教会[夫人]

9.解けた呪い


「あぁぁぁぁぁ…」
夫人が歓喜の声を上げる、ついに呪いが解ける。
やった…やったんだ…夫人がピンクの霧に包まれるていく…そして霧が晴れると…あれ?…シルエットが変な…

「サキュバス!?…そんな呪いが解けたはずなのに」
「ありがとう!ファーザー!やっと呪いが解けました…人間に、それも思いっきり身持ちの固い夫人になるという魔王様の呪いが…」
「はあ?」
「私が粗相をして魔王様の大事にしていたお皿を割ってしまって…」
「あはははははは…そ、それはよかったね…」

「ファーザー…何と言って感謝すればよいか…是非お礼を受け取ってください…全身全霊を込めたサキュバスのサービスを…」
「げ!」
「さあ、ファーザー…お礼を…」
ベッドの上を、4つんばいになったサキュバスがじりじりにじり寄ってくる。

お礼といっているが、欲情しきった顔、瞳が熱く濡れている…どう見ても獲物を狙っているようだ…
「…い、いえ…お礼などと…お気持ちだけで十分です…ひ、人が来ないうちにお帰りになったほうが…」
コンコン、ノックの音…リズか?!…
「…ほ、ほら誰か来たようですし、ここにいると何かと問題では…」

ガチャ、あれ?
ぞろぞろ入ってきたのは…全員サキュバス!?
「姉さま!呪いが解けたのですね!」
サキュバスが7人…あ、はははははは…
ベッド脇で再会を喜ぶサキュバス達…そーっと逃げようとすると…
「…ファーザー…さあ…戻ってきてぇ…感謝していますのよぉ…」
夫人だったサキュバスが呼びかける…彼女と深く交わりつづけたファーザーの息子は彼女の虜になっていた…
呼びかけられると…もう逆らうことはできなかった…
ファーザーの股間が固く張り詰める…サキュバス達の方に引かれる…
「あぁぁ…だめだ…いくな…」足も思い通りにならない…ふらふらとサキュバス達にむかって歩いていく…
「さあ…私たち全員で…」
『感謝を…捧げます…全身全霊を込めて…ウフフフフフフ…』
わらわらとサキュバス達に抱きつかれる…魔性の女たちの爛れた匂いに包まれ…ファーザーの心も虜になっていく…そしてファーザーは行方不明となった…

ファーザーが我にかえったのは、見知らぬ居心地のいい部屋のベッドの上だった…
「ここは…いったい?…」
「魔王様の居城です…ファーザー…」悩ましげな声が左の方から聞こえる…見たくない…しかし…やっぱり…
寝ていたファーザに寄り添い抱きついていたのは…夫人…だったサキュバスだ…
「魔王様が甚く感心されまして…『それほど愛しているのならば、我が居城に人間が住むことを許そう』と…」
「い、いえお心遣いは…あはぁ…」
それ以上の言葉を話す事はできなかった、情熱と欲情のこもった熱い口づけ…精魂尽き果てた体が欲望の渦に飲み込まれていく…
クチャクチャ音を立てて、サキュバスに戻れた喜びを舌が伝える…それがファーザーの口を激しく犯す…
頭の中身が吸い出されるような激しい吸引…
豊かな胸…震える乳首がファーザーの乳首に押し付けられる…時々甘い感じの液体が噴出し…体を濡らし…淫猥な匂いを染み込ませる…
そして股間…サキュバスの女陰…ファーザーの男根を根元まで飲み込み…離そうとしない…離さない…
体ごと…飲み込まれそう…いや…いまちょっと魂がぬけかかったような…
意識が暗闇に呑まれる寸前、他のサキュバス達が歓声をあげながらベッドになだれ込んでくるのを感じた…

その後、ファーザーは、今でも魔王のダンジョンの一室で、サキュバス達に感謝され続けている…
「ああ〜ん、ファーザー今日は私が感謝いたします」
「いえ今日は私が…」
「私はもう1週間も感謝しておりません」
「ではみんなで一緒に感謝しましょう…」

…体中にサキュバス達の性器が、口が、舌が、胸が押し付けられる…体はサキュバスの愛液やら何かで乾く暇もない…
…ずっと、人外の快楽に包まれたまま、時間の感覚もなくなっている…
…他の事は考えられない…自分がどうなっているのかもわからない…だんだん正気に戻れる時間も短くなってきた…
”あとどのくらい、もつだろう…”ぼんやりそんな事を考えているとサキュバス達の会話が聞こえてきた…

「姉さま…魔王様秘蔵の不老不死の秘薬を少々頂いてまいりました…」
「素敵…これで永遠にファーザーを感謝し続ける事ができますわ…」

…誰か、この『感謝』から助け出してくれ…

<終>

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