えられない。


”ほら…たまらないでしょう…”

「はぁ…うん…」

”さぁ…ゆっくり動いて…そのまま…イルマの中で溶かしてあげる…”

ヒロシはイルマの声の命じるまま…巨大な女陰に腰まではまり込み…ゆっくり動く…そして、自分から溶けて行く。

ヒロシの両目はドロリと曇り、焦点が合っていない…彼は完全にイルマの虜…

「凄く…いいよ…僕が…蕩けてく…」

”まだ…逃げたい?…”

「逃げないから…お願い…最後まで…して…僕が…溶けてしまうまで…」


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